【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

哀切きわまりないメロディーと戦争悲劇「ひまわり」

2009-07-13 00:11:12 | 映画

 ヴィットリオ・デ・シーカ監督
   「ひまわり
(I Girasoli)」(イタリア,1970年
)107分

         ひまわり

 
戦争がもたらした人間関係の切なさで多くの人々の心をふるわせたのがこの作品です。

 第二次大戦下,ジョバンナ(ソフィア・ローレン)と軍人のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)はナポリで結婚。
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日間の結婚休暇を楽しみます。仲良くたわむれたり,オムレツをつくったり・・・。彼らは休暇が終わって離ればなれになるのがいやで,ある芝居を考え出しました。アントニオがジョバンナに暴力をふるい,気がふれたとの狂言芝居をうち,狂気をよそおって脱走をはかったのです。アントニオはまんまと精神病院に一時入ることができましたが,結局芝居がばれ,罰として懲役のかわりに,ロシア戦線に送られることになってしまいました。ジョバンナに「毛皮をお土産に,帰ってくる」と約束して。

 アントニオは厳寒のドン河近くのロシア平原で敗走する途中,餓えと乾きの生き地獄のなかで倒れ,凍死寸前。意識不明で倒れているところをマーシャ(リュドミラ・サヴェーリェワ)に助けられました。彼は記憶も喪失し,帰還がかなわないまま成行で彼女と所帯をもつことになりました。

 ジョバンナは一人ミラノで彼の帰還を待ち続けますが、彼女のもとに届いたのは,夫の行方不明通知でした。納得できない彼女はロシア戦線からの復員してきた兵士のなかに,敗走中,アントニオと一緒だったという兵士に出会い、兵士の話しをきくうちに夫が生きていると信じます。

 彼女は単身,ロシアに夫を捜しにでかけました。ジョバンナはモスクワの外務省に赴き,そこの職員とアントニオを探しました。ドイツの命令でイタリア兵士やロシア人捕虜をうめた墓標は延々と果てしなく続くひまわり畑の一角にあり,ジョバンナは懸命にアントニオの消息を求めますが,手がかりさえ見つかりません。

 モスクワではイタリア人でありながら今はロシアにとどまって生活をしている男を偶然みつけ,後を追いますが,夫のことは知らないといわれます。彼の写真をてがかりに必死に夫をさがすうちに,ある地域のおばさんたちがイタリア人の住んでいる家を知っているといいいます。

 しかし,彼女を待ちうけていたのは子どもとともに幸せで平穏な家庭生活をおくっていたアントニオと命の恩人であるマーシャでした。マーシャから事情を聞き,ジョバンナは仕事から帰宅した夫と駅で逢いますが,胸にこみあげる複雑な感情から,言葉をかわすこともなく列車に飛び乗ってその場を立ち去りました。

 怒りと悔しさ,そして絶望でジョバンナは夫の写真や夫の衣服などをたたきつける。やりきれない思いで彼女は,行員と結婚。

 
 このあと、ドラマは一気に盛り上がります。

 戦争に翻弄され,ひとつの運命を強いられた男と女。ウクライナの地にどこまでも続くひまわり畑,ヘンリー・マンシーニの哀切にみちたメロディ,悲しみが胸にせまってくる映画です。


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