Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

「機械遺産」・・・高度経済成長期の証

2007-08-11 21:50:18 | Thinkings
 敗戦後、日本の経済発展を支えてきたのは第二次産業、つまり製造業です。現在まで連綿と続く「もの作り」を経済活動の中心に置く日本のスタイルは、そこで作られてき「モノ」の積み重ねであることは疑うべくもありません。

 しかしながら、建造物と違って、道具としてのモノは失われがちです。使っていくうちに壊れたり、より新しい道具と置き換えられたり・・・どうしようもないですけれど、現存し、公開されているモノとなるとなかなかお目にかかれません。

 そういう意味で、今回紹介するような試みは、大変意義があると思うのですよ。

『機械遺産』25件初認定 “夢の超特急”新幹線 1950年完成胃カメラ 日本機械学会 東京新聞

 蒸気機関車や新幹線、ブルドーザーに胃カメラ。日本機械学会は、歴史に残る日本の機械を保存し、次世代に伝えるため「機械遺産」の認定制度を創設、二十五件を選んだ。現物に触れ、新たな技術開発のきっかけになればと、今後十年で百件程度に増やす計画だ。

 百聞は一見にしかずといいますけれど、やはり、モノは実際に見てみないことにはわかりません。カタログスペックや写真から、よく購入するモノを吟味することはありますけれど、実際に実物を見てみるとずいぶんと印象が違うと言うことはよくありますからね。
 今回選ばれた物のように、現代社会からは失われてしまったモノならなおさらです。当時と今とは設計思想も色々違いますし、何よりコンピューターが無かったですからね。現在は電装系として実装されている部分でも、当時は機械式で制御されているところなど、おもしろいかもしれませんよ。

 世界遺産がその国の風景を保存する物だとしたら、機械遺産は日本の産業を保存する物。技術者の方には、今後も機械遺産に認定されるようなもの作りをつづけていってもらいたいものです。

ニコニコ動画に見る著作権のジレンマ

2007-08-10 20:55:57 | Thinkings
 現在、YouTubeの日本上陸に伴って、著作権的にグレー(もしくは真っ黒)な動画の扱いをどうするかについて、YouTube側と著作権管理会社の間で話し合いの場が持たれていますが、コンテンツホルダー・・・じゃなくて著作権ホルダーのけんもほろろな物言いで、事態の収集にはしばらくかかりそうです。

 さて、動画投稿サイトといえば、最近の躍進めざましいニコニコ動画があります。
 まだユーザー数に回線が追いついていない状況ですが、ここでおもしろい試みが行われています。

 ニコニコ市場です。

 システムとしては、見に来たユーザーが、動画の下に商品のアフェリエイトを貼り付けられ、その商品を何人が見たか、何人が買ったかが表示されるというものです。
 予想外の物が張ってあったり、やけに購入者がいたりとか、アフェリエイトそのものをエンターテイメントの一部として提供するという試みは全く新しいと思います。

 さて、ここでおもしろいのは、著作権がらみの動画には、必ずと言っていいほど元ネタ(あるいはその商品そのもの)が張られ、少なからず売れていると言うことです。

 著作権ホルダーにしてみると、ニコニコ動画で流れているのは確かに違法ではあるけれど、それ相応のコマーシャルにもなっている。ニコニコ動画からコンテンツを一層すれば、その分市場を失う事になる・・・というジレンマが発生します。

 逆に言えば、ニコニコ市場のやり方をもってコンテンツホルダーが納得するならば、ニコニコ動画という「ストリーミングビジネス」は、YouTubeを超えることすら可能かもしれないくらいおもしろくなる可能性があります。

 まだ、常時200万弱しか見ることができないサービスですが、今後の展開が大変楽しみです。
 

ナノの穴で大容量

2007-08-09 20:38:13 | Technology
 PC関連技術で、年々向上が見込まれる物と言えば、CPUにメモリ、そして、ハードディスクの容量です。
 どれも初期の頃からすると、信じられないくらい高速化し、扱える容量も大きくなってきました。
 それらの中でも飛び抜けて進化を遂げているのがハードディスクです。

 搭乗したときはわずか5MB。それが徐々に容量を増やしていき、現在は一つのパッケージで1TBの大容量を実現しています。実に20万倍にまで増えてきています。

 ここまで増えてきますと、我々コンシューマー用途だとちょっと使い道に困ってしまいますが、使用容量の桁が違うサーバーでは重宝される事でしょう。

 さて、桁が違うサーバーでは、1パッケージあたりの容量が大きい方が消費電力やメンテの面で有利です。しかし、現行のやり方では容量の増加もそろそろ頭打ちと言われてきました。
 しかし、それもこれまでのように杞憂に終わりそうな発表がされました。

「ナノの穴」でデータを記録・再生 超大容量HDD実現へ前進 ITmedia

山形富士通と富士通研究所、神奈川科学技術アカデミーのグループは8月9日、次世代HDD技術の実現に向け、極小の穴1つ1つにデータを記録・再生することに世界で初めて成功したと発表した。現行製品の5倍に相当する、1Tビット/平方インチの記録密度を持つ超大容量HDDの実現に大きく近づく成果だとしている。

 本当にどうやっているのかさっぱりわかりませんが、ナノ単位の穴を規則的に並べることに成功、それにデータを記録するという技術を開発したらしいです。もう魔法の世界ですね。

 これによって容量は5倍になると言うことですが、読み出し、書き込みは従来のやり方とは違うような印象を受けますので、現行のHDDのような読み書き速度は出せるのか、製造上の問題点は、何より普及価格まで下りてくるのか・・・と色々心配はありますけれど、とりあえずは楽観的に喜んでおきます。

 新技術の市場投入は発表から速くて3年~5年。それまでに従来技術の改良で、容量が現在の5倍になってなければいいですけどね。

MP3裁判に光

2007-08-08 21:38:05 | Thinkings
 二日続けて裁判の話で申し訳ないですが、以前にお伝えしたMicrosoftとAlcatel-Lucent社のMP3裁判において、一時期不利な判決を受けたマイクロソフトに、それを覆す有利な判断が下されたようです。

MicrosoftとLucentのMP3特許侵害訴訟,地裁がMS不利の評決を覆す ITPro

 米国カリフォルニア州南地区米連邦地方裁判所は米国時間8月6日,米MicrosoftとフランスAlcatel-Lucentのあいだで係争中のMP3技術に関する特許侵害訴訟において,Microsoftに対して賠償約15億ドルの支払いを命じた陪審評決を覆した。

 そもそもこの裁判は、前身のLucent社がMP3の特許侵害をDELLとGatewayに申し立て、Microsoftがそれを救援したことから始まっています。
 奇妙なことに、MicrosoftはMP3のライセンシーをすでに独Fraunhoferから
受けており、提訴の事実についてはまったく事実無根だと訴えていることです。
 ライセンスに関しては何もMicrosoftだけの話ではなく、Appleなど他の大手ベンダーについても同様です。つまり、この裁判でMicrosoftが負けてしまうと、AppleやSonyも巨額の賠償金リスクにさらされる危険性があったのです。

 そして、Microsoftは負けてしまいました。

 Alcatel-Lucentはほくそ笑んでいたことでしょう。しかし、今回の判断は前回の判決とはまるっきり逆の方向に転がったのです。
 内容的には、

同地裁のRudi M. Brewster判事はMicrosoftが457特許を侵害していないことと,Fraunhoferが080特許の共同所有者であると認定し,評決と異なる判断をした。

と、Alcatel-Lucent社の主張がまったく認められませんでした。

 ここまではっきり言い切られてしまうと、前回Microsoftは、まったくの濡れ衣によって陥れられたとも言えます。

 なぜこんな事が起きたかと申しますと、前回の時も書きましたけれど、陪審員制度の悪い点が露呈したと言うことでしょう。
 あやふやで不確かな訴えでも、陪審員の心証さえ勝ち取れば、相手に巨額の賠償金を請求できる・・・今回の件では判事が後に正したわけですけれど。

 このような特許裁判で、かつ専門的な内容の話ですと、一般の人には正直荷が重いでしょう。ともすれば今回のように、業界全体に大きな波紋を広げるようなことでも、弁護士のプレゼン一つで簡単に間違った方に転がってしまいます。

 私は今回は、Microsoft(もちろんSonyやAppleも含めて)の方が正しいと信じています。言ったもんがちの馬鹿げた訴訟をいさめるためにも、Alcatel-Lucent社には徹底的に負けて欲しいものです。 

アメリカの携帯技術、歴史的な「停滞」命令

2007-08-07 22:36:16 | Technology
 日本の携帯電話を見てみると、DocomoはFOMA、auはWIN、そしてSoftBankは直球のWCDMAという通信技術を使っている物がほとんどです。

 これらの通信方式は、以前のCDMA方式から一歩進んだ「3rd Generation(第三世代)」通信方式、略して「3G」というやつです。日本においては、Docomoがi-modeや着うたなどで攻勢をかけたため、高速移動体通信の需要が高まったという背景に押され、破竹の勢いで市場を席巻していきました。
 これは、iPhoneですら2Gであるアメリカ市場とは雲泥の差の普及速度です。

 4Gの普及がまだまだ先になりそうな情勢の中、3Gの携帯電話を普及させることは、通信網の点からも、またサービスの需要を探る上でも、携帯インフラ全体の底上げにつながる重要な事項です・・・が。

 現在、3G通信の中核を担う企業に米クアルコムが上げられます。特許等の関係で、事実上、この企業のチップなしでは3G携帯は生産できません。この企業の作っているチップが「前面輸入禁止」なんて事になってしまうと、要するに、「3G携帯電話が販売できなくなってしまう」のです。
 そして、その事態がお膝元のアメリカで起こってしまいました。

QUALCOMMチップ搭載携帯端末の輸入禁止、ブッシュ政権が是認 ITmedia

 この是正措置の決定を受けて、米国の携帯各社が異議を唱えていたが、今回の政府の決定はそうした反論を却下し、Broadcomに勝利をもたらす結果となった。この決定により、今後一部の通信キャリアは最新の携帯電話技術を備えた携帯端末を投入できないことになる。ただし、既存の機種は今後も輸入できる。この輸入禁止命令は8月7日付で施行される。

 アメリカの市場から、携帯の最新機種が消える・・・何というか本当に冗談みたいな決定です。
 原告のBroadcom社と提携した企業の製品は購入できるようですけれど、現在一社だけということで、まだまだ事態は流動的。

 こうした決定で、アメリカの携帯電話市場は経済的な面でも時間的な面でも大きな打撃を被ると思いますけれど、これも独占であるが故の悲劇というやつでしょうかね。
 売り上げに直接的な影響を受ける携帯キャリア各社は、

「公共安全のために必要となる通信機器まで奪うことになり、携帯電話業界全体にマイナスの影響を及ぼしかねない」

という反対声明を出しています。

 正直なところ、輸入禁止命令は行き過ぎではないかと思います。公共安全にも関連しますけれど、アメリカ全体で携帯電話の入手性が一気に下がる事になりますし、旧世代技術の余命延長にもつながりかねませんから、マイナス影響は計り知れないでしょう。

 技術的にも市場的にも最先端を行くアメリカですが・・・訴訟の最先端は、どうやら少し歪になってきているようですね。

「壜詰めの太陽」と「屋根裏の月」

2007-08-06 18:39:14 | Thinkings
 私は変なガジェットが大好きです。その中でも光り物は、何とも言えない魅力を感じるものです。

 たとえばマグライトのような懐中電灯は、実用目的以外にもつい買ってしまいたくなる衝動に駆られますし、部屋には合わないから買わないけれど、幻想的なスタンド照明は眺めているだけでいやされます。

 勢いで買ったホームスターも、決して後悔はしていないですよ?

 さて、ここからが本題。engadgetにて変わり種の照明器具として、ある意味「コンセプトが」究極と言える二つのアイテムが披露されていました。

壜の中の太陽 engadget

光発電パネルと充電池、LEDでできた"Sun Jar"(太陽壜)。昼のあいだ外や窓際に置いておけば、夜には捕まえた太陽の光(で充電した電池駆動のLED)が灯ります。

自分専用お月様「パーソナル・ムーン」 engadget

望んでも手に入らないものの代名詞「月」を自分専用にできる「パーソナル・ムーン」。

 片や小振りの瓶に仕込まれた赤色LEDが表現する太陽と、人の背丈ほどもあるばかでかい三日月。太陽の方はちょっと欲しいですけれど、月の方は見るだけならまだしも、欲しいとは思わないですなあ・・・もっとも、月の方は買えませんけれどね。
 ただ、原文とリンク先にある写真はどれもかっこいいです。個人的には屋根裏で光ってるやつがお気に入り。映画とかでありそうな光景です。

 この二つのガジェット、両方ともとてもシンプルではありますので、がんばれば自作も夢ではなさそうです。月の方はちょっと大きさがネックですけどね。それを見越してか、基記事にこんな一文が。

新月なら手軽に自作できるかもしれません。

・・・いや、新月は真っ暗ですから・・・ 

一次電池も捨てたもんじゃない?

2007-08-05 21:47:00 | Technology
 通常の電池、マンガン、アルカリ、オキシライドなどを一次電池、充電ができる電池を二次電池といいます。

 近頃、世間では二次電池が大人気です。エネループに代表される一次乾電池の置き換え用途のものはわかりやすい例ですが、携帯電話やワイヤレスマウス、ポータブルプレイヤーも二次電池がメインの電源となっています。ソーラーと二次電池を組み合わせた腕時計も続々と増えていますし、エコロジーやエコノミーと言った言葉の後押しも相まって、一次電池はなんとなーく肩身が狭そうです。

 しかしながら、そんな中でもがんばっている一次電池があります。

乾電池で時速100キロ、ギネス認定 松下と大阪産業大 asahi.com

 乾電池で走る車が時速100キロを超す高速で駆け抜けた。松下電器産業と大阪産業大学のチームが4日、茨城県城里町の自動車走行試験場で記録に挑み、瞬間最高で時速122キロを記録した。英ギネス社は同日、2回の走行の平均時速105.95キロを「乾電池を動力にした車の速度」の世界最高記録として認定した。

 以前にも有人飛行機を飛ばした事のある「オキシライド乾電池」がそれです。

 従来のアルカリよりも長寿命な乾電池として市場に投入され、ある程度消費電力の強い機器に使用するとアルカリの倍ほど長持ちするのが特徴です。また、初期の起電力が強いのも特徴で、ギネスの測定でも、一回目の測定の方が速いのはそのせいです。
 この電池が投入された背景には「デジカメなど、電子機器の駆動時間を延ばす」というものがありますが・・・アレ?デジカメって最近は専用設計の充電池ばっかりなんですけど・・・?

 あと、LEDの懐中電灯(フィラメント式はバツ)や携帯の充電とか、ポータブルプレイヤーのバックアップとかには使えそうですかね。
 考えてみれば、一次電池を使う用途が減ってるですね。

 それでも、それぞれに得手不得手があるわけで、用途にあった方を選択して使うのが一番なんですけれどね。掛け時計みたいな一年以上電池が持つ器具に、1000回充電できる二次電池はオーバースペックでしょ?とっさのバックアップにエネループ買うのももったいないですし。
 賢い消費者になってくださいね。

地デジへ チューナー普及へ喝

2007-08-04 18:05:04 | Technology
 テレビの地上アナログ停波まであと4年。着々と近づくXデーに向けて、家電売り場はますますヒートアップしてきています。
 今年は五輪需要もあり、テレビの買い換え促進に期待がかかりますが、安くなったとはいえ、地デジ対応のテレビはまだまだお手軽な価格とは言えません。

 それに、現在家庭にある古いテレビでも、まだまだ使える物はたくさんあるわけですし、今現在もまだ、アナログチューナーのみのテレビも売られています。

 それらをすべてゴミにしないために大切なのが、デジタルチューナーです。総務省は、そのデジタルチューナーを普及させるべく、業界に喝入れを行いました。

地デジ完全移行に向け簡易チューナは5,000円以下に
-情報通信審議会が答申。低所得層への支援策も検討
 AV Watch

 「消費者の関心が高い」というチューナの価格については、「現在使われているアナログテレビに接続して、デジタル放送を視聴するための簡易なチューナが早期に安価に市場に出回ることが必要。2年以内に5,000円以下の簡易チューナを入手できる環境を整えることが望まれる」と提言している。

 チューナーが5000円以下になるならば、古いテレビの延命にも活路が見いだせそうです。と言うよりも、ようやくアナログ停波に向けて、買い換え以外の前向きな具体案が示されたと見るべきでしょう。
 また、単体のチューナーの値段が下がれば、新品テレビの値段も下がってくるでしょうから、最終的にはアナログのブラウン管と同じくらいの値段で買えるようになるかもしれませんね。

 地上アナログの停波は、電波という有限の資源を有効利用するためにも、必要な措置だと考えています。今後のモバイル通信の趨勢を考えると、なんとしてもやっておきたい事にまちがいありません。そのためにも、期日通りに混乱無く移行するのは大切なことです。

 スムーズにやれるか、なんて来年のこともわからないのに4年後のことなんてわかったものではありません。ただ、いくら前から通知をしていようとも、直前になってわめき出す人間は出てくるものです。そういう輩が出てきても、これ幸いとマスコミから叩かれないよう、うまい対応を積み重ねていってもらいたいものです。

落ちた橋に思う

2007-08-03 20:20:34 | Thinkings
 アメリカのミネソタで、橋が落ちました。

ミネソタの橋、連鎖的に崩壊か 気温差が影響の見方も asahi.com

 米ミネソタ州ミネアポリスで1日に起きた高速道路の橋の崩壊は、構造上の欠陥が原因との見方が強まっている。目撃者などによると、最初に橋の一部が落下し、その後、連鎖的に他の部分が崩壊したという。

 現在も救出作業が続いているようですが、利用している人たちにとっては避けようが無かった事故だけに、なんとも痛ましいものです。
 事故は構造的欠陥が原因・・・なんて分析されていますけれど、日本の耐震偽装も放っておいたらこのような事態になっていたのかもしれません。

 しかしながら、日本の耐震偽装と大きく異なるのが以下の点。

 地元紙スター・トリビューン(電子版)は、崩壊した橋が05年、米運輸省に「構造的に不完全で、場合によっては架け替えが必要」と評価されていたと報じた。一方、01年に同州運輸局が出した報告書では、三角形に鉄骨を組んだトラス構造の各部に金属疲労を確認しながら、「高い予算をかけた橋の架け替えは延期してもよい」と結論付けていた。

 日本の場合、耐震偽装が発覚した建物は即刻取り壊しになるなどの対処が行われましたが、アメリカの場合はそうでなかったようです。やはり地震による建物崩壊の危険にさらされている日本と、そういう意識の薄いお国柄の違いというやつでしょうか。

 とはいえ、日本で耐震構造計算偽装がセンセーショナルに報道されてからずいぶんたちます。日本における建造物の安全性に不振を振りまいた事件でしたが、「地震国である日本の建造物は強い」という神話を木っ端みじんに吹き飛ばしたのは阪神大震災です。
 横たわる高速の高架を目の当たりにして、薄ら寒いものを感じたのは私だけではないでしょう。

 橋が落ちたときは・・・なんて考えるだけでいやですが、かといって渡らなくては移動もできないわけで。橋の管理者にはこれまで以上に真摯な検査をお願いしたいものです。

5秒間を最大限に使うために

2007-08-02 19:22:11 | Technology
 以前、このブログでも記事にした、気象庁の地震速報。(五秒間で何ができるか

 以前にも指摘しましたが、5秒間という時間は何をするにも短く、できることは非常に限られます。「人間にとっては」。
 しかし、機械に、とりわけコンピュータにとってみると、5秒というのは存外に長い時間です。では、その五秒間を何に使うことができるのか。それにいち早く取り組み、製品化したのがNECです。

NEC、緊急地震速報のPC表示用ソフト「震前大使」 PC WATCH

 今回の震前大使は、緊急地震速報をサーバーが受信し、それぞれのクライアント(最大128カ所)に情報を再計算して再配信するソフトウェアシステム。地震の到達時間や震度の再計算を行なうことで、各地点への到達時間や震度を設定地ごとに表示できる。

 名前はいかにもふざけていますけれど、内容は至ってまじめ。企業向けのクライアント・サーバー型地震速報活用ソフトウェアです。
 いざというときポップアップして、クライアントに正確な地震到達予定時刻を知らせる、というのが主な機能ですけれど、これだけだったら携帯キャリアの速報サービスと大して変わりません。
 重要なのが、この先の機能です。

ブザー、エレベーター、館内放送システムなどと連携できるよう、接点出力や連携用プログラムを用意。これにより、公共施設で注意勧告、警察署や消防署の対応の迅速化、緊急車両が閉じこめられないようにシャッターを自動で開けるなどが可能になるとしている。

 つまり、設備と連動させることにより、いかに被害を少なくするかという案件を「実行する」ためのソフトウェアだということです。

 とっさの地震警報に、適切に人間が判断を下して行動できるかは難しいところですが、プログラムで制御されたプログラムなら、被害減少に最適なパターンを実行することが可能です。ガスの供給を止める、非常扉をあらかじめ開ける、窓ガラスを路上にばらまかないようシャッターを下ろすなど、できることはいくらでもあります。これこそが、正しい地震警報の使い方だと思うのです。

 将来的には、派生商品や競合他社の製品もたくさん出てくると思いますけれど、変わらず重要なのは、いかに被害を減少させるかということ。

 たった5秒、されど5秒。せっかくあるものを最大限利用することは、こと災害においてはとても大切なことだと思いますよ。