【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

片山潜の半生

2010-03-07 01:05:55 | 評論/評伝/自伝
片山潜『片山潜-歩いてきた道-』日本図書センター、2000年
                     
                    

 社会主義者、片山潜(1859-1933)の自伝です。といっても1897年の38歳ぐらいまでです。

 もとの原稿は著者が東京市電労働者・職員ストライキで、その首謀者として、市ヶ谷監獄に投獄されたおり、「退屈をまぎらわせ、獄房の寒さを忘れようとして」(p.167)書いたものです。「きわめて平凡で、なにひとつおもしろくもない私の生活を、飾らず、いわば赤裸々に・・・」書いたとのこと。

 後年、加筆されて公にされた[年表によれば、本書は「オクチャーブリ」誌に1930-31年に連載(日本語原稿からイエ・テルノフスカヤ訳)]されたもののようです。

 江戸時代に生まれ、8歳で維新を経験しました。明治政府のもとで資本主義の発展の道に入り、帝国主義へ突っ走っていった日本。極めて劇的な時代に生きたわけで、その中で著者は淡々と自身の生活を語っています。

 しかし、その半生は波乱万丈。美作国(岡山県)の庄屋の二男として生まれ、自らが語るところによりますとあまり出来る子ではなかったようですが、次第に学問に目覚め、小学校の助教を経験し、岡山」師範に入学するも、すぐに退学して東京へ。

 その後、渡米して大変な苦労をしながら大学に通い、勉学。32歳のときにラサール伝を読み、社会主義者になりました。12年のアメリカの生活の後、帰国。社会改良事業を仲間とともに計画、労働運動に身を捧げるようになりました。

 この本の話はここまでです。この後、1901年に日本最初の社会主義政党を結成、ロシア革命後のソ連にわたり、共産主義者に。コミンテルンで活躍しました。

 この後半生に興味もありますが、本書では年表で満足するしかありません。

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