【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

山口義行『誰のための金融再生か-不良債権処理の非常識-』筑摩新書

2008-11-18 23:30:26 | 経済/経営
山口義行『誰のための金融再生か-不良債権処理の非常識-』筑摩書房新書、2002年

              
               誰のための金融再生か


 山口さんの本をもう一冊。前回の『経済再生は「現場」から始まる』と重なる部分がありますが,政府,官庁エコノミストの金融政策批判に力点があります。

 著者の本書執筆の第一の動機を「『マネーの世界』へと問題を矮小化したり,『市場原理』なるものに行き過ぎた拘泥りをもつことが,どのような理論的混乱や現実的悲劇を生み出すか,これをあきらかに」することと述べています(p.168)。

 この観点からインフレターゲット論からの日銀批判の問題点,不良債権処理の非現実性,ペイオフ解禁の不要性,自己資本比率を基準とする金融行政の陥弄を説いています。

 最後に「金融アセスメント(監督官庁に「円滑な資金需給」「利用者の利便」という2つの観点から,金融機関の活動を評価することを義務づけ,その「判断理由」を利用者が入手しやすい形で開示する)」の意義を強調しています。

 国民,中小企業化・中小金融機関の側にたって迷走する日本経済の問題点を明るみに出した力作です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿