勇気では、いさぎよく引くことも大切である。

2012年10月08日 | 勇気について

5-4-6.勇気では、いさぎよく引くことも大切である。
 勇気をもっての戦いは、危険な敵を排撃し勝利することを目的にするが、攻撃一本やりでは済まない。防御も必要である。休息もいれねば、続かない。自転車のように前にしか進めないのでは、暴勇に堕す。勇気は、歩行者のように後ろにもさがれ、立ち止まることもできねばならない。戦えば自身も無傷ではすまないから、まずは、「逃げるが勝ち」を勇気とする。つまらぬ見栄のために、匹夫の勇・小勇で、命を粗末にしてはならない。「韓信の股くぐり」である。逃げるのも時には勇気である。
 戦いをはじめるには、勇気の大胆な決断がいるが、戦いをおさめるのにも、大きな勇気が必要である。なにごとも、いったん始めたことは、簡単には終わりにできない。良い事はもちろん、悪いことでも既成の事実ができると、その慣性に流されがちとなる。理性は、指導力を発揮して、大胆に決断し方向転換を断行することが必要となる。
 勝っているときは、もっと大きな勝ちをと欲張りたくなるから、戦いはやめにくい。負けているときは、負けをとりもどすまでは止める訳にはいかないと、ずるずると負けを大きくしてしまう。戦いをやめようとすると、「臆病者」とののしられもする。適切なところで戦いを停止する、勇気あるブレーキを効かせるのはむずかしい。勝ちも負けもここまでと予め限度を設定して、そこに頑丈な車止めを作っておくべきかも知れない。勇気は、おおきなエンジンをもつほどに、よく効くブレーキももっていなくてはならない。