一九八九年秋。
都心では破格の安アパートに暮らしていた、しがないコピーライターの山川健は、他の住人たち…ヤクザの渡辺仁、駅前の店『毒』でホステスをしている寺林まさみ、浪人留年しまくりの大学生・大関直也らと共に、思いがけない話を持ちかけられる。
それは亡くなったばかりの、アパートの家主である偏屈な土肥老人の所有する四千坪もの農地の相続人となること。
しかし顧問弁護士の竹下氏曰く、それを相続するには、四人が一人も欠けることなく、これまで老人が続けてきた有機農業を五年間引き継ぐことが条件。
それぞれの思惑を胸に農業に取り組むことになった彼らは、下肥づくりや、慣れない農作業に四苦八苦する。野菜の虫食い被害に悩まされたり、農産物の販売方法を模索したりしつつも、自然の豊かさに次第に魅了されてゆく……
時代はバブル真っ只中。東京の広大な土地を相続する条件に、有機農業をすることになった四人の素人たちの奮闘を描くお話。
だいぶご都合主義的にうまくいき過ぎてる部分はあるし、それぞれの人物の掘り下げ方が足りないかなぁという気もしますが、農業についてのあれこれはいろいろ興味深かったです。
<10/7/12>