Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

7年以内に脱石油。メルセデスの誓い

2008-06-30 23:09:49 | Thinkings

 メルセデスベンツといえば、知らない人はいないドイツの自動車ブランド。日本では金持ちのステータスとして、ひたすらに高価であることが知られています。・・・まあ、事実高いのですけれどね。

 とはいえ、本拠地の欧州においては普通の車メーカー。そして、エコ、というかガソリンの”次”を探すことに、かなり積極的な姿勢を見せているメーカーでもあるのです。

 例えば、日本でも見られるAクラス(日本でもっとも売れてないベンツ)は元々電気自動車や燃料電池車のベース車両として開発されていた車で、F-Cellと呼ばれる燃料電池車が、世界で60台ほど納入されているとのこと。F-CellってそのままFuel Cell、つまり燃料電池の略でしょうか?安直だなあ・・・

 ・・・うーん、自分ではあんまり意識していないつもりなんですけれど、何となく文体が刺々しいですね。以前、車雑誌で「日本車なんてクソだ」みたいな散々な書き方をしていた外車かぶれのレビュアーの記事を読んでから、どうも外車に対してアレルギーがあるみたいです。「乗り味」とか「サスの調整」とかの些細な面を強調し、お値段とかユーザビリティとかを全く考慮することなく、まるで宗教みたいに褒めちぎってたのが気持ち悪かった・・・。件のAクラスとか、初期の頃は安全性の面でもひどい評価でしたし、それで同クラスのフィットとかヴィッツの倍くらいするわけですから・・・まあ、そんな私が外車・・・というか・・・あー、そうだ。私は「外車雑誌のレビュアーとか編集方針」が嫌いなんだな。別にBMWとか嫌いじゃないし。むしろ欲しいと思う車もあるし。そう、私が外車雑誌を嫌いな理由は今回とは関係ないから置いておいて。

 そのメルセデスは、脱石油を本気で考えているようですよ。

メルセデスベンツ、7年以内に石油で動く自動車を全廃予定 Gigazine

イギリスの日刊紙「The Sun(サン)」によると、メルセデスベンツは7年以内に石油で動く自動車を全廃する計画を立てており、理由としては環境に配慮してエコフレンドリーにするためというのもあるが最終的には結局、石油燃料が尽きてしまうため、だそうです。

実のところ、自動車業界の"脱石油”の動きというのは、別に珍しいわけではありません。トヨタにしてもホンダにしても、燃料電池車は言うに及ばず、ハイブリット車や低燃費車についてずっと研究を続けてきました。ランボルギーニみたいな規格外のところは除くとしても、多くの自動車会社が次を模索し続けているのは当然のこと。世界的に高まる環境保護の観点とか、高騰する石油市場とか、そもそも石油がいつまであるか分からないという命題が20年以上前から言われ続けているわけですから、ガソリンの次を考えることは会社の存続を考える上で避けては通れないことなのです。(成功した他社と提携するってのも一つの案ですしね)

 しかしながら、メルセデスベンツの素晴らしいところは、「7年で全廃」という数値目標を立てたところ。

 例えば、燃料電池車は扱いの難しい水素の供給問題、完全電気自動車は走行距離の問題など、目処が立っていない課題が山ほどあるにもかかわらず、割と近い未来にゴールを設定したと言うところが本当にすごいと思います。実現できるかどうか分からないではなく、「実現させる」というメルセデスの決意みたいなものを感じ取ることができました。

 さて、本当に7年で全廃したとして。そして、他社もそれに習ってガソリン車が縮小していった時、とりあえず困るのは石油メジャーと全国のガソリンスタンドですかねえ。・・・まだまだ夢物語にしか思えない決意表明ですけれど、7年後のことなんて誰も何も分かりません。メルセデスは目標を達成できるか、そして日本のメーカーはどうなっているか。非常に楽しみですね。


ビル・ゲイツ氏、MSから引退

2008-06-29 13:20:39 | Thinkings

 1995年、Windows95がコンピューターの世界を変えたときから、ビル・ゲイツ氏は世界でもっとも著名な会社経営者として今日に至ります。

 1975年、彼がAltair8800というコンピュータ用にポール・アレン氏(Microsoft共同創業者、現投資会社経営)とBASICインタプリタ(開発環境)を開発し、納入したことからMicrosoftが動き出します。以来、MS-DOS、Windowsと続く系譜により、Microsoftの社会的地位は盤石となっていきました。今や、WindowsのOSシェア90%という数字を武器に、世界最大のソフトウェアカンパニーとして君臨しています。

 そのMicrosoftの基礎を作り、その後もMSのシンボル、そしてもっとも影響力のあるスポークスマンとして活躍してきたビル・ゲイツ氏が、2008年6月27日、Microsoftの会長職を退き、非常勤会長職に就きました。事実上の引退です。

MSゲイツ会長、引退し慈善活動に msn産経ニュース

マイクロソフト(MS)の創業者、ビル・ゲイツ会長(52)は27日を最後に、経営の日常業務から身を引き非常勤となった。メリンダ夫人とともに個人資産を投じて設立した世界最大規模の慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」に活動の場を移す。

 アメリカにおいては、成功者は早期に引退し、慈善事業にエネルギーと築いてきた財産を割くというのが美徳とされています。もっとも、ゲイツ氏は引退前から事前財団を設立、そこに多額の資金を注入し社会貢献に努めてきました。今後は、その財団の活動に注力することになります。

 自分が創業し、大切に育ててきた会社を去るというのは、何とも身につまされる思いであることは想像に難くありません。

「私の生涯でMSに思いを寄せない日は1日たりともないだろう」

社員に対しての最後の挨拶は、間違いなく彼の本音であろうと思います。

 これで、PC黎明期から未だ表舞台を去っていない著名な経営者は、Appleのスティーブ・ジョブズ氏くらいしか残っていません。ジョブズ氏はゲイツ氏の引退に、どういう思いを抱いたのでしょうね。

 さて、様々な批判や訴訟などが渦巻いたゲイツ氏のMSでの日々でしたが、彼のやった、コンピュータをオフィスで、そして家庭で使える「道具」にしたという功績は、今後も廃れることは決してないでしょう。本当の意味で、彼は世界を変えたのですから。

 彼は、慈善事業の世界でも世界を変えられるでしょうか?
 アフリカなどの生活支援、そして教育支援に携わるゲイツ氏の、今後の活躍に期待しましょう。


仮想化ソフトウェアの今後

2008-06-28 17:43:02 | Technology

 サーバーの世界において、「仮想化」というテクノロジーが、トレンドを超えて常識になりつつあります。

 仮想化というのは、ハードウェア環境を物理的にではなく「論理的」に用意してやること。パーソナルユース的な言い方ならば、いわゆるエミュレーターでのOSの運用になります。

 これによるメリットを簡単に説明するならば、リソースの使い方による柔軟な切り分けと、物理的な問題への迅速な対処があります。

 例えば、企業の自社サーバーとして、メールサーバー、ファイルサーバー、Webサーバー等を運営する必要があったとして、これらに一台ずつのハードウェアを割り当てたとすると、今挙げた物だけで3台のサーバーが必要になります。これにゲートウェイやファイヤーウォールが加わるわけですから、ハードウェアの管理、更新だけでも大変な作業になります。

 これらのサーバーを、一台の親サーバーの中で動かす仮想サーバーとして運営したならば、物理的なハードウェアは一台で済みます。仮に、一部のサーバーのの負荷が高くなってしまった場合でも、もう一台サーバーを追加してディスクイメージを移行させれば、それ以上の移行作業無しに負荷を分散させることができます。これは、ハードウェアの更新時でも同様で、そのディスクイメージが使用できる仮想化ソフトウェアが親サーバーで動くならば、大変スムーズにリソースを増やしたり、処理能力を強化したりできるわけです。

 さて、その仮想化は、現在OSとは別に、専用のソフトウェアを使って運用されています。WindowsやMacではVMware、LinuxではXenといったソフトウェアが一般的ですが、今後、この構図が変わっていく可能性があります。VMwareやXenが代替わりする、といった意味ではなく、仮想化ソフトの地位、位置づけが変わってくる、もっと端的に言えば「消える」ということです。

 もっとも、この考えは私独自の考えではなく、2年前のITproに乗っていた記事が元です。

仮想化ソフトは消えていく ITpro

 では、何で今更こんな話を持ち出すのか、といいますと、それがにわかに現実味を帯びてきたからに他なりません。

Microsoft,仮想化機能「Windows Server 2008 Hyper-V」の正式版を提供開始 ITpro

米Microsoftは2008年6月26日(米国時間),予定よりも1カ月以上早く「Windows Server 2008」向け仮想化機能「Hyper-V」の正式版をリリースした

 Microsoftがサーバー向け仮想化ソフトとして発表したHyper-Vが正式リリースを迎え、そのパフォーマンスは前評判よりも幾分か良いようです。すでにMicrosoftは外部向けの自社WebサーバーをHyper-Vへと移行を始めており、

現時点で,それぞれ1日平均200万ページ・ビュー以上アクセスされるMSDNとTechNetのWebサイトを,完全に仮想化したHyper-V環境で運営している。

MSDNが移行できているならば、多分、世界中のほとんどのサイトにおいて、移行しても問題無さそうですね。

 さて、Microsoftが自社OS向けの仮想化ソフトウェアを提供し、Windows Server 2008に標準添付しているということから、今後、Hyper-VがWindows Serverの一機能としてOSに統合される可能性が高いのではないでしょうか。現在、サーバー管理と仮想化が切り離せなくなっている状況を鑑みると、その未来が来るのはそう遠くないと思わざるを得ません。また、Linuxにしても、Xenをディストリビューションに標準で組み込んでくるところが多くなれば、事実上一機能として提供されている形になるでしょうから・・・

 つまり、仮想化ソフトウェアの位置づけは、OSの一部として、サーバーOSには当たり前についてくる機能の一つになるのかも知れません。VMware等のサードパーティにとってはよろしくない未来ですし、独占禁止法の関係もありますけれど、ユーザーの使い勝手や管理的なことを考えるならば、OSで仮想化技術をサポートしていった方がより安心して運用ができるのではないでしょうか。

 さて、コンシューマーの方には余り浸透していない仮想化ですけれど、Hyper-V等によって注目されることによって、少しは降りてこないものでしょうかね。そりゃあ、QemuとかVMwareもありますけれどね・・・


明治の偉人とか・・・苦笑いしか

2008-06-27 22:14:23 | Thinkings

 全く持ってひどい話ではありますが、私は歴史というのはどうも苦手です。

 あの年号というヤツが全く覚えられなくて、語呂合わせを使ったとしても、数字の羅列は私の脳には残ってくれませんでした。教科書で太字になっている「重要な事件」も、結局のところ試験の為に覚えるのみで、どうにもおもしろくなかったのです。まだ、政治経済とかの方が関連がわかりやすくて好きだったんですが・・・

 歴史上の人物というカテゴリーも、やはり「変わった名前」の人とか、「エキセントリックな名言」とか、「強烈な肖像画」、正統派に「派手な功績」という目を引く要素があればまだ・・・例えば、小野妹子とか、「板垣死すとも自由は死なず」とか、「ザビエル」や「雪舟」や「杉田玄白」、「織田信長」や「野口英世」等ですね。
 逆に言えば、「地味な連中なんぞ覚えていない」ということですが。

 それは現代の子供たちも同様みたいです。

 「虎は死んで皮を残し、人は死んで名を残す」という言葉がありますが、歴史に名を残したところで、その功績が知られていなければいなかったも同然・・・とは言い過ぎかも知れませんが、この結果には、偉人といわれた人たちも、草葉の陰で肩を落としているのではないでしょうか。

「大隈重信は何した人?」明治の偉人も小6の正答率3割以下 YOMIURI ONLINE

 小学校の学習指導要領で例示した歴史上の人物42人について名前と業績が一致するかどうか、文部科学省・国立教育政策研究所が全国の小学6年生に調査した結果、卑弥呼、ザビエル、ペリーなどは正答率が90%を超えたものの、幕末から明治の偉人のほとんどが50%以下だったことがわかった。

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 中でも大久保利通、木戸孝允、大隈重信の正答率は30%を下回り、「木戸孝允と大久保利通」、「陸奥宗光と小村寿太郎」をそれぞれ混同している児童が15%以上いた。

 正直なところ、私ももう忘れました。大丈夫!知らなくても生きていけます!・・・と言って自分を正当化しようとするのは悪い大人の例ですか?そうですか。

 自分の小学校の頃を振り返って、この原因を推測しますと、時間に余裕がある先史時代から弥生、古墳時代、「政治よりも力で解決」群雄割拠でおもしろい戦国時代、時代劇でなじみもある「江戸時代」・・・このあたりで授業の進み具合は大幅に遅れてきます。で、駆け足で進む明治維新・・・しかも政治の話メインで登場人物も多く、中心的存在もいない上に、各自功績が「地味」。気がつけば板垣退助の髭や西郷隆盛の眉毛しか印象に残っておらず、何となく「西洋化」で終わってしまう。そして、時間の都合上カットされる近代・・・

 いやね、やはり授業の組み方とか時間配分が無茶だと思うんだ。小学校6年生一年で日本史全部とか・・・高校の世界史もそうだったけれど、扱う範囲が広い上、各事件の繋がりよりも項目の暗記が重視される今の形態だと、木戸孝允一人の功績なんて覚えていられませんって。限られた時間で全部やろう!ってなった時に、どうしても押してくる近代付近はぞんざいになったり、本来なら繋げて見るべき事件も、ぶつ切りの年表で覚えるという「試験用の勉強」で終わってしまうのが問題なんだと思います。

 ・・・年号を覚えさせるのを止めてみませんか。

 年号でインデックスされるタイムテーブルではなくて、出来事の前後関係や内容にシフトした方が、よっぽど有意義だと思うのです。「何年に何が起こった」、ではなく、「この結果、こうなった」という出来事にインデックスした方が、本来の「歴史に学ぶ」事になると思うのです。

 

 まあ、結局は理系の遠吠えですが、年表一枚持ってれば分かる年号暗記になんであそこまで固執するのか、本気で分からない。出来事の羅列を覚させてきた結果が、結局のところこの結果なんじゃないでしょうかね。


OCNが行うユルめ且つ効果的な通信制限

2008-06-26 20:49:34 | Thinkings

 スパムメールにブログへのスパムコメント、そしてWinnyをはじめとするファイル交換ソフト・・・これらの使用している通信回線の帯域、つまり通信量の割合は、通信量全体の半分を優に超えるといわれています。つまり、プロバイダや回線管理者は、これらの「ゴミ情報」の流通の為に、保守業務や維持コストの半分以上を使用していると言い換えることができます。
 当然、そんな状況はおもしろいはずはなく、これまでもぷららを始めとするプロバイダが通信制限をかけて自己防衛を行ってきました。しかしながら、このような制限措置は諸刃の剣。規制を強めれば、確かに大きな通信量の抑制効果をもたらしますが、適正な使い方をしている場合でも、場合によっては大きな負荷が発生することがあり、そんなときに極端な速度低下や回線の切断など、ユーザーの使い勝手を著しく下げることにもなるのです。

 さて、そのような通信制限に、これまで目立った措置を行ってこなかったOCNが参入するようです。

OCN、個人のデータ送信量に制限措置--1日30Gバイトまで CNET Japan

 NTTコミュニケーションズは8月1日より、個人向けのOCNインターネット接続サービスにおいて、1日のデータ送信量に上限を設ける。回線帯域を占有する一部の利用者への対抗措置だ。

 今回OCNが行う措置のユニークなところは、規制の対象を「アップロード」に限定しているところ。その送信量の目安もかなり緩めに設定されており、30Gバイトまでとなっています。・・・光回線の理論値は100Mbpsですが、実行値は10Mbps~20Mbpsと言われていますので、秒間にして約1.25MB~2.5MBのデータを送ることができる計算になります。30GB=30,000MBをこれで割ってみますと、だいたい3時間から6時間の間、マックススピードでアップロードしっぱなしで到達できる計算になります。

 ・・・まあ、一般的な使い方をしている限り、あり得ない数字ですね。

 そもそも、

ブラウザによるホームページ閲覧、メール受信やファイルのダウンロードなどの利用形態については、受信が中心のため対象にはならないと同社では説明している。

という事で、自宅でサーバーを運営等の特殊な事情がないととなかなか規制の対象にはならないみたいですね。もしくは、24時間ファイル交換ソフトを動かしているか、スパムメールを大量に送りつづけているかでもしない限りは・・・

 あくまで日本最大手IPSを自負しているOCN、規制をかけても寛大な措置ですね。それでも規制の対象になりそうな方々は、この機会にレンタルサーバーや企業向け接続サービスを検討してみてはいかがでしょうか?

 

 とうとうOCNも規制に乗り出したと言うことで、スパムとかいい加減止めませんかね?そういうところにカネを出したって、どうせ広告効果なんてほとんど上がりはしないんだから・・・


次に埋もれる技術は・・・マウス?

2008-06-25 21:38:45 | Technology

 どんなに優れた技術であろうとも、それよりももっと優れた技術が現れればあっという間に取って代わられ、忘れ去られてしまう・・・そして、もうそれを使いたいとは思わない。
 これは、今まで繰り返されてきた厳しい現実であり、技術の進歩の歴史です。

 例えば、ポケットベルは携帯電話にその座を奪われて完全に市場から一掃されましたし、ブラウン管は液晶に映像表示デバイスの主役を譲り渡しました。モデムによるデータ通信はADSLや光に取って代わられましたし、そろばんは電卓にオフィスを追われ、電灯はランプとそれに類する物を駆逐し、石炭から石油への転換は文明すら動かしたのです。

 ・・・むやみに大きな話になってきましたが、今回はもうちょっと身近な話です。

 1961年、それまでパンチカードや無骨なボタン、キーボードといった入力デバイスしか存在しなかったコンピューターに、全く新しい入力装置が加わりました。縦横にすべらせることにより、画面上のカーソルを自在に動かし、狙ったところでボタンを押し込むことで操作を行う・・・そう、マウスのことです。
 キーボードから文字を打ち込んで操作する時代はまだしも、WindowsをはじめとするGUI中心のOSにシフトした今の、正に中心的な入力デバイスといえるマウス。しかしこのマウスが、過去の技術と同じように、時代に埋もれる事になろうとしているという予測が出ています。

タッチ技術台頭で、マウスの時代は終わる? ITmedia

 同氏は自身の考えを新たな報告書「Gestural Computing: The End of the Mous(ジェスチャーコンピューティング:マウスの終わり)」にまとめた。マウスは当面は残るだろうが、代替入力デバイスは無視しがたいと同氏は eWEEKに語った。今後2~4年で、マウスから代替デバイスへの移行はかなり進むと同氏は確信している。

 「総合して考えると、1ボタンあるいは2ボタンマウスというアイデアから大きく離れる動きがあることが極めて明らかになっている」

引用中の「同氏」とは、Gartnerのアナリスト、スティーブ・プレンティス氏のこと。元記事は彼の報告書を元にして書かれています。

 さて、数年前の私だったならば、あくまでマウスの延長でしかなかったタッチ技術や、精度の期待できなかった脳波制御などを前提に「まだまだ大丈夫」と笑ったことでしょう。しかし、今は「マウスの地位は今後著しく縮小する」という氏の意見には同意せざるを得ません。

 なぜなら、すでにマウスに変わるポインティングデバイスの、直感的操作性の衝撃を目の当たりにしているから・・・簡単に言えば、WiiのリモコンやDSのタッチパネル、iPhoneのマルチタッチUIがどれだけ操作の敷居を下げているかということを、任天堂とAppleの躍進という形で社会が証明してしまったのです。

 今後も、オフィスやデスクの上ではマウスが使われていくことでしょう。キーボードが今後しばらくは最適な文字入力デバイスであり続ける以上、ディスプレイパネルを立てて文字入力をするというスタイルはしばらく継続するでしょうから、必然的にマウスも生き残るという推測が立ちます。

 しかしながら、それ以外の用途にコンピューター、及びそれに準じる機器が広がっている現在、そこにマウスの立ち位置は存在しえないでしょうから。テレビ画面に向かってならリモコンでポイントした方がやりやすいのは明白ですし、携帯機ならばそのまま画面をタッチした方が早いのですから。
 むしろ、PC以外の機器が採用してこなかった、ポインティングデバイスを活用するインターフェイスがすごい勢いで拡大しているとも言えます。そうなったときに、それぞれの機器に対して最適な入力方法が選ばれるのは全く自然なことですから、本当は、マウスの時代が終わるのではなく、「直感的操作の時代が始まった」と言えます。
 となると、PCというフィールドでしか生き残れそうにないマウスがポインティングデバイスの中心であった”時代”は、やはり、すでに終わりを迎えているということになるのかも知れませんね。


CELLの新たな旅立ち

2008-06-24 21:06:17 | Technology

 Cellプロセッサと聞いて、IBMのサーバーを最初に思い出す人は間違いなく少数派。Cellと言えば、やはりPS3でしょう。
 そのPS3がゲームとは別の意味で注目されたのは、有り余るマシンパワーを生かして最高画質を紡ぎ出す、そのAV機器としてのパフォーマンスの高さです。同価格帯はもとより、ハイエンド機と比べても遜色ない再生性能は、Cellの能力をまざまざと見せつけることになりました。

 さて、PS3の成果を元に、CellのAV分野への進出が決定的かと思われたのもつかの間、多分すぐにでも出るだろうと思われた、ソニーのCELL搭載Blu-Rayレコーダーは影も形もどころか噂の煙も立っていない状況です。

 しかし、CellをAV分野に特化させて使うという試みは、もう一つのCELL関連企業から成されることになりました。

CellのDNAを受け継ぐAVノート「Qosmio」誕生 マイコミジャーナル

 Cellは、元々PS3だけを想定して作られたCPUではなく、汎用のマルチコアプロセッサとして開発された物。冒頭にも出てきたIBMのサーバーにも採用されるなど、もっと広範な使用に耐えられるものです。それを東芝は、同社の主力AVノートであるQosmioに搭載しました。PS3やIBMのサーバーではCPUとして使われたCellですが、QosmioではCPUとGPUとは別に、HDコンテンツを円滑に処理するための映像処理エンジン「Surs Engine」のベースとして使われています。

「Spurs Engine」はプレイステーション3にも採用されているCellの技術をPCアーキテクチャーに応用したもの。CELLとはメディアストリーミングプロセッサ「Cell Broadband Engine」のことで、8個のプロプログラマブルコア(SPE)を搭載する。CELLでは、フルHDに対応したMPEG-2、H.264エンコード・デコードを4個のSPEが処理しているが、「Spurs Engine」はそれらを専用ハードウェアで処理することで、SPEを8から4に削減。加えて、周波数を3.2GHzから1.5GHzに削減することにより、10W台という低消費電力を実現している。

 文中の”「Spurs Engine」はそれらを専用ハードウェアで処理することで、”は、”「Spurs Engine」はそれらの処理専用ハードウェアとすることで、”がたぶん正しいと思います。<2008/06/25追記:どうやらMpeg-2及びH.264エンコーダー・デコーダーの方をカスタムチップで搭載している模様。Spurs Engineはそれ以外の処理を担当するようです。>

 つまり、映像処理専門にCellを使うことで、元々のCPU、GPUに負担をかけることなくHD映像を軽々処理できるようになると言うことです。

 しかもPCI Expressという汎用的な接続方法に対応することで、ドライバさえ用意されれば様々な機器での応用が可能になります。PCだけでなく、それこそBlu-Rayレコーダーなどでもそのまま採用できるかも知れませんね。

 しかしながら、Blu-Rayを唯一採用「しようとしない」メーカーである東芝から、このようなHD映像に関する汎用的な技術が出てきたことは何かの皮肉でしょうか。・・・えー、今後も日本発の世界に誇れるプロセッサ「Cell」、そして、世界で唯一Cellのファクトリーを持っている東芝にご期待ください。


防滴キーボードがマイクロソフトから

2008-06-23 21:59:52 | PC

 電子機器は水に弱い。これは常識です。しかし、たまにその常識を忘れてしまう、いや分かっていても油断してしまうことがあります。

 例えば、オフィスでの一服に一杯のコーヒー。深夜の作業のお供に炭酸飲料。そう、机の上には精密機器の代表とも言えるPCが鎮座しているというのにです。

 携帯電話は、最近着々と防水製品が増えていっています。・・・思えば私も一台、携帯電話を水ポチャしてダメにしている過去があります。あれは、初夏のとても暑い日のこと。Yシャツの胸ポケットに携帯を入れたまま、川辺でしゃがんだそのときでした・・・あのとき、携帯に生活防水がついていたなら、泣く泣く新しくする事も無かったのでしょうけれどね。

 そう、最近は防水がにわかに脚光を浴びてきています。そろそろ「精密機器が水に弱すぎる」ということに世間様が気がついたのでしょうか?

 過去に、このブログでも完全防水のキーボードを紹介したりしていますけれど、今回は完全防水の一歩手前の防滴仕様。液体が垂れたときに、下から排出できるような機構になっているもので、オフィスや家庭での「キーボードに飲み物を飲まされる」状況を想定した物。数は多くないけれど、これまでも発売されてきた製品ですが・・・

マイクロソフト、3,000円台の防滴薄型キーボード & 6色カラバリ光学マウス マイコミジャーナル

Microsoft Digital Media Keyboard 3000は、ワンプッシュで写真やWindows Media Playerにアクセスできるカスタマイズ可能なホットキーを5個備えた、有線式薄型キーボード。音楽や動画の再生や音量調節を手元で操作できるメディアコントロールや拡張ファンクションキーも用意されているほか、水がかかっても排出できるウォータードレインを搭載した防滴仕様となっている。

 そう、今回はマイクロソフトが商品化したことに意味があります。
 マイクロソフトはWindows等のソフトウェアで有名ですけれど、キーボードやマウスといった入力機器では老舗中の老舗であり、製品の評価は非常に高いですし、店頭での扱いも決して小さくはありません。そのメーカーが、防滴仕様をそこそこの値段で売り出した事に意味があります。

 詰まるところ、今後追随するメーカーが増えて、キーボードの防滴化が進むかも知れないと言うこと。まさかの事態に心の余裕を持つことができる場合が増えるかも・・・ということですよ。

 ・・・もっとも、外付けのキーボードを使うのは、主にデスクトップの話。それも、メーカー製PCには元々キーボードがついていますので、単品のキーボードは、マウスよりも間違いなく売れないパーツです。私のような自作マシンを使っているか、キータイプが仕事の大部分を占めるような人でないと、なかなか「好みのキーボードを選ぶ」という事はしないでしょう。

 しかし、マイクロソフトという老舗がミドルレンジで防滴を出したと言うことに、デスクトップ標準添付のキーボードはもちろん、ノートPCに関しても、是非インスパイアされて欲しいのです。

 そう、オフィスの机の上は危険がいっぱい。コーヒーをこぼした隣の同僚を笑っていたら、カップラーメンのスープをたっぷり飲ませてしまった・・・なんて悲しい事故が起こる可能性はゼロではないのですからね・・・

 

 蛇足として、不幸な事故にあったときの話。

 キーボードにこぼしたのがミネラルウォーターやブラックコーヒーだった場合、あわてず騒がずPCから引っこ抜いて乾かせば、まだ助かる可能性は高いです。砂糖たっぷりのキャラメルマキアートや、ダイエットでないコーラだったりしたときは・・・速やかにPCから外して、可能ならば分解し、水洗いして数日間陰干しするなりして完全に乾いてから、祈ってPCに接続しましょう。どのみち、そのまま乾かしたところでネチャネチャしたものになるだけですからね・・・

 え、ノートPCだったんですか?

 ・・・ご愁傷様です。


火星に水の氷は存在した・・・次は生物?

2008-06-22 20:01:55 | Science

 有機生命体というのは、もしかしたらそんなに特別な物ではないのかも知れません。

 予想だけなら数十年前からされていた、「火星の氷」がとうとう確認されたようです。

火星に氷「やっぱりあった」 NASAなど、写真分析で asahi.com

 米航空宇宙局(NASA)とアリゾナ大などは20日、火星探査機フェニックスが撮影した写真の分析から、火星極域の地表近くに氷が存在することを確認した、と発表した。今回の発見で、かつて温暖だった火星には地球型生命に不可欠な液体の水が存在し、微生物などが生きられる環境だった可能性が高まった。

 今回の発表は、探査機のアームが地表を削り取ったときに、白いなにかを発見したことが発端です。その白い何かは、15、16日の撮影時には確かに確認できましたが、19日には消えていたと言うこと。つまり、

1.白い何かは蒸発した
2.少なくとも1日は安定していた

という二点の性質が分かります。
 1の性質から、塩などの鉱物という可能性は無くなりますし、2の性質から、二酸化炭素の氷、つまりドライアイスではないと結論づけられ、消去法で「水の氷である」と確認されました。

 水の氷が存在すると言うことは、過去に火星にも海が存在した可能性が非常に高くなり、海が存在したならば、有機生命体が過去に存在した可能性も十分考えられるわけです。

 今後の調査によって、土壌から有機物などの生命の痕跡が発見されれば、宇宙における生命観に重大な変革が起こることでしょう。生命は地球だけの物ではない、ということは、それだけで非常に大きなインパクトがあります。

 ただ、勘違いしてはいけないのは、あくまで「生命が他の星にも存在する」ということが確認されたとしても、それが「宇宙人」とは限らないということです。

 火星も”かつては”生命が存在できたかも知れませんが、今は荒涼とした死の星です。つまり、生命が文明を持てるまで進化すると言うことは、生命が存在できる以上に難しいのです。まして、宇宙人が相対性理論を超えるか、回避するかして超光速度を出すテクノロジーを持ち、地球に来ているというのは、まだ夢物語の段階です。そこまでして地球に来て、人間を誘拐するとか牛を誘拐するとか、そこらの主婦に説教したり、ライターを借りたりと言ったトンチキな事をしている宇宙人というのも何とも間抜けですけれど・・・

 もちろん、今後の発見により生命の痕跡が発見されたなら、宇宙人がどこかで生まれているという可能性がゼロではなくなったということ。いつか、SETIや他の何かの方法で、交信ないし確認ができたらそれは素晴らしいことですね。


進まぬ学校の耐震補強

2008-06-21 18:20:21 | Thinkings

 先日、岩手県で起きた大地震は、目の前にある地震の恐怖をまざまざと思い出させてくれました。ともすれば忘れがちになる天災への畏怖は、やはり目の当たりにすることでしか確認することはできないのかも知れません。

 さて、実際に地震に遭遇したときに、タンス等の家具の下敷きになることも怖いですが、やはり建物そのものの倒壊による危険が恐ろしいですね。昭和52年度以前の建物が基準にしていた耐震強度では、震度6以上の地震には耐えられないというのが現在の認識ですが、我が家の母屋はすでに築60年と、地震に遭遇した場合、大変危険です。我が家のような民家は、古くからの集落や、旧道沿いの商店街などには多いと思います。・・・つまり、大地震が起こったとき、家にはいられない可能性が高い家庭が、かなりの数存在していると言うことです。

 そうなったときの受け入れ先として公共機関がありますが、その中でも避難所として一般的な場所が学校です。

 地震が起こった際、児童、生徒の安全を守るという事に加え、地域住民を受け入れなければならないという側面を持つ学校が、真っ先に倒壊していてはお話になりませんので、速やかに耐震補強ないし建て替えを行うべきなのですが・・・地方財政の逼迫具合はこんなところにも現れているようです。

財政難が校舎揺らす、耐震化は地域で大差 YOMIURI ONLINE

 文部科学省が20日公表した公立学校の耐震化状況調査では、各自治体の耐震化率に大きな開きが生じている実態が判明した。

 学校の耐震化が進まない原因は地方の財政難。中国・四川大地震を受け、学校耐震化工事への国の補助率を引き上げる議員立法が施行されたが、格差解消には自治体の一層の努力が求められている。

 道路を造っているカネがあったら学校に回せばいいのに・・・とも思われるかも知れませんが、別に自治体は道路だけで財政を食いつぶしているわけではないのです。一口に公共事業といいましても、例えば水道等のライフラインや、既存の道路の改修、水路や河川の保全など、新規の道路や訳の分からない箱物だけではありません。

 学校の建て替えともなると、既存校舎の取り壊しに仮設校舎の建設、校舎本体の建設に内装や電気・水道工事と数十億円のカネが動きますから、逼迫した地方財政の中からそれだけの資金を捻出するのはなかなか難しいのです。

 とはいえ、やらなければいざというときに対応できません。年間に使える予算は限られていますから、結果的に、少しずつしか改善していけないというわけです。しかし、それにも自治体間で大きな「意識の差」ができているようです。

神奈川90% 長崎は39%

単純なこの数字からも分かるように、その自治体の考え方一つでこのような差が開いてきます。国の補助率の差とも言われていますけれど、それだけではここまでの差はできないでしょう。

 私たち非難する側にできることは、近くにある避難場所が果たして安全なのか下調べをするくらいですが・・・いざというときに避難する場所すらない、というのは悲惨な話。命に関わることですから、一刻も早い対策をお願いしたいものですね。