Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

ドコモのスマートフォンとモバ研の相容れなさ

2007-08-31 19:03:10 | Thinkings
 iPhoneがアメリカでそこそこ好評に船出をする中で、スマートフォンに対する考え方も変わり始めているように思います。
 そのいい例として、ドコモが新たに発表した「コンシューマー向け」の二機種は、その外見からキーボードが消え、見た目は普通のスライド携帯そのままです。

NTTドコモ初のコンシューマー向けスマートフォンは指で操作するタッチパネル搭載! Nikkei BP

 2007年8月30日、NTTドコモは、Windows Mobile OSを搭載したスマートフォン「F1100」と「HT1100」の2機種を開発したと発表した。発売予定は2007年度第4四半期。

 私はあんまり好みではないですけれど、携帯そのままなフォルムから、持ち運ぶのにも違和感はなさそうです。文字入力などの使い勝手は携帯並みでしょうけれど、スケジューラーや携帯電話より強力なブラウザとして使うなら十分でしょうね。

 さて、このスマートフォン、今まで需要の無かったコンシューマー向けに用意されたそうです。フォルムといいiPhone対抗と言うことはすぐにわかりますけれど、個人用途で用意すると言うことは、値段もそれなりに抑える必要があるでしょう。それこそ、販売報奨金を使って初期投資を抑える、これまでの路線でやることが求められるわけです。

 時を同じくして、各携帯キャリアの社長が一同に介して行われたモバイルビジネス研究会が行われました。
 販売報奨金の撤廃、SIMロック解除を巡り、今までの9回に渡って話し合いがもたれてきましたが、それがいかに身のない物だったのか、今回の会議で際だったようです。

5キャリア社長勢ぞろい・オールスター戦でわかったモバ研の空虚な議論 IT Plus

 販売奨励金の廃止やSIMロック解除の議論は、すでに会合が9回も開かれているにもかかわらず、研究会としての考え方は何も進展がないように見える。大手3社の社長たちからみれば、「SIMロック解除や販売奨励金の廃止議論は大きなお世話。自由競争をしているのだから、強制や規制などしないで欲しい」というのが本音だろう。

 結局のところ、データからしか物事を見ない評論家や有識者は、実際に事業運営をしている当事者から見れば「完全な部外者」で「実情を知らないのに口出しするな」と言うことなんでしょうね。
 事実、社長たちの前に、有識者の先生方は何一つ有用な意見を提示することができなかったようです。先進技術の中において、実務を伴わない研究がいかに役に立たないかを如実に表す結果となったようですが、その先生方はこちらの報道資料から。

 個人的には孫社長の車を引き合いに出した説明と、

「端末、価格戦略は『毛』が抜けるほど努力している。押しつけはやめて欲しい」

と言う「漢」を感じさせる発言が大変心に残りました。

 やっぱり、痛みを知らない役所よりも、開拓者である事業者の方が明確なビジョンがあるのは当たり前ですか。官主導の方策がうまくいかないのは何故か、改めて考えさせられました。