Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

加速するモバイル KDDIが"参入"へ

2007-11-29 20:15:47 | Technology

 とうとうというか、なるべくしてなったと言うか・・・全国で使える「定額の」高速移動体通信が実現します。

KDDI、PC向けデータ定額プランと専用データカード「W05K」を発表 ITmedia

 KDDIは11月29日、京セラ製のEV-DO Rev.A対応データカード「W05K」と、専用のPC・PDA向けデータ定額制料金プラン「WINシングル定額」を発表した。端末は12月下旬に発売し、定額プランも同時に提供を開始。2008年2月にはASDL回線をセットしたサービスも提供する。

 Wilcomは以前から定額サービスを導入してきましたが、通信速度の点が家庭やフリースポットと比べて乖離してきており、動画どころか、通常のWeb閲覧でもストレスがたまる状況です。
 また、Docomoの発表した定額プランも、「Web閲覧に限る」という縛りが付いており、動画などのいわゆるリッチコンテンツには対応していませんでした。

 しかしながら、今回KDDIが発表したプランでは、

 プロトコルや利用アプリケーションによる制限はなく、YouTubeなどの動画サイトやFTPなども利用できる。

という、まさにブロードバンドという形になっています。

 もっとも、回線への負荷を抑えるため、混雑時の速度制限や、大量のデータのやりとりに対する切断なども行うそうなので、本当にそのままという訳ではなさそうですが。詰まるところ、ファイル共有はダメだ、と言うことでしょうかね。

 せっかくモバイルノートを買ってみても、ネットが使えるのは家と職場だけ。Wifiが付いているからフリースポットとは思っても、地方はおろか主要都市でも使えるところは本当に限られます。そういう状況がこのプランの登場で少しは緩和されると言うことですね。
 金額的には、月に6000円程度からと、Wilcomとそう変わらない金額。Docomoと比べるとずいぶんリーズナブルですね。とは言え、携帯をまるまるもう一つ持つことになるわけですから、今現在家でブロードバンドが謳歌できる人は無理して導入してももったいないとも思いますね。それよりも、固定電話がアパートなどに無く、今までもAirH"などの頼らざるを得なかった人に是非とも使って欲しいサービスではあります。

 何より、Winnyは最初から使えないとあきらめられる事で、余計なセキュリティリスクを抑えることも出来ますからね。


Nintendo DS 販売台数で2000万台突破

2007-11-28 19:41:13 | Thinkings

 先日新型PSPが100万台を突破したニュースが流れていました。発売開始2ヶ月で100万台というのはどうなんだろうか?とも思ったけれど、どうやら初代よりも2週間ほど早い期間での達成だそうです。100万台というマイルストーン的数字はわかりやすいし、「売れてるなあ」というポジティブなイメージを与えるにはちょうど良い数字ですよね。

 かつて、初代PSが「いくぜ100万台」というキャッチコピーでCMを打っていたのが懐かしいですが、今のゲーム業界は「100万台を超えるのはむしろ当たり前で通過点」の様な印象を受けますので、時代は変わったものだ、としみじみと思う次第です。
 もっとも、据え置きの方はそういうわけにもいかず、一番売れていないXBOX360で40万台、PS3で121万台となっています。当時のPSの競合機種である3DOは普及台数が見つかりませんでしたが、ピピン@が”世界で”4万2千台、PC-FXは・・・40万台も売れてたのか。別の意味で衝撃・・・サターンも500万台以上売れてますので、まだまだこれからなのか、ゲーム業界が細っているのか・・・

 そんな中で、着々と覇道を突き進んでいるのが任天堂のNintendo DS。携帯機だと言うこともあるのでしょうが、先日2000万台を突破したとのことです。

ニンテンドーDSが2千万台突破 PS2の2倍の速さで asahi.com

今月25日の時点で、初代のDSが約645万台、DSを軽量化した「ニンテンドーDS Lite」が約1360万台で、合計で約2005万台と大台を突破した。

 DSは04年12月2日に発売されてから、まもなく丸3年を迎える。

 エンターブレインによると、96年以降で2000万台を超えたゲーム機は、ほかにソニーのプレイステーション2(PS2)がある。PS2は2000年3月の発売から2000万台到達までに約6年半かかっており、DSは、その2倍以上のスピードで大台に達したことになる。

 2000万台という数字ともなると、ちょっと多すぎて想像できないですよね。ちなみに東京ドームの収容観客数は45,600人。つまり、DSの延べ購入者数が全員招待されるイベントを開いたとすると、約440回の開催でようやくさばけることになります。ピピン@なら1回でOKです・・・

 もうちょっとわかりやすい数字になおしますと、国内販売で2000万台と言うことは、人口の6分の1、だいたい2世帯に1台くらいの割合で普及していることになります。日本を代表する据え置き機となったPS2に比べても圧倒的とも言えるスピードでの普及速度から、まさしくゲーム業界の新しい時代を開拓したと言えるでしょう。

 しかしながら、個人的な興味はやはり据え置き機。年末商戦に向けて、Wiiはどれだけ普及台数を伸ばすのか?そして、PS3とXBOX360は日本市場に残れるのか?要注目です。

 冗談は置いておいても、両陣営にとってはまさしく後のないリターンマッチとなるわけで、せめてどっちかは芳しい結果を出して欲しい物です。単一プラットフォームほどつまらない業界は無いですからね・・・


風車1台で一都市の電力を・・・歴史を超える風力発電所

2007-11-27 20:06:24 | Technology

 生活に必要となる電力は、年を追うごとにますます増加してきており、近年では家の中のエネルギー消費を全て電力でまかなう「オール電化」なるものも現れてきました。
 要するに、コンセント無しでは暮らしていけない世の中になったって事です。

 それらの電力を供給するためには当然莫大なエネルギーが必要になります。

 例えば、今の日本において一番使われているのが火力発電。化石燃料をガンガン燃やしてお湯を沸かし、そこから出る蒸気でコイルを回し、電気を作っています。次に使われているのが原子力。これは、核分裂エネルギーでお湯を沸かし、そこから出る蒸気でコイルを回し、電気を作っています。

 この二つは資源を消費しているわけですから、最終的には行き詰まりを迎えます。また、電気を使った後に出来るもの(火力なら二酸化炭素、原子力なら放射性廃棄物)も問題になります。

 そういうことを考えたときに、有利?になるのが自然現象を利用した水力発電や潮汐発電、地熱発電・・・そして風力発電です。

 お隣の中国では、増大する使用電力をまかなうため、超壮大な風力発電が計画されているようです。

一都市に電力を供給する巨大磁気浮上風力タービン engadget

中国の中科恒源 (广州中科恒源能源科技股?有限公司)が開発するこの技術は垂直型の風車に強力な永久磁石を組みあわせて羽根部分を磁力で保持、大幅に抵抗を軽減するというもの。謳われているのは例えば1.5m/sといった微風から40m/s超の強風まで発電が可能、おなじ風で「従来のウィンドタービン」比+20%の出力が得られ、またボールベアリングを使わないため運用・メンテナンスコストは半分で済むetc。

 この風車のおもしろいところは、従来の風車よりも大きな物を建造できるところ。なんでも、一基の巨大な風車を建造すれば1ギガワット、75万世帯分の出力が得られるそうで・・・設置面積は、周辺設備含めて0.4平方km以下・・・630m×630mって、やっぱりスケールが違いますなー。それでも、同出力を得られる従来の3枚羽根の風車”群”に比べると、0.15%の設置面積なんですって。

 あくまでもこれらは「理論値」ですから、実際の運用となるとこううまくいくとはとても思えません。それを抜きにしても夢のある計画ですよね。特に、

耐用年数は500年超。

なんていうところは感動すら覚えます。5世紀もの間、人々の生活を支え続ける超巨大な風車・・・400年後くらいを想像して思わずにやけてしまったのは、私がSF好きだからでしょうね。

 こういう計画は、是非とも資源輸入国である日本にも導入して欲しいところ。こういう代替手段が育つ、それまでは原子力や火力に目一杯がんばってもらうとしましょう。


世界一?外見にそぐわない役割を与えられたロボット

2007-11-26 20:13:31 | Technology

 何気なくengadgetをふらふら巡回していた私の目に、アメリカ軍のパワードスーツの記事が飛び込んできました。

 確かに、リアルタイムで人間の動きに合わせてパワーアシストが出来るこのスーツはすごいですけれど、私が目を奪われたのは、むしろそこからのリンク。

いつの日にかこんなロボこんなロボに率いられたこれとかこれの大群に立ち向かう人類最後の希望になるかもしれません。

 とりあえず、一個目のリンクをたどってみると、なにやら厳つい顔をした上半身だけのロボットが・・・ルービックキューブをいじっています。

ルービック‥キューブを解く人型ロボットRubot II  engadget

 なんでも、ルービックキューブをそろえるだけでなく、前後に小芝居を挟むことで、コミュニケーション能力をも求めているようですが、その紹介文が全てを表しています。

サラコナーはどこにいる キューブをシャッフルしてクダサイ」

 まあ、ルービックキューブをそろえるロボットにはあるまじきビジュアルなのは間違いないですわ。

 しかしながら、二つ目のリンクはこれを凌駕していたというか、立っているステージが違いました。私は、これを日本企業がやっ(てしまっ)たことを誇りにすら思いますね。

ビルドアップから「黒酢をイメージした」黒いヒューマノイド・ロボ engadget

上のどう控えめに見積もっても全人類奴隷化を狙っている風情のロボットはタマノイ酢からの受注で製作された「プレゼン・ロボTYPE 02」で、殺人ロボ軍団の指揮ではなくお酢のプレゼンが使命とのこと。

 なにぶん半年くらい前の記事なので、見たことがある人もたくさんいそうですけれど、私はお酢についての認識を改めなくてはならないか?という錯覚に襲われるほどの衝撃を受けました。

“ 世界一 お酢に詳しいロボット ”を、 (株)ビルドアップ が 開発

 こちらは開発元である(株)ビルドアップのプレスリリース。
 180cmのボリュームと、前身漆黒のボディ。曲線を主体としたデザインと、甲冑を思わせる胸部パーツに広い肩幅。威圧感をもたらすスカートに、シャープで無機質な頭部・・・

 食品系のマスコットキャラクターと言えば、もっとラブリーなモノを想像しますけれど、このロボットは予想の斜め上どころか、真逆に持って行かれた感じです。このまま、映画の悪役で十分通用しそうです。むしろ、こんなロボットと一対一で相対したら死の恐怖ですよ。

 なんでこれでOKが出たのか激しく疑問ですけれど、実用ロボットとしては間違いなく5本の指くらいに入るかっこよさだと思いますので、まだ見たこと無い人はリンクへどうぞ。

 ヒューマノイドロボットはこれからも続々開発されていきますけれど、今後、こういうのが私たちの生活にまで入ってくるのは、まだまだずいぶん先でしょう。それまでの過程を楽しみたい者としては、こういうはっちゃけてしまう企業が今後も現れて欲しいなあ、ってことです。


16万円の携帯電話

2007-11-25 15:20:25 | Thinkings

 「あると便利なもの」から「無いと困るもの」へのシフトが終わりかけている携帯電話ですが、ものとして一般化が進んでくると、価格に対しても消費者の目は厳しくなっています。ドコモの最新機種なんかは5万円とかする端末もあるにはあるのですけれど、ほとんどの人にとってはスルーの対象でしょう。

 一般的に、電子機器と言うのは高機能、多機能になると価格が高くなるものです。携帯電話の中で高機能、多機能なジャンルというと、やはりスマートフォンになりますけれど、その中で今年一番話題に上ったのはiPhoneでしょう。

 相変わらず日本での使用の目処は立っておらず、とりあえずiPod touchでお茶を濁しておりますけれど・・・アメリカ、ドイツではすでに販売が始まっています。ここで問題になっているのはキャリア限定の問題。アメリカではAT&T独占となっていますし、たぶん日本でもキャリアを限定して使用制限をかけることになると思いますけれど、欧州ではそうはいかなかったようです。

 と言いますのも、欧州では独禁法に対する考え方がかなり強固でありまして、「マイクロソフトもメディアプレイヤーやIEをWindowsに付属させるのは違法」という判断を食らっていたりします。・・・個人的にはそれによって受ける個人の不利益の方がだいぶん大きいような気もしますけれどね。
 今回のiPhoneもその例に漏れず、「単一通信キャリアでしか使えない端末は違法」となったわけです。それを受けて代理店のTモバイルはどういう対処を取ったかと言いますと・・・

独Tモバイル、「iフォン」16万円に“値上げ”・裁判所命令受け Nikkei Net

 携帯電話事業者の独Tモバイルは21日、同国内で米アップルの携帯電話機「iフォン」を999ユーロ(約16万円)で販売すると発表した。2年間の通信契約を条件に、9日に399ユーロで独占的に売り出したばかりだが、消費者の選択肢を狭めるとして裁判所が通信契約なしでの販売を命じたため、異例の“値上げ”措置を打ち出した。

 ちなみに、Tモバイルで使うときは399ユーロのままなんですって。そういう風にダンピング?することはどうやらありみたいです。

 この措置をやったときに、果たして16万円・・・つまり普通に買うよりも3倍近く高い金額出してまで、iPhoneを他社で使いたいと言う人がどれだけ出るんでしょうか?それに、専用サービスの制限もあるでしょうし・・・
 私にとっては、399ユーロ=6万4千円と言う値段も、携帯電話というカテゴリで考えれば十分すぎるほど高いと思いますけれどね。・・・touchに5万円出した人の言葉じゃないですか?そうですか。でも、16万円はどう考えても”無し”ですよ。今日日PCだって普及価格のものはそんなにしないし。

 ところで・・・そんなにiPhone使いたいですか?確かにインターフェイスは革新的だと思うけれど、今時3Gでもないし、冷静に考えれば、使用できる機能自体はそこまで目新しいものでもない。現状ではアップルのソフトウェアしか使えないし、そもそも、手探りで電話をかけることも出来ない。
 携帯電話として使うなら普通の携帯電話の方が遙かにいいし、電池の問題もあるから、音楽聞きたいなら別にiPod用意すればいい。その方が、たぶん費用も安く済むと思う。

 今後はこの事例を受けて、他国での販売形態にどう影響してくるのかが注目されるとありますけれど・・・もし、こういうやり方で売らざるを得ないとしたなら、私なら代理店には手を挙げないような気がします。果たして孫社長はどういった判断を下すのやら。


Second Lifeで騒ぐのはもう終わり

2007-11-24 21:22:16 | Thinkings

 そろそろみんな目が覚めてきたのだと思いますけれど、Second Lifeの報道が徐々に少なくなってきました。かつてはこぞって「新たなビジネススペースの誕生だ」と報道され、大企業が続々と参入を決めたことで、大きなムーブメントが起きていると”思われた”ものです。

 実際には全くそんなことはなく、企業ブースは常に閑散としており、日本のアクティブユーザー数は相変わらず3万人止まりです。

 報道機関も「ネタにならない」事が分かってきたのか、このような記事も散見されるようになりました。

なぜ「ニコ動」は盛り上がり、「Second Life」は過疎化するのか ITmedia

 「Second Lifeは、描画が3Dになり、見た目上は進化しているように見える。だが、その進化は本当に、ユーザーが求めているものだろうか。見た目にだまされず、見えないもの――時間に着目すれば、なぜSecond Lifeがバッシングされ、ニコニコ動画が受け入れられたか分かってくるだろう」

 この記事では、ニコニコ動画の共有する時間軸と、Second Lifeの時間軸は違うモノ・・・具体的には、前者はいつ何時でも、「動画のなかで現実の時間軸を超えて空気を共有できること」そして、後者は「同時期にアクセスしていなければ、時間軸を共有できないこと」から結論を出しています。

 対して、Secound Lifeを養護している人ももちろんいます。

Second Lifeは本当に「閑散として」いるのか。---ネガ報道の裏側と「時間の問題」 CNET BLOG IT's Big Bang! -- ITビジネスの宇宙的観察誌

Second Lifeについてはこの時間軸を「疑似同期できない」点が、人気のない要因とされているのだが、それは一面的な見方ではないだろうか。というのは、 Second Lifeでは「3次元空間の共有」という重要な特徴があり、それは「時間軸のマネージメントに優れた」とされた先の2つのサービスでは、絶対に体験することのできない機能であるからである。つまり、これは時間と空間のどちらが大切かというような議論に近いものであり、であれば答は「どちらも大切であり」「どちらも捨てることはできない」という回答にしかならない。

 とはいえこのエントリは、あくまで、時間軸だけで語っていいの?という前の記事への反論で、

ここでやっぱりSecond Lifeだと言い張るつもりもない

とも言っておられます。

 個人的にはどちらの言い分も分かるのだけれど、やっぱりユニークユーザーが3万人というのはマーケティング対象としては非常に問題があると思いますし、同時にSimに入れる人数=イベントに参加できる人数=80人程度というのは、テーマパーク的なものとしても人数が少なすぎないか?とも思います。

早速移動して、デモの参加者にも超満員のコンサート会場をお見せすることができ、「これは凄い世界だ」という感嘆の声が会場から上がっていた。

いくらイベント会場が超満員に見えても、せいぜい80人程度ですよ?これはかなり「プレミアム」なイベントじゃないでしょうか。

 最大の問題は、Second Lifeを”ビジネスの場”として過剰に報道したマスコミにあるのでは?無理にマーケティングに使うのではなく、コミュニティ・サービスという形ならば画期的でおもしろいサービスだと思いますけれどね。新しいサービスを、ユーザーに根付く前にマスコミと企業が食い荒らした典型でしょう。あれだけ報道を繰り返したにもかかわらずアクティブユーザーが大して増えていないことからも、今後、日本では静かにフェードアウトしていくことが予想されます。

 SonyがPS3でHomeという新しいメタバースを売り出そうとしていますけれど・・・変に商業主義に走るとSecond Lifeの二の舞になるような気がする。報道ラッシュとか大企業続々参入とかいうニュースが流れないといいですけれどね。


もしかしたら、携帯電話事業はもっともクリアな事業なのかも知れない

2007-11-23 23:59:56 | Thinkings

 「料金プランが分かりにくい」「オプション契約が解約しづらい」「端末の販売形態が多様すぎる」

 このような様々な不満が叫ばれている携帯電話事業ですけれど、実は日本で行われている事業の中でも、もっともクリアでわかりやすいものの一つではないかと思い始めました。

 なんでそんなことを思うかと言いますと、まず各社が使っている「電波帯域」というのが有限にしか存在しないため、事業を始める、拡張するためには他社と競争をしなくてはいけないこと。そして、参入業者が少ないことと社会的注目度が高いため、各社間のカンファレンスや国との討論会の内容が、逐一報告されると言うこと。

 今回報道された2.5GHz帯の事業参入についても、かなり詳細な記事が各ニュースサイトから配信されており、各社の持論が読めるようになっています。

2.5GHz帯事業参入を巡り公開討議,ソフトバンク孫社長がウィルコムとKDDI陣営の排除を主張 ITpro

「誰が日本を世界一ブロードバンドが安くて速い国にしたのか。誰が一番この分野で“毛が抜ける”ほど頑張ったのか。パソコンを使ったブロードバンドのワイヤレス化ということであれば,我々の方が得意である」

 今回がんばっていたのは孫氏ですが、各社のプレゼンや意見にしても、それぞれに納得できる点があり、大変おもしろい内容です。

 以前のモバ研との「SIMロックフリー問題」の一件でもそうでしたけれど、国や各社の思惑が逐一オープンにされています。そのことで、その後に行われた料金プランの変更や方針転換の経緯が分かりやすくなっているのです。

 決めごとを密室で行っておらず、帯域に厳格な制限がかけられている以上、Blu-RayとHD DVDのような完全につぶし合うような規格の乱立も防がれています。(今は問題ない、ってだけですけれど。)さらに、いくら分かり難いとはいえ、各社ごとに特徴のある料金プランと価格を用意しており、自由競争が(小規模ではあるけれど)保たれています。

 こういう状況に持ってこられたのは、私は孫氏の影響が大変強いと思っています。外に向けてのセンセーショナルなパフォーマンスと、会議さえも注目「させられる」言動。しかも、強引な点があるとはいえ、大概は説得力のある意見である事も重要です。
 私はソフトバンクユーザーではないですし、Yahoo!BBも使っていなければ、検索はもっぱらGoogle使っているという関係なさ具合ですけれど、今後も孫氏にはがんばっていただいて、モバイル、ひいては日本の通信事業をオープンな市場にしていっていただきたいですね。・・・そのためにも、ドコモ、auには「ソフトバンクをトップにしない」ようがんばっていただきたいです。


再生医療に新たな道

2007-11-22 20:54:12 | Science

 再生医療という言葉をご存じでしょうか?簡単に説明するならば、体の失われた組織を新たに作り直して、元の状態に戻す医療技術のことです。

 今までに施術されている例としては、あごの骨を失った人に対して、人工的な骨の”骨組み”を埋め込み、骨を骨組みに合わせて再生させ、顔の形を戻す等と言うことが行われています。

 しかしながら、もっと複雑な器官、心臓とか腎臓、肝臓などの内臓や目などは、さすがに作り出すことは出来ません。

 そこで熱い注目を集めていたのが「ES細胞」と呼ばれるものです。

 ES細胞は、初期段階の受精卵から取り出される細胞です。ご存じの通り、受精卵は最初たった一つの細胞でしかありませんが、徐々に細胞分裂していく過程で、手とか足、心臓、脳と言った、様々な器官を作っていきます。つまり、最初のたった一つの細胞が、人間を作るあらゆる器官に「化ける」と言うこと。
 ですから、この細胞をうまくコントロールしてやれば、移植用の様々な臓器を「生産」することができると言うわけです。

 ですが、この万能に見えるES細胞にも様々な問題がありました。

 ES細胞の原料が受精卵、つまり、将来的にヒトになるであろうものの可能性を奪ってを使って作られるという倫理的な問題。そして、ES細胞で「作った臓器」といえど、移植される側からすれば、それは「他人の臓器」と一緒な訳で、必ず拒絶反応が出ると言うことです。

 では、それらの問題をクリアできた「万能細胞」が出来たとしたら?

ヒトの皮膚から「万能細胞」 日米の研究者が別々に CNN

日本と米国の研究者がそれぞれ別々に、ヒトの皮膚から胚性幹細胞(ES細胞)と同等の全能性を持つ「万能細胞」をつくり出すことに成功したと発表した。

 すでに生きているヒトの皮膚細胞から、と言うことは、まず受精卵を入手しなくても利用が出来ますし、何より、患者の皮膚から新たな臓器を作り出せることで、DNAレベルで同じ、つまり拒否反応のでない代替臓器を作ることが出来るわけです。

 この画期的な研究が大成するならば、現時点では他人からの移植しか直る手だてが無く、ドナーをひたすら待つだけという状況が一変しますし、臓器売買の闇ルートも壊滅に追い込むことが出来るかも知れません。本当にたくさんのヒトの命を救い、安心を与える研究だと思います。

 こういう研究こそ、国を挙げてバックアップして欲しいものです。それこそ、特殊法人を10や20つぶしてでもですね。



追記:
 国からの支援策が発表されましたね。よかった、まだこの国は大丈夫かも知れない。
 今後の展開に期待しましょう。

指紋採取は横暴なのか

2007-11-21 19:16:56 | Weblog

 外国人入国者からの指紋採取が11月20日から始まりました。テロ対策の名の下に、危険分子の入国を水際で防ぐものです。

 最初は私も乱暴だな、とか思いましたので、以下の様な批判も当然出るだろうと思っていましたけれど・・・

世界67団体が反対声明 nikkansports.com

 でも、こういう効能を見せられてしまうと、やはり必要な措置なのかなあと思ってしまいます。

新入国審査 5人が強制退去者 過去の指紋データと一致 退去手続きへ 東京新聞

 五人が過去の強制退去者の指紋データと一致。うち三人は偽変造したパスポートを使って入国しようとしたとみられる。一人には既に退去命令が出され、もう一人にも退去命令の手続き中。

 要するに、テロリストだけじゃなく、某アジアから流入してくる犯罪者の入国を拒むという事も結果的に可能になるわけです。指紋のような生体データならば、パスポートや名前の様にごまかすことが難しいですから、再入国してこようとする犯罪者に対して一定の抑止力が期待できるというわけですよ。

 日本人がアメリカに行っても指紋を採られるわけですけれど、別に悪いことをしようと思わなければ、全く怖くない措置です。プライバシーがどうの、という向きもあると思いますけれど、政府には元々ほとんどの個人情報を握られているも同然なのだから、今更ぎゃあぎゃあ騒ぐことでも無いと思うわけですが。

 最初の引用記事で、

 声明は「公の場での議論や政策的な検討がほとんどなされないまま、高度な政治的判断で承認された制度だ」と指摘。「日本へのすべての訪問者を犯罪者であるかのように扱うもの」と批判している。

じゃあ、今のこのご時世の中、外国人犯罪者とかテロを効果的に防止する代替案を何か出してくれ・・・と、日本人の一人として思うわけですけれど。

 確かに気分を害するのは分かる。でも、初日で5人、犯罪者の入国をこの措置は防いだ。その事実は、とても重いんじゃないでしょうかね?


この開発ツールにはバグがあります!

2007-11-20 19:43:22 | Technology

 プログラミングをやっている人にとって、うまく動くはずのコードが何故かエラーを吐いてくれたり、どう考えても成功するようなテストデータがうまく通らなかったりなんてことは、割と日常茶飯事だと思います。ええ、日常茶飯事ですとも。

 思わず他人のせいにしたくなるようなこういう事態ですが、ほぼ99%は自分のミスが原因で起こります。カンマとピリオドを間違えていたりとか、シングルクォーテーションが必要なところに付けていなかったりとか・・・フラグ設定が間違っていたりとか、そもそも仕様から外れた見当違いな処理をさせていたとか。

 しかしながら、リファレンスマニュアルとどれだけにらめっこしても。業を煮やしてソースコードを全部打ち出し、一行ずつマーカーで線を引いていったとしても。どこにも間違いが無かったときという事が存在します。・・・つまり、OSとか、開発ツールにバグがある場合です。

 そういう時は、バグフィックスが公開されていれば速やかにパッチを当て、何も無ければ、呪いの念を送りながらバグを回避したコードを書くと言う処置を執ることになりますが・・・当然、費やした時間は戻ってきません。

 最近の開発環境は、それ自体が巨大なアプリケーションとなっていますので、当然数多くのバグを内包することになります。これは必然です。ですが、アプリケーションを開発するための環境にバグがあるというのは大変恐ろしいことですので、初期出荷の段階から、他の製品よりもいっそうのデバッグが求められるのですが・・・Microsoftは前回の出荷から、どうやら教訓を得たようですよ?

Visual Studioの「借金」を精算したMicrosoft ITmedia

 「開発プロセスで採用した指標の1つが、製品を出荷するまでに修正しなければならないバグの数だった」とソマセガー氏は話す。「Visual Studio 2005の開発プロセスのピーク時には、製品出荷までに修正すべきバグのデータベースに3万2000個のバグが登録されていたときもあった。Visual Studio 2008では、ピーク時のバグの数は約5000個だった。つまり1桁も減ったのだ」とソマセガー氏は話す。

 ここで言う「借金」とは、もちろんバグと、デバッグに係るコストのこと。VisualStudio2008の開発に係るとき、Microsoftは前バージョンの2005の「負債」を背負ってのスタートだったという内容。そして、VisualStudio2008の出荷の時には、ほぼ借金ゼロ、つまり既知のバグフィックスが無い状態で次のバージョンの開発に取りかかれると言うことです。
 取られたのは、テストのやり方の見直し。その効果が如何に素晴らしいものであったかは、引用部分の数字が物語っている事でしょう。

 ただ、開発工程が見直され、バグの発生率が下がっていると言っても、32000とか5000とか言う数字は結構なインパクトです。それらが製品版では残ってないとはいえ。
 ・・・世のプログラマは、この開発環境に命を預けて戦っているわけです。そして、世の中で動いているシステムは、こういう開発環境の上で作られているわけです。半ば分かっていることだったとは言え、今後もよりいっそう、安心して使える開発環境を作り出していって欲しいと願ってやみません。