酒は、勇気を景気づけるが、理性を麻痺させる。

2012年10月22日 | 勇気について

5-6-6.酒は、勇気を景気づけるが、理性を麻痺させる。
 ひとは、怒りや安心の感情をもって心身を興奮あるいは弛緩させるが、脳に直接作用する物質を体内にとりこむことで、心身を弛緩したり、興奮を高めるようなこともできる。勇気を出すために、景気付けに酒を飲むとか、より活動的にするための興奮剤になるものを摂取する場合がある。が、酒・たばこをはじめとして薬物類は、中毒になると生に深刻なダメージを与える。使用の制限や禁止がうたわれる所以である。
 酒類は、勇気について、その恐怖・不安を鎮めるのに効果的である。脳の知的機能を麻痺気味にするので、危険(とくに知的解釈をもってなる危険)の意識がうすらぎ、不安・恐怖はうすらぐ。さらに、良識・良心の機能も麻痺ぎみとなって、日頃は臆するようなことが大胆に行えるようにもなる。憎悪・嫉妬なども理性は抑圧しているが、これらも解放されて放胆に、仕返しをと大胆に果敢に攻撃的に、過ぎて残酷ともなる。あるいは危険・反撃を顧慮するようなことも少なくなって、無思慮の無謀が平気となる。
 酒に酔って大胆になるのはいいが、理性を麻痺ぎみにするものであることを重々心得ておかねばならない。良識や良心が千鳥足になったのでは、その勇気は、御者を失った暴れ馬でしかなく、狂気の暴勇に堕す。理性の深慮を麻痺させて気は楽であるが、醒めたとき、その短慮の暴勇を後悔することになる。