黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『色町のはなし 両国妖恋草紙』長島槇子(メディアファクトリー)

2010-07-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
本所の武家屋敷に生まれた御家人の家の長子に生まれながら、本妻の子供ではない為、家は継げず、厄介者である部屋住みの萬女蔵。
女好きで岡場所をふらつく遊び人の彼は、顔見知りの野太鼓(検番に属さない太鼓持ち)の兎吉に出会い、侍に斬り殺された美しい芸者の幽霊が出るという茶屋の話を聞く。金のない萬女蔵は、女が抱けるなら幽霊でもかまわないと、彼に連れられ出かけてゆくが、その先には美人の芸者たちが。幽霊が出るのを待つ間、彼女たちと座敷で田植えの真似をする座興に興じていたのだが……“一、 化けもの茶屋”、
大島橋で拾ってきた野ざらしの骸骨を即身仏に仕立てて、客を呼ぼうと考えた萬女蔵だったが、なかなか客は入らない。
その夜、若い娘が化けて出てきたのを見た彼は、それが件の骸骨の主だと考え、骸骨の上にその顔を復元した人形を作る。それを元に、娘の身元を探したところ、名乗り出たのは木場の油問屋相模屋。行方知れずになっている娘のお久にそっくりだという。その居場所を問い詰められた萬女蔵だったが……“二、とんでも開帳”、
百人に一人の上玉に出会ったと上機嫌の萬女蔵。
辻占河岸で占いをしており、千里眼だと評判を取るお才は、占った相手に見料を貰い忘れた客を追って出たところで、顔見知りの萬女蔵を見かける。虚ろな目をしていつもの彼らしからぬ雰囲気が気になり、後を追ったお才。
萬女蔵は、ある掛け小屋にたどりついたが、そこには子宝岩という名で女陰そっくりの岩が置かれていた。それは石部の清造という香具師が、甲州の祠から持ってきたものだった……“三、花魁石”、
因果物師と呼ばれ、蛇女や熊女を見世物にしている香具師・平兵衛。
牛の化け物『件』の見世物をしているが、それは柴犬ほどの大きさで、大きな頭が首からふたつ生えていた。
しかしそれを見ていた客が偽物だと平兵衛に食ってかかった。岐阜の篠谷から来たという男たち、松吉と甚助は本物の件を見せろという。そして彼らの村から連れ去った“ウシ”を返せと主張して……“四、因果物師”、
愛染太夫という名の人形が主役と座長を務める、見世物小屋・愛染座。そこには女の人形はなく、若衆芝居ばかりを掛けている。
ある理由でそこを訪ねたお才に、親方の彦作は、愛染太夫にまつわるいわく因縁を語る。
二百年前、上野の寺の若衆好きの和尚に可愛がられていた寺小姓・愛染。しかし位の高い僧から愛染を所望され、やむを得ず、操を立てて死を選んだ愛染に似せて作られた生人形が、愛染太夫だという……“五、若衆芝居”、
岡っ引きの瓢屋善六に言われ、夜の遊具や秘薬を売る大人専門店“四つ目屋”にやって来た萬女蔵。何でも、萬女蔵の張形を所望している女がいるのだという。
それを引き受けた萬女蔵だったが、老婆と抱き合うおかしな夢を見て、腎虚になってしまう。
先の件が原因に違いないと四つ目屋の番頭に文句をつけるが、その女の正体は教えてもらえず、追い返される始末。
しかたなくお才に相談することに……“六、四つ目屋の客”、
一年前、川でおすみという女を、死体だと思って拾った船頭の直助。捨て子だったという彼女は、五軒茶屋の金猫(人気の娼妓)になり旗本に身請けされたが、生来の男好き故に、あちこちの男と浮気三昧した挙句、逃げ出したのだという。それ故に、追われている彼女は、夜鷹として身を売る事を進んで言い出した。そんな彼女と一緒に暮らしていた直助だったが……“七、水の女”と序幕、終幕を収録。

御家人だが部屋住みで、女好き故に身を持ち崩している男・萬女蔵。そんな彼が遭遇する怪奇を描いた、色町の怪談話。
設定が設定なので、アダルトなネタが多め(笑)。

<10/7/21>