黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『東京夜話』いしいしんじ(新潮社)

2006-12-31 | 読了本(小説、エッセイ等)
世田谷区が人減らし政策として設置した特別清掃局。彼らに“生ゴミ”として回収する人々とは……真夜中の生ゴミ 下北沢』、
自分は宇宙人だと告白する“彼女”。その友達はベガ星人らしい……『ベガ星人はアップルパイが得意なの 原宿』、
夏になると谷中墓地にやってくる“ぼく”は、墓の下に眠る人々に想いを馳せる……『お墓アンダーグラウンド 上野・谷中』、
昔付き合っていたものの、彼女の大学入学を機に疎遠になっていた2人は、数年ぶりに再会するが……『魚のおろし方を学ぶ速度で 新宿西口新都心』、
古本屋で出逢った老人。古本屋で古書を探す人々は“自分の本”を探しているという……『老将軍のオセロゲーム 神保町』、
大海で出逢ったクロマグロとシロザケ。許されざる恋に落ちた二匹の結末とは……『クロマグロとシロザケ 築地』、
“ぼく”が拾った“彼女”と暮らしはじめて半年。ラジカセのような彼女は……『そこにいるの? 大久保』、
幼少期の思い出からクリスマスは怖い日だと思い続けていた“ぼく”。一体クリスマスとは何だ?今クリスマスはどうなっているのだ。その実態に迫る……『クリスマス追跡 渋谷』、
謎のフランス人・マンソンジュ氏の語る日本の姿。しかしそれはちょっと間違っていて……『“クラブ化する日本…その中心部をめぐる一考察” 銀座』、
アパートの一室で闇酒場『バーN』をはじめたNとSとぼく。ひそかに人気を得るが……『うつぼかずらの夜 田町』、
マジックで落書きをされている野良犬は、ある商店街へとたどり着いた。そこには、一年に一度“トラ”が帰ってくるという……『すごい虎 柴又』、
自分の中途半端さや特徴のなさを嘆く“池袋”。そんな池袋に“ぼく”は……『正直袋の神経衰弱 池袋』、
御徒町駅から上野駅まで、500mほど続く“アメ横”。脈絡のなさで統一された商店街を歩いていた“ぼく”は、ふとある店の存在に気づく……『アメーバ横丁の女 上野・アメ横』、
耳掻きを買いに巣鴨に出かけた“ぼく”。そこでは他の場所では虐げられているであろう“もんすら”がもてはやされていた……『もんすら様 巣鴨』、
いきなり“ぼく”の元に届いた起訴状。それは、全く心当たりのない裁判への招待状だった……『お面法廷 霞ヶ関』、
“ぼく”は、ある日、新宿で可憐なダッチワイフを助けた……『天使をジェット気流に乗って 新宿ゴールデン街』、
浅草で“先生”と呼ばれるホームレス。元は寺の住職だったという彼は、仏教用語をおでんで解説するのが癖だった……『吾妻橋の下、イヌは流れる 浅草』、
東京の街に生きるカラスたちの日々……『二月二十日産卵。 東京湾』18編収録。

いしいしんじさんの初期短編集(『とーきょーいしいあるき』改題)。エッセイのような、創作のようなおもしろい雰囲気ですね。
何といっても、マグロとサケの切ないラブストーリーが秀逸です(笑)。

<06/12/30,31>