私の大学の最後の一年間・・・つまるところ卒業研究は、実質プレゼンの仕方を学んだと言っても差し支えないでしょう。変な話ですが、実際の研究よりも、毎週の内部プレゼン用資料を作る方に時間を費やしていた気がします。
さて、そのときに本格的に触ったのがパワーポイント。プロジェクタを使ったプレゼンにおいて、何とも強力なツールだと思ったものです。ビジュアルってわかりやすくて便利なんですよ。
しかしながら、このパワーポイントを代表とするプレゼンテーションツールには弊害があるという声もあるようです。例えば、Slashdotにはアメリカ軍指揮官の苦言が紹介されています。
敵はパワーポイントにあり ? パワーポイントの弊害、米軍大将らが指摘 Slashdot
パワーポイントの弊害に辟易しているのはビジネスパーソンだけではないようだ。アフガニスタン軍事戦略の複雑さを表わすものとして、昨年米軍が作成したというスライドがこちら。これを見せられた Stanley A. McChrystal 司令官は「これが理解できれば、戦いに勝てるという訳だ」と冷ややかにコメントしたという。
原文で紹介されているリンク先のスライドはあまりにもひどい物ですが、あまりにもエフェクトに懲りすぎてしまったり、一枚に内容を詰め込みすぎてしまったりして逆にわかりにくくなると言うことは、ごく日常的に起きうる事です。また、凝ったプレゼン資料を作るために本来の仕事に支障をきたすこと、内容が断片的になりやすいことも問題です。
イメージしやすいビジュアルと、テンポの良い進行によって、「分かった気にさせてしまう」ことも弊害の一つでしょう。
このような問題から、「プレゼンツールはアメリカ軍の内なる脅威だ」と言っている訳ですけれど、確かにあのスライドを見せられては、そう思うのも無理はないかなあと思ってしまいますが。私も、幾度となくだらだらとしたプレゼンを見せられた経験があるので、ちょっと納得しかけてしまいました。
しかしながら、その多くには使い方に問題があるのであって、やはりプレゼンツールは便利だと思うのです。
最大の問題は、「プレゼンツールで全部を説明しようと思ってしまうこと」ではないでしょうか。先のスパゲッティスライドもそうですが、詰め込みすぎると逆効果。説明するのはプレゼン資料ではなくプレゼンターなのですから、あくまで限定的に、それこそ分かりにくい点、強調したい点を図示する程度と考えた方が良いのではないでしょうか?
結局の所、どんな道具も使い方次第と言うことですけど、分かっていてもリッチなツールというのは、ついつい機能を使いたくなってしまうもの。そして、作り込んでいく過程で、徐々に客観視出来なくなっていくものです。リハーサルをやる、他人に感想を聞くなどして、効果的なプレゼンを心がけたいものですね。・・・自分も含めて。