【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

今井正監督「武士道残酷物語」(1963年)

2020-01-07 23:09:03 | 映画

    

 今井監督が中村錦之助と組んでなった世にも残酷な物語。錦之助が七役を演じ分けている。有馬稲子、丘さとみ、岸田今日子、渡辺美佐子、三田佳子が出演。第13回ベルリン映画祭で金熊賞受賞。原作は南條範夫。

 大手建設会社に勤務する板倉進は、競争相手の同業の建設会社から、ダム建設に関わる入札資料を極秘で手にいれる。彼の婚約者、人見杏子がタイピストとしてこの会社で仕事をしていて、そのルートから得たものであった。仲人を引き受けていた上司は、事の成り行きが落ち着くまで、結婚を延期するよう示唆する。進はそのことを杏子に伝える。会社の命運を優先させなければならなかったのである。絶望した杏子は、睡眠薬を飲んで自殺を図る。

 この映画はその場面から始まる。自殺は未遂に終わるが、この知らせを聞いた進は、代々の先祖の日記に記された武士の過酷な歴史に思い至る。そこには己を犠牲にして主君や国家に忠誠を誓い、武家・板倉家の話が書かれていた。主君をかばって切腹した次郎左衛門、侍の忠義を守り割腹自殺した佐治衛門、不義の責任をとらされ去勢された久太郎、老中へ愛娘を献上した修造、日清戦争で戦死した進吾、第二次世界大戦で特攻隊として散った進の兄・修。その進も会社への忠義を個人の生活に優先させたのであった。



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