ジェイミー・フォードの『あの日、パナマホテルで』を読みました。
ヘンリーは中国からの移民の両親と、シアトルの中国人街に住む小学生です。両親の方針で、中国人学校ではなく、白人が通う私立の小学校に通っています。学校のただ1人のアジア系児童でしたが、もう1人、ケイコという日系の少女が来るようになりました。1942年の事で、日本はアメリカと戦争を始めました。ヘンリーは、日系人と間違われないように、「私は中国人」というバッジをつけて学校に通っていました。
ヘンリーは、母の作ってくれるお弁当をからかわれるので、路上でサックスを吹いているシェルドンにお弁当をあげて5セント貰っていました。お昼は学校の食堂でミス・ビーティの手伝いをして、片付けた後にフルーツの缶詰などをもらっていました。やがてケイコもその仕事に加わって、2人は仲良くなって行きました。しかし、戦局が厳しくなってケイコは家族とともに収容所に連れて行かれてしまいます。
この小説は、戦時中の出来事と、1980年代に、50代になって最愛の妻を癌で無くしたヘンリーとが描かれています。パナマホテルは、シアトルの中華街と日本人町の中間にあったホテルで、移民として来た人々がしばらく滞在して仕事や家を探した時に利用されていました。小さな恋をめぐる物語、一枚のジャズレコードをめぐる物語でもあり、ハートウオーミングな物語でした。映画にもなっているので、ぜひ見たいと思います。