黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『群青』宮木あや子(小学館)

2008-10-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
沖縄・八重山諸島の、日本最南端に近い小さな島・南風原島にやって来た、ピアニスト・森下由起子。突然病が発覚し、余命わずかとなった彼女は、恋人と別れ、この島にやってきたのだった。そこで過ごし始めた彼女は、漁師の青年・仲村龍二と恋に落ちるが……『紺碧』、
由起子が遺した娘・凉子は10歳に。島には、同い年の少年・一也と大介がおり、いつも3人一緒に行動していたが、凉子は一也にほのかな思いを寄せていた。
そんなある日、かわいがっていたヤシガニを父に料理されたショックで、一也が家出したと聞いた凉子は、彼を探しに出かけるが……『三原色』、
中学を卒業した3人はそれぞれの進路に進んでいた。一也は漁師に、大介は高校へ進学、凉子は父の反対を押し切って、看護師になるべく看護学校へ。そんな中で、愛を育んでいた一也と凉子。
やがて学校を卒業した凉子は島へと戻り、20歳を目前にした2人は、龍二に結婚したいと告げるが、一也が一人前の漁師になるまでは、と反対にあう。
かつて龍二が由起子に贈ったという赤珊瑚を、自分も獲ることができれば、一人前と認めてもらえると思い込んだ一也は、海へと潜るがそのまま帰らぬ人となり、彼を失ったショックで、凉子は精神の均衡を崩す。
そんな中、島を去っていた大介が帰ってくるが……『群青』の3編収録(『紺碧』『三原色』は短編、『群青』は長編)。

離島を舞台にした恋愛、そして喪失と再生を描いたお話。
来年、中川陽介監督によって映画化される『群青』の脚本を元に、宮木さんが書かれたノベライズ作品です。
原作がある所為か、いつもの宮木作品とはちょっと違う雰囲気ですが、描写の細やかさや、色彩の豊かさが印象的でした。

<08/10/23>