黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『となりの姉妹』長野まゆみ(講談社)

2007-04-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
友人たちとともに営む、手作りの洋服を売る店で働く佐保には、8歳離れた兄・立彦がいる。
子供の頃は、神童と呼ばれるほどの優等生だった彼も、今では妻子がありながら放浪癖のある風来坊。
そんな彼が半年振りにふらりと帰ってきた……どうやら近所の酒屋“菊屋”の小母さんの葬式に出席する為らしい。
佐保の家の隣には、逸子と咲也という姉妹が住んでいるが、そこが昔藪だった頃、たくさんの鏡が埋まっていたという。その鏡を埋めたのが、小母さんの姑で、ぜひその理由を訊きたかったのに、という兄。
その小母さんが“イッコちゃんえ”と記された封筒とその中に入っていた古びた男の写真を遺していたという。逸子への縁談相手の紹介の写真とも思えるが、写っている人物はどこの誰ともわからない。
彼女が身の回りの物でおこなっていたらしい、不思議な“しりとり”の符丁を辿り、その真意を探ろうとする佐保たちだったが……

『箪笥のなか』同様、ちょっと不思議な雰囲気の漂う作品。
……そして透かしが入ったような紙とか、装丁の凝りっぷりが素敵です~♪さすが祖父江さん(笑)。

<07/4/25>

『作家の手紙』有栖川有栖、他(角川書店)

2007-04-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
北方謙三、角田光代、中村うさぎ、小池真理子、森絵都、奥田英朗、姫野カオルコ、有栖川有栖、新津きよみ、佐藤正午、枡野浩一、大島真寿美、歌野晶午、酒井順子、又吉栄喜、五條瑛、楡周平、近藤史恵、江上剛、盛田隆二、豊島ミホ、日向蓬、蜂飼耳、菊地秀行、池上永一、逢坂剛、伊藤たかみ、素樹文生、中村航、松久淳、西田俊也、川端裕人、野中柊、星野智幸、小林紀晴、古処誠二……告白、おわび、苦情、ファンレター等々、さまざまなシチュエーション、さまざまな目的、さまざまな相手に書かれる、36名の作家による36通の手紙。

現実に使えそうなものから、SF的な設定のものまで、それぞれの作家さんの特色が出ていておもしろかったです。
一通の手紙の向こう側に、さまざまなドラマや思惑が垣間見え、手紙というものの奥深さを見た気がしました。
個人的には、蜂飼耳さんの“人間でないことがばれて出て行く女の置き手紙”がちょっとお気に入り(…“彼女”の正体は一体何なのか、とても気になります/笑)。

<07/4/24>

『ファンム・アレース 2 古き血の盟約』香月日輪(講談社)

2007-04-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
500年の血塗られた歴史を閉じたグランディエ王朝。その最後の血をひく王女・ララは聖なる力と魔なる力を身にまとった、聖魔の魂の持ち主である。
そして、その魂をを狙う魔女の陰謀。呪いの謎を解くために、時を遡る術法を使うという、アランゴラの魔道士ビベカに会うべく、ララと用心棒・バビロンは旅立った。
途中、山賊たちを倒した際に、懸賞金付きの首飾りを手に入れたララたちは、その持ち主であるシャーザム庄の領主・シャイハムスの元を訪ねる。彼は亡き妻を思うあまり、魔法や心霊に凝り、インチキ商売の餌食となっていたのだった。その陰で娘のマリーシュカは寂しい思いをしていることを知ったララたちは……

夫婦、といいきるララの力技に爆笑(笑)。
表紙に出てるもう一人は何者?と思いながら読んでいたもののなかなか登場しないなぁと思ったら、最後の方でようやく登場。彼もレギュラーメンバーになるのでしょうか?

<07/4/23>

『J』五條瑛(徳間書店)

2007-04-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
大学受験に失敗、浪人しているがやる気もなく、またやりたいことも見つからないまま、日々を渋谷で過ごしていた秋生は、ある日、怪我を負った美女・ジェイを助ける。
翌日には姿を消したものの、その後も幾度となく彼の前に姿を現すようになるジェイ…それは決まってテロの起こる日。
そんな彼女の存在をきっかけとし、強くなりたいという気持ちに目覚めた秋生は、キックボクシングを習い始める。
そこで出会った同い年のキックボクサー・久野に憧れを抱いた彼は、次第に生きる意味に目覚めてゆく……。
一方、妻から浮気を攻められ、それまでの生活に嫌気が差していたサラリーマン・時津。自殺を考えていた矢先、ジェイに出会い、彼女の薦めで家族を捨て“島”へと向かう……。
“島”とは?そしてアジア系アイドルユニット・スカイとの関わりは……

秋生がもっとジェイに引き込まれていくのかな、と思いきや、久野とのらぶらぶっぷりの方が上でした(爆)。
イマドキな青年である秋生の成長が微笑ましくもあるのですが、対比としての時津が愚かというか哀れというか;

<07/4/22>

『久世塾』久世光彦、他(平凡社)

2007-04-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
2000年7月、“第二の向田邦子を作ろう”とのキャッチフレーズの元、発足した“久世塾”……ドラマ作家育成の為の教室である。
その一度限りの伝説的脚本家講座において行われた、大石静、内館牧子ら豪華な講師陣による講義の内容を掲載した、「ものづくり」に関わる全ての人に必携の一冊。

この本を読んで初めて、そんな豪華な講座があったのだということを知りました。
有名脚本家たちの成功するまでの裏話なども楽しく、とても興味深く読めました。
脚本如何に関わらず、あらゆる創作に携わる精神のようなものを学んだ気がします。

<07/4/21>

『室温』ニコルソン・ベイカー(白水社)

2007-04-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
秋の昼下がり。生後6か月になる娘<バグ>に、ほ乳瓶でミルクを飲ませている若き父“僕”。
ピーナッツバターの正しい食べ方、日記を綴る妻のペンの音でその中身を聞き取る方法、コンマ記号の優雅な形態への賛美……その脳裏にうかぶ取り留めのない思考は、どこまでも連想と細分化を繰り返してゆき……

これといった事件も起きない、ふつーのパパの思考を追っている小説ですが、不思議と楽しいです(笑)。
でも気がつくと、とりとめもなくこんなことを考えたりする事って、結構あるような気がします。
岸本佐知子さんが訳されてるということで、手に取ってみましたが、先日読んだ彼女のエッセイにも似た傾向が見られますね~。

<07/4/20>

さくらモンブランロール@ガトウ専科

2007-04-19 | スイーツ
 4/25までの限定品。
 桜の葉風味のロール生地で、生クリーム、カスタード、桜(道明寺入り)クリームを巻いてます。
 桜のクリームには、道明寺が入っているのですが、餅っぽいというよりは一粒一粒が分かれている感じ。
 上には桜風味のモンブランクリームが載っています。
 ロール生地の塩味がちょっと強すぎるかも;

 ガトウ専科:新潟(長岡、他)


『落下する花 月読』太田忠司(文藝春秋)

2007-04-19 | 読了本(小説、エッセイ等)
死者の最期の想いが、何らかの事象・物質として出現する“月導”。その月導の意味を読み解く出来る“月読”の青年・朔夜一心が遭遇する事件を綴る連作短編集。
子供の頃に見た祖父の月導をきっかけに、大学で月読の研究を志す和佐友喜。ある日、校舎の屋上から月導を研究している憧れの女性・野嵜桜月が飛び降りる姿を目撃しショックを受ける。その場に居合わせた朔夜が読んだ、彼女の月導は、昨年車に轢き逃げされ亡くなった学生・沢島卓斗を殺したのは自分だ、というものだった……『落下する花』、
伯母・若月智子が亡くなり、彼女が所有していた、歌手・水城夢彦の月導を受け継いだ滝原真由子。ところがそれを渡せと迫る女性・竹安郁美が現れる。しかもその後、何者かに駅で突き飛き飛ばされ……『溶けない氷』、
母・美雨子が事故死した場所に出現した月導。般若の面に似ていたことから、あらぬ噂を立てられた麻美と父・克昌は、月読にその意味を解読することを依頼。しかしその月導を読んだ朔夜曰く、美雨子の月導ではないという……『般若の涙』、
粗末な安アパートで殺害されていた男・河井寿充。発見されたその遺体の手には、箸のような物が握られていた。それは亡くなった彼の娘の月導だったが……『そこにない手』 の4編収録。

『月読』の第2作目。今回は連作短編集でした。
個人的に、各話での朔夜のお茶へのこだわりっぷりがちょっと微笑ましいです(笑)。

<07/4/19>

『純棘 <Thorn> R/EVOLUTION 6th Mission』五條瑛(双葉社)

2007-04-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
外国人を排斥し、日本人の純血を守ろうとする武術家・田沼誠志郎は、念願だった自らの道場・国輝塾を構えた。新宿で力を持つ暴力団・根岸会の根岸の紹介で若き刀匠・海音向季を迎え、さらに彼の思いに同調する仲間たちと活動を始める。
一方、30歳にして初当選した与党議員・松任勇二は、人権派として、増加する在日外国人を擁護して出世を狙うべく、人権保護団体・ナディアの会の束本弘江に近づく。
そして、そんな相反する思想の2人を影で操る謎の男・サーシャの意図とは?
さまざま思惑が渦巻く中、ファービーを盗み、逃走中の鳩の周辺にも変化が……

革命シリーズ第6弾。
今まで作中に出てきた本の謎が判明したり、想像以上に絡まりあった人間関係(血縁関係?)が判明したりと、いろいろ明らかに。サーシャの登場もいつになく多かったような(笑)。
ラストのパレードのシーンもそうですが、いよいよ革命の足音が聞こえてきましたね~。

<07/4/18>

『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 1』壁井ユカコ(メディアワークス)

2007-04-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
“ホテル・ウィリアムズチャイルドバード”…通称・鳥籠荘に住んでいるのは、一風変わった住人たちばかり。そんな彼らの日常を描く連作短編集。
住人たちに郵便物を届ける仕事をしている青年・ジョナサン。5歳児程度の知能しか持たず、読み書きも満足にかけない彼が、ある日、鳥籠荘で頻発する盗難事件の犯人だと疑われた。彼を庇う少女・衛藤キズナだったが、しかし調べられた彼の部屋からは、キズナ宛の未配達の郵便物が多数発見され……『さよなら、泣き虫ポストマン』、
衛藤キズナ、16歳の冬。スリルを求め、援交すれすれの<ゲーム>に夢中になっていた彼女は、4階に住む“美女”・井上由起から、5階に住むひきこもり美大生・浅井有生の絵のモデルのバイトを持ちかけられる。一緒に過ごすうち、その時間が自分にとって次第に大切な日常の一部になっていくのを感じていくキズナだったが……『ストリート・ブレイブ・ガール』、
学校では整った容貌と服装からお嬢様だと思われている小学生・山田華乃子。そんな彼女の父は、何故か三毛猫の着ぐるみで日々の生活を送っていた。クラス別発表会の劇の主役に抜擢された華乃子だったが、その知らせを父に知らせることがためらわれ……『パパはわたしだけのHERO』、
キズナが浅井のモデルをつとめた作品を含め三枚の絵が盗まれた。その犯人である<掃除人>にキズナが襲われ(?)、浅井に助けを求めるが、その拍子に彼が大事な利き手を怪我してしまう。モデルの代わりに、浅井の身の回りの世話をすることになったキズナは、ひょんなことから浅井の過去を知り……『籠の中の羽根のない鳥』の4話のほか、プロローグ的<無題Ⅰ>とエピローグ的<無題Ⅱ>収録。

<無題>は、人語を喋る蜘蛛が、誰もいなくなった鳥籠荘にやってきたお客に、在りし日の事柄を語るという形になっているのですが、何故誰もいなくなったのかは、ちょっと気になるところ。
どれも良いお話ですが、個人的にジョナサンの話は、一番最初ではなく、ちょっと違う順番にした方が良かったのではないかと思います。

<07/4/17>