黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『火村英生に捧げる犯罪』有栖川有栖(文藝春秋)

2008-10-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
今は使われていない工場から、不審者が出てくるのを目撃したという隣人・桑原稜介。その中では川又進一という男が遺体で発見されたが、彼は16年前に老女宅への強盗殺人事件の容疑者として疑われていた人物だった……『長い影』、
2、3年前に出会った事件の顛末を語る火村。中京区のマンションで、男が殺され、飼っていた鸚鵡が“ハンニンハ、タカウラ”と告げたという。それは被害者が遺したダイイングメッセージなのか……『鸚鵡返し』、
アリスの元に珀友社の編集者・片桐から持ち込まれた依頼。本格ミステリは嫌いだと思われていた社会派推理小説の作家・里中泰成が亡くなり、遺品から未完の原稿が見つかったと娘の花織から連絡があり、それを読んだ2人。彼らは、火村に雪に覆われた円形の庭に残されていた足跡の謎について相談する……『あるいは四風荘殺人事件』、
自分を解雇した社長・君津を殺害した、容疑者となっている浦井。君津がかつて住んでいた203号室には行ったことがあるが、新しく引っ越した901号室には行ったことがないはずの、彼の指紋がふすまから発見されたことを問い詰めるが……『殺意と善意の顛末』、
火村の下宿の婆ちゃんの小言がヒントになったエピソード。洛北大学に通う女子大生・西木美華が殺害された。犯人は彼女が旅先で知り合って、付き合い始めた男らしい。部屋には、その旅先で撮った彼女と色違いのお揃いのTシャツを着ている男が写っている写真が飾られていたが、写真の男は見つからず……『偽りのペア』、
京都の烏丸北大路でエステティシャンの中務愛菜が殺害された。容疑者は合コンで知り合った鍬田杜夫という男。しかし彼はその時、友人の國島という男のところへ泊まっていたという。
そんな中、大阪府警にprof.Rと名乗る人物からFAXが届いた……“これは火村英生に捧げる犯罪だ とっておきの探偵にきわめつけの謎を”という内容で、子供をターゲットとした犯罪を匂わせていた。
一方、アリスの元には渡辺三郎と名乗る男から電話が。ムラサメジュウゾウという人物が盗作されたといっているので、東京まで来て欲しいという不可解な内容で……『火村英生に捧げる犯罪』、
何もない、殺風景な部屋で亡くなっていた男・徳永繁巳。携帯電話は握っていたが、電波が悪く携帯は使えない。しかもメールも使わない主義の彼。容疑者候補は4人。果たして彼は死の間際、誰を犯人として示そうとしていたのか……『殺風景な部屋』、
東京に住む種村美土里と、神戸に住む早瀬琢馬は、コンビを組んで篠崎警部補ものの推理ドラマを作っている放送作家。その早瀬の隣人・轡田健吾が、庭で遺体で見つかった。雨合羽姿でスパナを持ち、何かで殴られていたが、凶器は不明。轡田は早瀬を一方的に目の敵にしており、トラブルが絶えなかった。容疑者として疑われた早瀬は、その時、相方である美土里と、パソコンのテレビ電話の画面を通じて、打ち合わせ中だったというのだが……『雷雨の庭で』を収録。

アリス<作家篇>の掌編&短編集。
短い中でのトリックの見せ方(…というかオチの付け方?)のうまさは流石ですね~。
……個人的に、警察内でのアリスのあんまりな評価に、大ウケ(笑)。

<08/10/24>