黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ラギッド・ガール 廃園の天使Ⅱ』飛浩隆(早川書房)

2006-11-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
人間の情報的似姿を官能素空間に送り込むという画期的な技術によって開設された、仮想リゾート<数値海岸>を主な舞台とした“廃園の天使”シリーズ2冊目。短編&中編作品集です。
<大途絶>から300年が過ぎ、外部の人間が訪れなくなって久しい<夏の区界>。16歳の時を繰り返すジュリー・プランタンは、音楽を紡ぐ硝視体<手風琴>を見つけた。彼女は青年ジョゼ・ヴァン・ドルマンの中に、長身の女性の姿を視る………『夏の硝視体(グラス・アイ)』、
<ラギッド・ガール>の作者である阿形渓は、先天性の代謝障害を原因とする醜い肢体の持ち主で、それ故に特異な能力の持ち主でもあった。そんな彼女と<数値海岸>開発の研究所で出逢った安奈・カスキは……『ラギッド・ガール』、
ガウリ・ミタリはルームメイトであったカイル・マクローリンの死の真相を探るべく、カイルの<似姿>へ調査を開始するが……『クローゼット』、
<数値海岸>や他の区界を渡る<鯨>を育成する区界<ズナームカ>に暮らすズラータとレオーシュたちの物語。そして現実世界における反<数値海岸>の活動家ジョヴァンナ・ダークへのインタビュー。それらが語る<大途絶>の真相とは……『魔述師』、
この世界そのものである<汎用樹>。<大途絶>後、その衰弱をひとりで支える蜘蛛の王・ランゴーニ。その蜘蛛衆の一人であるニムチェンは、王の庭から逃げ出し野生化した蜘蛛の討伐に王も加わることを知る……『蜘蛛の王』の5編収録。

前巻の『グラン・ヴァカンス』を補完するような、前後のお話の作品集です。
文章により形作られた独特で緻密な世界設定が、蜘蛛の巣のように張り巡らされている印象ですね。

<06/11/21,22>