黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『黎明の書 巻之壱 出会いと旅立ち』篠田真由美(徳間書店)

2013-02-09 | 読了本(小説、エッセイ等)
人間の優に六倍は超す寿命と強靱かつ優美な肉体を持つ《貴種》に支配される西欧中世的世界。しかし彼ら《貴種》は、太陽の光を嫌い、人の血を好む吸血鬼と噂されていた。
貧しい聖十字架教会の養い子で、司祭の雑用をしている十四歳の少年ラウルは、ある日、森で《人狼》に襲われていた貴種の少年に出会う。彼は、領主イオシフ・ゲオルギ・シェミハザ伯爵の嗣子であるイオアン。そんなふたりは絆を結ぶ。
しかし貴種であるイオアンに、密かに会っていることを司祭に見つかってしまい、さらに司祭の思いを知るに至り、教会を飛び出したラウル。
イオアンの侍者となり、城で暮らすことになったラウルだったが、質素な教会とは違う、絢爛豪華な生活に戸惑う日々。しかし周りには、イオアンを追い落とそうとする敵……イオアンの叔父イウダやダニイル、従兄ペトル等々……が多く、やがて策謀渦巻く中へと巻き込まれてゆくことに……“本編”、
島国のアルビオン王国に暮らす、貴種の少女アイーシャ。
同じ未成年宮に暮らし、一足先に成年の儀を迎えることになっているアルミーダが、自分の血筋の悪口と共に、慕う従兄のサラーフの悪口をいったことが許せずに口論になる。サラーフにその騒動が他から伝わる前に、自分の思いを言っておきたいと思い、宮を飛び出した。
幼い頃、迷子になった町でナーディル・アフシャールという老者に出逢い、大陸の貴種についていろいろ話を聞いたことがあったアイーシャ。その後、彼は亡くなったのだとサラーフから聞いていたものの、ふと数年ぶりに屋敷跡を訪れたくなった彼女は、そこでナーディルの元にいた人間シジマと出会う……“外伝 白き島の黒き女王”を収録。

ひょんなことから出逢い、絆を育んだ貴種(吸血鬼)の少年と教会の養い子である人間の少年のお話。
侍者として貴種に選ばれた人間は特別であり、互いに強く結びついているという設定の下、伯爵とイオアンの師でもあるオラフ、イオアンの母である伯爵夫人リベカと伯爵の妾となった侍女ルイズの二組の末路も出てくるのですが、これがもう、すごく切ない;;
外伝は、貴種は登場するものの登場人物も場所も全然違うお話。ふたつの世界が、これからどう関わってくるのか、気になるところ。

<13/2/9>

『夜の底は柔らかな幻 下』恩田陸(文藝春秋)

2013-02-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
指名手配犯であり元夫である神山倖秀を追い、闇月の期間だけ入ることのできる山奥を目指す実邦は、善法刑事と合流するが、途中で少年に遭遇。彼は実邦が乗っていた列車での騒動の元となった、在色者の子供であった。一緒に山に入った祖父とはぐれた彼を保護し、さらにジャーナリストのジュンと名乗る、場違いなファッションの男も加わりさらに進むが、少年の思いがけぬ力を見せつけられ、戦慄する。
一方、実邦たちの恩師である屋島風塵を、国立精神衛生センターに訪ねた黒塚は、屋島に司法取引を申し出るが、その後屋島はセンターを脱走。山へと向かう。
そして葛城は精鋭の配下を引き連れ、山狩りを断行する……

皆が山に集結。どうなるどうなると思いつつ読み進め、残りページ数が減っていくのに、なかなか話がまとまっていかないけど……と、思っていたのですが。まさかオチ(というか思春期の少年か!>葛城/笑)で締めくくりな雰囲気。
まだまだいろいろ謎が多い感じなので、是非続編を!

<13/2/8>

『夜の底は柔らかな幻 上』恩田陸(文藝春秋)

2013-02-07 | 読了本(小説、エッセイ等)
日本でありながら国家権力が及ばない無法地帯“途鎖国”。イロと呼ばれる特殊能力を持つ“在色者”が多く存在するこの国に、密かに列車で途鎖入りをしようとしている女・有元実邦……かつてそこで生まれ育ち、自らも在色者である彼女は、ある理由から故郷を捨てていた。
入国管理官の巡回も何とかうまく切り抜けたのもつかの間、突如勃発した騒動により、よりにもよって因縁の相手である、隻眼の入国管理局局次長・葛城晃に十六年ぶりに再会してしまう。
途鎖署に引き立てられ、文書偽造を言い立てられるが、実は彼女は東京警視庁の警部補。指名手配犯を追って、この地へとやってきたのだった。一応解放されることになった実邦だったが、執拗に彼女をつけ狙う葛城。
さらに列車の中で知り合って後、何故か彼女の周囲をうろうろする男・黒塚弦の存在も気にかかるが……

指名手配犯を追って途鎖に入り込んだ女刑事・実邦。そして特殊能力者たちが死闘を繰り広げるダークファンタジー。
ハラハラドキドキの展開で、下巻につづく!

<13/2/6,7>