黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『幻視時代』西澤保彦(中央公論新社)

2010-12-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
文芸評論家の矢渡利悠人は、彼の高校の後輩にして小説家のオークラこと生浦蔵之介、苦桃書房の女性編集者の長廻玲とともに立ち寄った写真展で、ある一枚の写真の前に釘付けとなった。
そこに、写っていたのは、1992年9月12年…18年前に鵜久森を襲った大地震直後の光景。その地震により怪我を負った、瀕死の高校時代の恩師・白州正和と、当時大学生の悠人自身、そして一人の見覚えのある少女の姿が写っていた。悠人の同級生で初恋の相手でもあった、その少女は風祭飛鳥。しかし彼女は、その大地震の4年前に起きた、女子高生作家怪死事件の被害者で、この時はすでに死亡していたのだった……
1986年、鵜久森市の私立尾曾越学園に入学した悠人は文芸部に入部。そこで、顧問の白州から若くして亡くなった自分の母・悠理子が作家志望で、彼とともに同人誌を作っていたことを聞かされる。
そんな文芸部で一緒だったのが飛鳥。彼女は若くして才能を発揮し、文芸誌主催の小説新人賞を受賞したのを契機に、女子高生作家として世間の注目を集めるように。
そんな中、卒業間近の悠人は、部の機関誌<ぴこミュウズ>の原稿の締切に追われ、たまたま見つけた母の未発表作品をそのまま流用してしまうが……

大人になってから、たまたま見た写真に、かつて死んだはずの少女が写っていた謎について迫る安楽椅子的ミステリ。
ジェンダーとかフェチな部分やあれこれがなくて、久々にシンプルな感じが初期っぽい雰囲気が良いです。
でも表紙とタイトルは合ってない気が、若干…;

<10/12/17>