あれよあれよという間にシェアを伸ばし、世界第二位のシェアを盤石なものとしているFirefox。Googleのchromeという強力なライバルも現れましたが、今のところはそこまでの脅威にはなっておらず、その使い勝手から着実にダウンロードを増やしています。私もセカンドブラウザとして日々利用していますけれど、その提供元のMozilla Foundationは非営利団体。ブラウザ自体には特に広告などの収益につながるような仕組みは備えておらず、団体のウェブページにも広告などはありません。非営利団体ですから当たり前と言えばそうなのですが、団体の維持とFirefox、Thundarbirdのリリースにかかる費用はどうやって捻出しているのでしょうか?
その素朴な疑問に答える記事が、GigaZiNEに載っていました。
Firefoxなどから得られた2007年度売上高は「約71億円(7500万ドル)」、どのようにして儲けているのか? GigaZiNE
・収益のカラクリ
Firefoxの右上にある検索ウインドウによる売上がほとんど。Firefoxを開発しているMozilla財団はGoogleと契約しており、 Firefoxで検索してGoogleに人が行くと、見返りとしていくらかのお金がGoogleから支払われるという仕組み。この契約は本来、2008年11月で終わる予定だったのですがさらに延長され、2011年11月まで契約は続行されるそうです。さらにオンラインでアフィリエイトプログラムを運営しており、Mozilla Storeなどからも収益を得ているとのこと。
なんと、収益の88%がGoogleからの収益と言うことで、金の流れだけを見ると「Googleの一部門」と言っても過言ではない様な状態です。Googleもchoromeという独自ブラウザを開発しましたが、今のところはシェアも小さいですので、Googleのブラウザ部門としてMozilla Foundationに価値を見いだしているフシがあります。
今後の課題としては、Google以外の収益源をいかにして見つけるかにあるようです。・・・ゲイツ?というのは冗談としても、他のオープンソースプロジェクトはいったいどうやって資金繰りをしているのでしょうね。
RedHat Linuxで知られるRedHatは、サービスサブスクリプション・・・つまり、障害時の対応サービスの”予約権”を客に売ることで収益を得ています。Basicなら対応はWebで営業時間内のみ、Premiumだと重大案件なら24時間、電話でもメールでも手厚い対応を行うといった具合に。ちなみ、1ライセンスあたりのお値段は、Windowsと比べ別に安いわけではないです。
同じくubuntu Linuxは、Canonical社が資金提供を行っており、ubuntuを通じた収益パートナーを探している最中。
フリーソフトウェア財団やWikipediaは主に寄付によって運営をまかなっているようです。この時期はトップページにDonateの文字が躍っていますね。
SolarisやJavaで知られるSun Microsystemsはソフトウェアだけの会社にあらず。サーバー、ワークステーションの老舗で、ハードウェアと両立されています。他にも無料でソフトウェアを提供しているGoogleやMicrosoftは言わずもがな・・・
これらはあくまで成功例です。「基本的に無料」であるオープンソースソフトウェアで収益を出そうとするのは非常に困難ですから、Googleとの契約が切れたときにFirefoxが立ちゆかなくなるなんて事態は普通に考えられることなのです。契約が切れる2011年、chromeのシェアがどこまで上がっているかが分かれ目になりそうですね。
ところで、Mozillaで働いている人ってどれくらいの収入があるんでしょ?
2006年度の財団の経費は31億円で、そのうちの80%が人件費。スタッフは総勢150人程度ですから、単純計算で一人あたり1,653万円・・・パートタイマーの人も含まれますので、フルタイムの人の平均年収は2,000万円超えるんじゃないですか?
オープンソースコミュニティって、基本的には手弁当でやってるって感覚が強かっただけに、何となく裏切られた気分がするのは私だけでしょうかねえ・・・