Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

大晦日最大の脅威

2006-12-31 20:46:31 | Life
 大晦日の記事を書くのも三回目となりました。本年はおつきあいありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 さて、年末になると話題にあがってくるのが大掃除。去年は志半ばでタイムアップした大掃除ですが、今年は何とか終了しました。去年と同じようにやっていては絶対に終わらないのは、部屋の状況が去年とほとんど変わらないことからも明白。そこで、大きな切り捨てを行うことにしたのです。

 本の整理をあきらめました。

 正確には分類をあきらめて、部屋の隅に積むだけとしました。この措置によって、本を個別に見ることが少なくなり、興味が移りにくくなりました。となると、他の部分の掃除にスムーズに移行でき、結果的に掃除を終わらせることができたのです。

 そう、昨年の最大の敗因は、整理に最中についつい本を読み込んでしまったことでした。
 古新聞や古雑誌、未整理の本を処分しようとしたときに、気になるタイトルが目に入ってしまったとき、なかなか中を覗いてみたい好奇心には勝てないもの。共感していただけると思うのですが、その好奇心のおかげでかなりの時間をロスしてしまったことがあるはずです。大掃除ともなると、普段に比べて目につくメディアの数は数倍から数十倍にもなるでしょうから、次から次へとロスする時間が増えていくわけです。意思の力で振り切れればいいですが、その連鎖は正に脅威といえるでしょう。

 去年はその脅威に屈し、今年もメディアへの接触を制限することで、最低限のロスですますことができました。終わりよければすべてよしといいますけれど、何とかよい終わり方ができたかな、と思います。
 今年も公私、主に私の方でいろいろありましたが、来年もいい年であることを祈っています。

  

フセイン、墜つ

2006-12-30 19:24:13 | Thinkings
 2006年もあと30時間を切り、いよいよ幕を閉じようとしています。そして、まるでその2006年に殉ずるように、来る2007年を待たずして、その時代に幕を閉じた政治家がいます。

 サッダーム・フセイン・アブドゥルマジド・アッ=ティクリーティー第5代イラク大統領その人です。

フセインの死刑執行、住民虐殺「人道に対する罪」 Yomiuri Online

イラク中部ドゥジャイルのイスラム教シーア派住民148人を殺害した「人道に対する罪」で死刑が確定していた同国元大統領サダム・フセイン(69)に対し、絞首刑による死刑が30日午前6時(日本時間同日正午)ごろ執行された。

 彼のクウェート侵攻に伴う湾岸戦争・・・と言うよりも、その前のシーア派の革命鎮圧から始まった彼の波乱の大統領人生は、同時多発テロによって幕を下ろしました。
 古くは、シーア派の「アメリカによる介入」の期待があり、イラン・イラク戦争時に”アメリカ・イギリスから運び込まれた”大量破壊兵器の材料、その大量破壊兵器を理由に侵攻された同時多発テロ移行の掃討作戦・・・

 考えてみれば、歴史上最もアメリカに翻弄された、他国の指導者と言えるかもしれないフセイン氏。最後は自国民の手で刑に処されたわけですが・・・

 さて、彼という独裁者の下ながら、経済的にも政治的にも安定していたイラクと、現在の混乱の下のイラク。国民はどっちが幸せなんでしょうねえ・・・そりゃあ、いつか独裁は排除されなければいけないということは、重々承知した上での結果論なので、最終的にどちらが正しかったのか、何てことは言うつもりはありませんが。

人類の限界を統計学で予測

2006-12-28 20:04:05 | Sports
 少しでも速く
 少しでも高く
 少しでも遠くに

 スポーツが誕生したのはいつの頃からなんて事ははっきりわかりませんが、少なくとも”記録を計測する”ようになってから、世のアスリートにとっての本質的な敵は人ではなく、人が残した数字になりました。
 かつて、集まった人たちで競っていたものが、今では、先人の残した数字をコンマ一秒縮める為、1センチでも伸ばすため、日々アスリートはしのぎを削っています。

「記録は破られるためにある」なんて言葉がありますが、事実、様々なスポーツにおいて、今日でも世界新記録が生まれ続けています。アスリートは「その記録が破れるかもしれない」と日々希望を持って上を目指しているわけです。

 では、「その記録が破られる」という前提が崩れてしまったらどうなるのでしょうか?

男子100mは0.5秒短縮? 独の数学者が限界値予測 asahi.com

 100メートルは9秒29で走れるが、男子マラソンはもう限界―。ティルベルク大(ドイツ)のオランダ人数学者、ジョン・アインマール教授がこのほど、陸上の各種世界記録の限界値の研究成果を発表し、男子100メートルでアサファ・パウエル(ジャマイカ)の持つ9秒77の記録は9秒29まで短縮できるとの見通しを示した。

 記録がそこまで縮められる、と言うことは、その記録を出してしまったら、もう破ることは出来ないと言うことを意味します。となると、いったんその記録に到達してしまえば、その競技は一気に魅力が失せてしまうことでしょう。
 そして、アインマール教授はそれを出してしまった・・・それもスポーツ生理学でも物理学の視点からでもなく、

数学、統計学の一部である極値理論

によって。
 記録も事実上数字ですから、数学の範疇と言えなくもありません。そして、様々な実証を踏まえて体系づけられた理論は大幅にはずれないもの。教授の予測は大方間違っていないと思います。

 もっとも、大それた記録の出現を教授は否定していないそうです。この予測は、あくまで現在まで記録に乗っ取ったものであり、今後の伸び方いかんによってはどうなるかわからないと言うことです。
 それに、9秒77を出すまでにも途方もない時間が費やされた過去をかんがみると、9秒29に到達するまでにはずいぶん時間がかかりそうですしね。

 どうやら、スポーツはまだまだ魅力を失わないようです。

症状より重い副作用

2006-12-27 18:17:47 | Life
 本日、仕事に遅刻して医者にいっていました。寒気、喉痛、頭痛という典型的な風邪の症状です。
 私も知識としては、「風邪に薬なんていらない」何てことは知っているんですけれど、仕事の手前そうもいかず、処方された薬を飲んでいます。

 薬と言えば何が怖いかと言いますと、やはり副作用。アスピリンによって脳に障害を負ってしまったり、タミフルで異常行動に走ってしまったりと、場合によっては直そうとした病気そのものよりも、ひどい症状に陥ることもありますから。

 今回は、それに類する話です。

胃薬「PPI」で骨折の危険増大…英で調査 (読売新聞)

 【ワシントン=増満浩志】胃かいようなどの治療で胃酸の分泌を強力に抑制する「プロトンポンプ阻害剤」(PPI)を1年服用すると、足の付け根で骨折して歩けなくなる「大腿(だいたい)骨頸(けい)部骨折」の危険が22%も増加することが、英国の50歳以上を対象にした調査で分かった。

 歩けなくなるのと胃潰瘍で苦しむのではどっちがマシか?なんて議論は不毛ですけれど、「その薬を飲むことで、歩けなくなる」というのは紛れもない事実のようです。

 薬が、意図的に人体の挙動を制御しようとするものである以上、何らかのひずみが起こるのは自明です。たしか完全自殺マニュアルだったと思いますけれど、「死ねない薬は薬じゃない」などと、薬剤師が言っていたとか。市販薬でも多量に取れば死にますし、用法用量を守って適切に使っていれば、それなりの効果が望めるわけです。
 とは言え、今回のネタ元のような「前例のない」事例に関しては、用量用法なんて全く意味が無いものな訳で。

 病気自体がリスクで、直す薬にもリスク・・・やっぱり健康が一番ですね。

静かなる標準拡大 ~フォトビューワ~

2006-12-26 18:13:09 | PC
 マイクロソフトの次世代Windows、Vistaの発売まで後一月と迫ってきました。様々な変更点が伝えられるVistaですが、その中の一つ、フォトビューワについて新しい発表がされたようです。

Vistaで選んでコンビニで写真プリント!?――マイクロソフト、“セブン-イレブン店頭プリント”を1月30日から開始 ASCII24

マイクロソフト(株)、(株)セブン-イレブン・ジャパン(以下7-11)、富士ゼロックス(株)は25日、Windows Vista上で選んだデジタル写真を、コンビニエンスストア店頭のマルチコピー機でプリントするサービス“セブン-イレブン店頭プリント”を、Vistaのパッケージ版発売日である2007年1月30日より開始すると発表した。価格はLサイズ(127×89mm)1枚で30円。

 予約注文した写真はサーバー上に保管され、一週間の間は自由に印刷が可能。もちろんそのたびに料金がかかるわけですけれど、

プリント予約番号を知っていれば誰でもプリントできるため、番号を友人に教えれば簡単に写真を共有できる。プリントした写真を郵便で送るといった手間やコストもかかからないわけだ。

と言った、あたらしい写真の共有方法の提案にもつながっています。なんともおもしろい試みです。
 また、フォトビューワの機能拡張はそれだけではなく、XPでは出来なかったレタッチやタグによる管理も出来るようになっており、一般用途では必要十分なものに進化したもよう。XPですら、外部の画像ビューワが、特に必要ないと思う位なのに、それよりも便利になるというのですから、よほど感覚的に「肌に合わない」限り、外部ソフトの重要性は低くなってしまいそうです。

 この様な話、どっかで聞いたことがありますね。
 IEが標準で付いてきた時のブラウザしかり、アウトルック以降のメーラーしかり、MWPの後のメディアプレイヤーしかり・・・これらの場合は標準のものだけではなく、外部のソフトウェアと共存共栄している、ある程度幸せな例ですが、Windows95に移ったときに、ほぼ駆逐され尽くしたジャンルがあります。
 エクスプローラー後のファイラーです。現行でも残っているにはいるのですが、最終更新日が著しく古かったりと、まともに開発されているものは希少な状況です。

 画像ビューワーがそういう状況になるとは思いませんけれど、じわじわとフォトビューワーがシェアを奪っていくような気がしますね。後から自分で入れる便利なソフトより、はじめから入っている”そこそこ”便利なソフト。今までは”不便な”ソフトだったのだから、やっぱり乗り換える人も多くなるんじゃないでしょうか。。

 どこまで広がる、マイクロソフトの標準攻勢。次は統合的なDVD-Rのライターあたりですかなあ。

放送局側の権利の拡大ストップ まねきTV勝訴

2006-12-25 18:10:42 | Thinkings
 海外に長期出張する人やその家族にとって、日本のテレビ番組を見たいというのはとても切実な事だと思います。
 慣れない海外生活の中で、家族以外の日本語にふれられるのはうれしいと思いますし、インターネットがあるにしろ、日本の情報を入手するツールにも成り得るからです。もちろん「今まで当たり前に見られたものが見られなくなってしまう」というのが一番大きいとも思いますけれど。

 これまで海外で日常的に日本のテレビ番組を見るとなると、海外向けのNHK放送があるくらいで、民放は録画してもらったビデオを送ってもらうなど協力者がいないと難しい状況でした。

 ところが、ソニーのロケーションフリーステーションの発売により、その状況は一定の改善を迎えました。何しろ、国内にロケーションフリーのベースステーションを置いて録画予約を行えば、インターネットを通じて好きなときに好きな場所で、テレビを見ることが出来ることになったのですから。

 しかしながら、ベースステーションの設置にも、やはり協力者が必要となります。設置に伴う場所とメンテナンスの問題です。
 そこに目をつけたのがまねきTVの事業で、ベースステーションを利用者に購入してもらい、回線と管理を請け負うというものです。以前に管理サーバーで同様のサービスを行っていた業者が訴えられましたが、あくまでお客とお客のベースステーションの1対1通信しか行わないこの事業では「通信事業には当たらない」はず。お客の利便性を確保しつつ、法律の穴も抜けられるはず、だったんですけれどね・・・

 民放五社は、「ベースステーションを集中管理することは、一対多接続のサーバーと変わらない」という解釈を持って、まねきTVを訴えてきたのです。
 しかしながら、結果は民放側の敗訴。そして、今回の再審抗告も棄却され、まねきTVの事業の正当性が改めて示されました。

まねきTVの番組ネット転送サービス、知財高裁も適法と判断 知財情報局

  ソニーのロケーションフリーテレビを使って、海外などでも日本のTV番組がネット経由で視聴できるサービス「まねきTV」に対し、NHKと在京民放5社が、放送事業者の送信可能化権侵害を理由に、サービスの停止を求めた仮処分申し立ての抗告審で、知財高裁は12月22日、申し立てを却下した東京地裁の決定を支持し、抗告を棄却する決定を下した。

 私は、権利を守ることは、文化の発展や権利者の利益と言う点で、とても大事なことだと思っています。しかしながら、権利を守る範囲にきちんと線引きを行わないと、どこまでも拡大解釈されて適用範囲が広がっていき、新しい技術や事業に対する萎縮効果を引き起こすことを本気で危惧もしています。
 とくに、Winny裁判や著作権を作者の死語70年に延長する議論など、著作権や頒布権に関わることが話題に上って来ることの多くなっている今、今回のような「歯止めをかける」判決が出たことの異議は非常に大きいと思います。

 放任になりすぎても、過保護になりすぎてもいけない。権利問題というのは非常に難しい問題です。が、一部の権利者団体が声高に権利を叫ぶ昨今。「著作権を変革させる」と言ったWinny作者の金子氏の話を、著作権だけでなく、既存の既得権益すべてにおいて、真摯に受け止める時期に来ているのかな、と改めて思いました。

花粉飛散、来年は少ない?

2006-12-23 20:53:12 | Life
 私にとって一番嫌いな季節と言えば、間違いなく春です。何故って私は花粉症ですからね。花粉が飛んでまともに集中できない、眠ることもままならないあの季節は、正直憂鬱以外の何物でもありません。

 特に今年の春は花粉の量が尋常ではなく、昨年少なかっただけに余計にひどく感じました。

 さて、では来年はどうでしょうか?

来春の花粉飛散、関東は平年の4分の1 環境省予測 asahi.com

 環境省は22日、来春のスギ、ヒノキの花粉飛散量予測を発表した。鹿児島など一部地域をのぞき、「平年以下から、4分の1程度になる」と予想しており、飛散の少なかった今春に続き、花粉症に悩む人への朗報となりそうだ。

 平年の四分の一と言うことは、今年の何分の一になるんでしょうね!私にとってはものすごい朗報です。どうやら来年は楽に過ごせそうで、ある意味最高のクリスマスプレゼントですね。

 しかし、もっともうれしいのはやはり花粉症の根本治療が見つかること。その日がいつか来ると良いのですけれど。


こたつミカンが高級品に?

2006-12-23 01:41:47 | Life
 どうにも冬らしくない、暖かい日が続いている中部地方。とは言え、冬至を迎えて年末気分は加速気味。いくららしくないとはいえ、朝夕の冷え込みもしみるようになっており、こうなると日本の風物詩、こたつが恋しくなるところ。もっとも、私はここ数年、こたつを常用していないんですけれどね。

 こたつと言えば、重要なオプションである「ミカン」も忘れてはいけません。菓子器やかごに入れたミカンを、こたつに入りながら口に放り込む。あまくおいしく、ビタミンCの補給で風邪の予防にもなるという冬のマストアイテムです。

 しかしながら、ちょっと不安なニュースが入ってきました。ミカンが不作で、価格が高騰しているというのです。

温州ミカン高騰 天候不順で生産減少 西日本新聞

 農水省は22日、首都圏の卸売市場での温州ミカンの卸売価格が9月ごろから上昇し、12月上旬で前年比95%高と高騰していることを明らかにした。日照不足など天候不順の影響で生産量が減少したことが原因とみられる。


 温州ミカンとは、もちろん、私たちがミカンと聞いて思い浮かべるあのミカンのことです。
 価格が前年比95%高と言うことは、つまり去年の倍の値段と言うことです。どうやら、去年に比べて食べる量を半分にする必要があるようで・・・。指先が真っ黄色になるまで、と言うのは防げるかも。
 うちなんかは、毎年箱で買ってきて、最後の方は結局腐らせてしまうので、きちんと食べきれる量を買って来るならば、消費量も金額もそんなに変わらないかもしれません。ただ、ギフトで送ろうとする場合は、ちょっと考えものでしょうか。

 毎年、そまつにミカンを食べている人たち(つまり私の一家も)にとって、今年はミカンの食べ方を考える、良い機会かもしれませんね。

Felica暗号破られる?

2006-12-21 23:59:59 | Technology
 電子マネーと言えば、今やEdyがディファクトスタンダードなのは疑いようのないところでしょう。携帯電話にはもちろんのこと、様々なデザインのカードが各社から販売されています。
 また、JR東日本のSuica、西日本のIccocaなどチャージ式の切符として非接触式のICカードが利用され、買い物に使えるなどこれもまた、使用範囲が拡大しています。

 これらはともにソニーの開発したFelicaという規格を採用しており、非接触ICカードの分野ではトップシェアを誇っています。

 それだけに、この電子マネーの暗号が破られる事態になった場合、社会に及ぼす影響というのは甚大なものになります。で、それが実際に起こってしまったというのですけれど・・・

FeliCaの暗号が破られた?――ソニーは完全否定 ITmedia

 ファクタ出版は、同社が発行している経済誌「月刊FACTA」の1月号(12月20日発行)に「ソニー 暗号破られた『電子マネー』」という記事を掲載した。

 記事の内容は、電子マネー「Edy」「Suica」や、おサイフケータイクレジット「iD」「QUICPay」「VISATOUCH」といったサービスに採用されている非接触IC「FeliCa」の暗号が破られたというもの。研究者らは情報処理推進機構(IPA)に連絡し、IPAも暗号が破られたことを確認した、としている。


 デモンストレーション内では、情報の閲覧だけでなく、改変まで自由に出来たと報道されていることから、事実上、痕跡を残さずにいくらでもお金を増やすことが出来ると言うことになります。Felicaシステムの破綻を招きかねず、築き上げてきた市場の崩壊をも意味します。
 さて、現時点でソニーは報道を完全否定。暗号が破られた事実は無いとしています。そして、報道元のファクタ出版の提示している証拠も曖昧なものばかりですので、確かにでっち上げという可能性も捨て切れないと元記事にもありますし、私もそう考えています。
 しかしながら、この報道がニュースとして取り上げられた以上、ソニーは何らかのアクションを取るべきだと思います。

 破られたのが事実にしろ、そうでないにしろ、同じ形の暗号を長い間使い続けるのは、それだけ破られるリスクが高くなると言うこと。定期的に革新を行うことでリスクヘッジを行うのは、「お金」という社会的影響が強いものを扱う以上避けては通れないこと。
 今回の報道は、ある意味で”時期”だという事なのかもしれません。
 とは言え、ソニーも対策を取ってこなかったわけではなく、より堅牢性を高めたとされる第二世代のFelicaをすでに発表しており、今後はスムーズな世代交代が注目されます。

 今後、社会においての電子マネーの影響は拡大し続けるはずです。お金を物理的にではなく、仮想的にかつ個人が手軽に扱う危うさを指摘した今回の報道は、今後の電子マネーのあり方、運用の仕方について、広く問いかける意味として有益だったと言えるでしょう。
 

燃えないリチウムイオン電池

2006-12-20 17:58:01 | Weblog
 今年も残り一週間と半分。このブログでもっとも取り上げているテクノロジー関連の話題を振り返ってみると、もっとも世間を騒がせたのはPS3とWii発売・・・じゃなくて、DellのノートPC発火に端を発した、ソニー充電池リコール問題ではないでしょうか。

 今や件のPCはもちろん、携帯電話やiPod、携帯ゲーム機など、使い捨ての電池を駆逐せんばかりの快進撃を続ける充電池。最近では「使い切ってから充電しないと性能が落ちる(メモリー効果)」「容量、起電力が少ない」というデメリットを持ったニッケルカドミウム電池、通称ニッカドはほとんど使われなくなり、現在はニッカドを改良したニッケル水素蓄電池、メモリー効果を克服したリチウムイオン電池が主に使われています。

 しかしながら、リチウムイオン電池にももちろんデメリットがあります。充電方法が非常にデリケートなのです。
 過電圧をかけたり、過充電で破裂、発火、液漏れを起こす為、充電器は常に充電具合を監視しながら充電を行っています。要するに、取り扱いがニッカドやニッケル水素に比べてすっごく大変、かつ危なくなってしまったというわけです。

 トヨタのプリウスにニッケル水素が採用されているのは、事故時のことを考えての措置だったと言われています。単純に値段が高かったと言うこともあるのでしょうが。

 さて、そのリチウムイオン電池ですが、なぜあれほど発火事故が続いたかといいますと、ソニーの内部調査では「製造工程で内部に金属粉が混入した」とあります。
 充電池内部では、絶縁層を挟んで+極と-極がサンドイッチの重なっています。金属粉は絶縁層を突き抜けて+極と-極をショートさせ、内部で急激な発熱が発生→熱によって周りで連鎖的に化学反応が進行→炎上というメカニズムだったようです。

 いくら充電器で気をつけても、内部の事となると何ともなりません。この事件で起きたような、不純物混入時にもある程度対応できる、より安全性の高い構造の充電池が求められるところですが、ここに来て松下電池はリチウムイオン電池の発火防止技術を開発したようです。

「ソニーや三洋へのライセンス供与も」---松下電池、リチウムイオンの発火防止技術公開 ITpro

 松下電池工業は2006年12月19日、ノートパソコン向けリチウムイオン2次電池の発火事故防止に向けた取り組みを明らかにした。同社では、電池内部の正極と負極を分離するセパレーターの耐熱性を向上させる技術を開発し、容量の大きいリチウムイオン2次電池の一部で既に導入を始めている。安全性の確保に併せて、正極材料の見直しにより従来より容量を増やしたリチウムイオン2次電池を開発し、ノートパソコン向け2次電池市場におけるシェア拡大を狙う。

 細かい説明は省いてざっと説明すると、従来の電池になかった「耐熱層」を追加することで、たとえショートが起こっても小規模の発熱で押さえられ、連鎖反応を防ぐことにより発火を防ぐというもの。
 これによって安全性を確保した松下電池は、順次大容量電池を開発していく・・・だけでなく、ライセンス契約によって他社にもこの技術を提供していく予定だそうで、個人的にはソニーがこのライセンスを結ぶかどうか、非常に気がかりではありますが。

 今回の松下の技術は、プレスリリースのとおりならば、リチウムイオン電池の安全性を大幅に高める画期的なものです。これからも用途が拡大し続けるであろう、リチウムイオン電池をより安全に使えるようにするため、こういう技術こそ普及して欲しいものですね。