黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『展覧会いまだ準備中』山本幸久(中央公論新社)

2013-02-05 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京郊外の小さな公立美術館<野猿美術館>に勤める、学芸員の今田弾吉は、4年目で未だ下っ端。自分の企画立案は却下されまくりで、個性豊かな先輩たちにこき使われる日々を送っていた。
そんな中で、知り合った美術品専門運送会社・丙午運輸の作業員サクラ(佐倉琴美)の存在が気になり始める弾吉。
一方、かつて大学の応援団に所属していた弾吉には、「上の命令は絶対」という精神が染み付いており、同じ大学の先輩・白柳新之助からのむちゃぶりで、いまだ大学の試合の応援に駆り出されたりもする。
大学野球の反省会の飲み会で、大先輩の韮山藤次郎と一緒になった弾吉は、彼から家にある羊の絵を鑑定して欲しいと頼まれる。数年前に亡くなった義母の家にあったものだというが、詳しいことがわからないという。
大学院のゼミの恩師である<ボテロ>に当たってみたところ、どうやらそれは乾福助という、石樽藩という小藩の侍が描いた物らしいと判明。決して高額な作品ではないながら、どこか惹かれるものを感じた弾吉は、その福助の他の作品も集めた企画を手がけたいと考えるようになり……

美術館を舞台にしたお仕事小説。
自分の希望どおりの職業につきながらイマイチ成果を出せないでいる弾吉、逆に能力がありながら家業を継がなければならなかった同級生、未来への夢に溢れている韮山の息子…等を対比させつつ、仕事の夢と現実を描いています。
展覧会実現はタイトル通りまだまだで、ちょっと微妙な終わり方。
福助さんの絵はちょっと気になる~(描かれてるものが、珍獣寄りなのが楽しそう…/笑)。

<13/2/4,5>