Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

PSP3000の次は”2”じゃなくて”go”

2009-05-31 21:18:46 | Thinkings

 正直な話、まだ正式発表前なので本物かどうかは分からないんですが・・・とりあえず”本物っぽい”ので。

 モンスターハンターポータブル2nd Gが社会現象になるくらい馬鹿売れしたPSP。ええ、私もそれを始めるために買いましたよ。発売から一年たってもまだやってます。・・・正確にはしばらく放置していたけれど、WiiのGをやっていたら物足りなくて舞い戻ってきたということなんですが。

 ゲーム機というのは、ポータブル、据え置きにかかわらず、新機種が発売されたときにはすでに次の企画に取りかかっているものです。そんなわけで、2004年12月12日の発売からすでに5年が経過しており、外見は地味に代わったものの、本質的なスペックに変更が無かったPSPの「次の機種」についてはいつ発表されてもおかしくなかったわけです。実際に、2000の時も3000の時も、発表の時は「PSP2?」という憶測が飛び交いました。そして、今度こそ単純なバージョンアップではなく、「次」みたいなのですが・・・なんというか、ちょっと予想の斜め上(下?)かもしれませんね。

新PSPはスライド式の 「PSP Go」、UMD廃止・Bluetooth内蔵 (動画・写真追加) engadget

E3で発表の見込み、とされていた新型 PSPが直前になって流出しました。新モデルの名称はうわさどおり「PSP go」。ボタン類が隠れるスライド式、UMDスロットを搭載しないという点も事前情報そのままです。また本体右上についているのはBluetoothロゴ。流出したQore動画によれば、PSP Goは16GBのストレージを内蔵。またPSP-3000を置き換えるものではなく、当面のあいだは併売されることも確認されました。発売は今年秋の予定。外観は mylo 2にそっくり。

  まず驚きなのが、UMDが無くなるということ。つまり、ソフトの店頭販売を止めてしまうって事か、もしくはメモリスティック形式での販売になると言うことですかね。CDかDVDで販売して、PS3からのダウンロード対応なんていう変化球が飛び出すかもしれませんが。そして、形状は前のフォルムをほぼ完全に捨て去って、同じくSonyが出しているパーソナルコミュニケーター「mylo」にそっくりです。

ちなみに、これがmylo。画像はSonyのページから。PSP goの画像はいろいろと未確定なので、正確なプレスリリースがでるまで控えます。

 PSP3000が併売される言うことは、今まででているUMD資産を一気にフェードアウトさせることを防ぐためでしょう。そして、わざわざ併売と書いたこと、そして2でなくgoである事から、内部ストレージを持っていることとUMDを搭載しないこと以外の基本スペックは現行のPSPに準ずるとも考えられます。つまり、画面の解像度が上がるわけではないし、ポリゴン表示性能も同じ可能性が高いと言うこと。

 これまでのUMD資産を捨て去った新型の登場は、確かに予想外と言うほどではないんですよねえ。すべてダウンロード販売に切り替えて店頭在庫を0にするならば、流通経費も在庫もゼロ。物理的なメディアでの販売ではないので、中古市場も存在しないし、値段もソニーがすべて管理できます。これまで、WiiのショッピングチャンネルやPlaystation Store、iPhoneのApp Storeで「ダウンロード販売でもソフトは売れる」ということは証明されていますから、特段無謀な賭というわけでもないんですよねえ・・・
 ただ、小売店の反発は避けられないでしょうし、今以上にダウンロード販売を根付かせるにはネット環境の整備も進める必要があるでしょうし・・・完全にそちらに切り替えるのはまだ様子見。と言うことで3000の併売があるのですが。将来的に店頭でPSPのゲームが変えなくなるのはちょっと寂しいなあと思いますがね。

 E3は6月2日から開催され、PSP goはそこで正式に発表される予定ですが・・・果たしてどうなる事やら。


Google Waveのもたらすもの

2009-05-29 23:59:59 | Technology

 最初にこのニュースを見たときは、正直言ってなんのことか分かりませんでした。そして、そのデモの内容を追っていくうちに、実はとんでもない可能性を秘めたツールじゃないのか、いやそうに違いないと思うようになりました。なんのことかと言いますと、Google Waveのことです。

 【詳報】Google Waveとは何なのか? @IT

 米グーグルは5月28日、米国サンフランシスコで開催中のイベント「Google I/O 2009」で、まったく新しいメッセージングおよびコラボレーションのためのプラットフォーム、「Google Wave」を発表した。同日、開発者向け早期プレビューとして公開。限定的にアカウントを発行して、外部の意見を取り入れながら開発を進める。

 はっきり言って、ここでGoogle Waveの詳細を書き記すのは非常に難しいです。概念的には、「メール+メッセンジャー+Wikiをリアルタイムで共有するもの」・・・と言うのが近いでしょうか。
 何でも、そこで行われている”会話”全体を一つのオブジェクトとして扱い、それを会話に参加している全員で共有すると言うところがキモのようです。それによって、普通のIMとは違い、過去の発言に誰もが注釈を入れたり、履歴付きで変更を掛けることができたり、文字入力の過程が逐一見えるくらいリアルタイムに情報を共有できるようです。他にも、Webベースのツールにもかかわらずドラッグドロップを採用していたり、メンバーという形でボットと呼ばれる拡張ツールを導入することで外部のブログと連動できたり、同じくボットを使うことで、例えば英語とフランス語を同時翻訳しながらチャットができたり・・・

 つまり、既存のツールをミックスして、メールやIMの次のコミュニケーションツールを目指すための機能がてんこ盛りになっているため、文章だけでは恐ろしく分かりづらくなっています。やはり、引用元に一度目を通されることをおすすめします。読んでいけば、いかに今までの常識から外れたツールかというのを感じ取ることができるのではないでしょうか。

 そして、このWaveを、これまでGoogleが提供してきたツールと違ってオープンソースで公開すると言います。他社でWaveサービスが運営されることよりも、Waveの裾野を広げること、機能をより拡張していくことのほうが大切だという判断ですが・・・WaveにかけるGoogleの意気込みが透けてくるようです。

 確かに、電子メールは、IMは、登場からずいぶんと長い時間が過ぎ、比較的新しいBlogやSNSでさえ、数年がたっています。それらすべてを内包するかのような新しいコミュニケーションツールとして、Google Waveは開発され、私は個人的に大きな期待感を持ちました。・・・まあ、相手がいてこその話ですが、「オンラインでないと存在し得ない」「どの環境でも使える」「とりあえずこれがあれば完結する」というすべての要素を高次元で融合させた、今まで見てきた中でもっとも魅力的なマッシュアップツールに思えます。まだβでも公開されていませんが、正式版稼働の暁には是非触ってみたいものです。


5ドルのデバイスにできること

2009-05-28 23:59:59 | Thinkings

 たとえば、OLPCが100ドルPCでまいた種によって(必ずしもOLPCのXOではなかったにせよ)発展途上国のたくさんの子供たちにノートPCが届けられる公算がたちました。PCと、それに搭載されているソフトウェア、そして接続できるインターネットは、子供たちに多くの情報とイノベーションをもたらすことでしょう。

 たとえば、Wikipediaはジャンルを問わず、さまざまな知識を無料で提供してくれます。それこそ閲覧するデバイスさえあるならば、情報格差を高いレベルで解消するすばらしいナレッジベースです。

 しかしながら、これらのデジタルデバイスおよびそれに依存したナレッジベースは、電気も回線も来ていないか、とても貧弱な場所で使うには、たとえ手回し式の発電機があるにせよ、いろいろと無理があるでしょう。ことXOについてはこのブログでも幾度となく取り上げていますが、ほとんどの場合がガジェット的なおもしろさ・・・つまり「自分が使ったら」という立場に立って書かれたものであり、子供が現場において実際に使うという場面をあまり想定していませんでした。そのあたりの考察については、今になって思うと非常に甘かったのではないかと考えざるを得ません。

 そう思ったのは、もちろんPCそのものや、インフラに対しての見通しもそうなのですが、以下の記事を読んで思い返した「識字率」の問題があります。

100ドルノートPCの次は――「5ドルデバイス」で世界を救え ITmedia

 「このアイデアは1年ほど前に思いつき、そこから進化した」とシュミット氏は言う。「わたしはOLPC(One Laptop Per Child)に協力し、ノートPCを使った識字向上支援の方法を考えていた。ガーナに行ったときにノートPCを何台か持って行ったが、価格の問題で、ノートPCは解決策にならないと気づいた。ノートPCは特定の問題の解決策であり、長期的には開発途上国にとって戦略的に有効な手段となり得る。だが個人が生活の質を高められるようなデバイスを買えるようにするために、200ドルや100ドルのノートPCの代わりに、5ドルのデバイスを作れるだろうかと思った」

 シュミット氏が考えたのは、100ドルのPCよりも5ドルの識字率を向上させるデバイスを作った方が、生活の質の向上にずっと役に立つと言うことです。確かに、文字が読めなければWikipediaもPCも、それどころか分厚いブリタニカ百科事典だって置物以外にはなれません。彼が考えたデバイスは、「Talking Book」という、いわゆる多機能なポータブルオーディオプレイヤーです。

 このデバイスに本を読み上げさせる事により、一人でも文字学習ができるようになるというもの。また、読み上げ以外にも音声情報の交換や録音など、音声情報を使ったナレッジデータベースプレイヤーとも言える代物です。確かに、文字が読めない人には液晶ディスプレイとか要らないですね。

 これを見ていたときにふと思い出したのは、インドで開発中の20ドルネットデバイス。インド国内の各学校に、学習教材を届けてプリントアウトさせるというものですが、100ドルPCの前段階である「基礎的な学習」をあまねく受けさせるために作られたという点は今回のものと似ています。むしろ、これら二つを組み合わせて使用する事ができたなら、その効果は何倍にも跳ね上がるのではないでしょうか。

 今回のTalking Bookは、はっきり言ってガジェット的にはそんなに面白いものではありません。むしろ、iPodやNWウォークマンを知っている人間からすると「でかくてかっこわるく、スマートでもない」ものです。ただ、本当に広く、安価に普及させるという目的を持つならば、むしろそういう枯れきったデバイスをいかにうまく組み合わせるかという点に注力すべきではないか、と今回の件で思いました。そういう意味では、IntelのClassmatePCやXOよりも前に、まだまだやれることは残っているような気がしますね。


ソフトバンク、通信速度制限を導入へ

2009-05-27 18:18:27 | Thinkings

 今時の携帯電話に必須・・・とは言えないけれど、契約しておいた方が安全なものとして、「パケット通信定額サービス」というものがあります。基本的に、携帯電話でのパケット通信は単価が高く、PCと同じ感覚で使っているとあっという間にとんでもない金額が請求されることになります。具体的に言うと、着うたフルを一曲300円で落としたときに、その5倍くらいの通信料がかかっている感じですね。しかしながら、そのような比較的”重い”データを扱うサービスが多くなってきたのを踏まえ、各社が初期費用を抑えたパケット通信定額性サービスを導入しているため、「後でびっくり」という悲しい事件は少なくなってきています。

 逆に言えば、今、世の中には、パケット通信が使い放題の端末があふれているということになります。ですので、今回のソフトバンクの発表は、驚きよりも、「ついに来たか」という感覚が強いです。

通信品質確保対策の試験導入について softbankプレスリリース

 ソフトバンクモバイル株式会社(本社:東京都港区、社長:孫正義)は、通信品質およびネットワーク利用の公平性確保のために、パケット定額サービスに加入し一定期間に大量の通信をご利用される一部のお客さまに対して、通信速度を制御する試験を実施します。なお、通信の切断は行いません。

 今回のような通信制限をソフトバンクが行うことについて、実はすでに予兆はありました。

iPhone 3G+無線LAN 快適無線LANでiPhone 3Gフル活用

 iPhoneを始めとする、Wifiを搭載しているスマートフォンを契約している顧客に対して、無線LANルータを特価で提供するというキャンペーンです。ソースではPlanexのルータですが、FONのルータも扱っていたようです。これらの対策は、基本的にネットワークでの使用が主となっているスマートフォンユーザーに既存のインターネット回線を使ってもらうことで、ソフトバンクの3G回線の負荷を軽減しようとして導入された「苦肉の策」でした。元々、ドコモ、auに比べて回線網が弱かったソフトバンクにとって、パケット定額性は非常に負担になっていたはず。未だにPCの常時接続サービスを導入していないのも、その当たりの事情があるのではないでしょうか。

 導入は良いとして、気になるのは「どの当たりから大量の通信と見なされるのか」について。PCと違い、携帯電話で大量のデータをダウンロードすると言う使用方法はあまり考えにくいのです。メールのやりとり程度ではとてもじゃないけれど帯域制限がかかるとも思えないんですが、強いて言うならば動画のストリーミングが挙げられるでしょうか。ニコニコ動画やYouTubeの携帯向けサービスを四六始終使っているなら分かるのですが・・・実際の本稼働は11月からと言うことで、そのときには制限される下限も発表されるでしょうから、とりあえずはそれ待ちですね。

 それにしても、このような制限を掛けると言いつつも、iPhoneの実質0円キャンペーンを続けたり、定額サービスをドコモに合わせて引き下げたり、迷走に見られても仕方がないような施策がちょっと目立ちます。今後通信網の強化が、ソフトバンクにとって大きな課題になってくるのではないでしょうか。・・・それとも、4Gまで待ちですか?


ネットブックは主役になれるのか

2009-05-26 23:59:59 | Thinkings

 まずはっきりさせておかなければならないのは、モバイルデバイス・・・スマートフォンやネットブックだけですべての作業ができるというのは幻想だと言うこと。少なくとも、今の時点では。しかしながら、「それができる」と主張して、自分で実行することに対しては一向にかまわないと思います。それは全く持って個人の自由であるからですが、それを他人に対して押しつけたりはしない方が良いでしょう。失笑を買うだけです。まあ、逆も又しかりだと思いますけど。

 と言うわけで、結局の所何が言いたいのかと申しますと、日本において17インチのノートブックを常に持ち歩くのは無理がありますし、フルサイズのキーボードと19インチディスプレイのある隣で、iPhone+ZeptPadでプレゼン資料を作る必要も無いだろうと言うこと。適材適所ってやつです。
 そういう観点から、ネットブックは企業には普及しないと切って捨てたのが以下の記事です。

Netbookは企業市場に食い込めるか? ITmedia

 Netbookは会社から客先へ手軽に持ち運べるので、企業に向いていると主張する人もいる。また、企業ユーザーが本当に求めているもの、すなわち、Hewlett-Packard(HP)、Dell、Lenovoの高価格ノートPCに代わる安価な選択肢をNetbookが提供するという人もいる。しかしこれらは、企業の重要なニーズを考慮していない議論だ。コンピュータをオフィスからオフィスへと持ち歩けるかどうかは、企業にとってそれほど重要な関心事ではないのだ。安価というのも確かに重要なポイントだが、それよりも重要なのはその投資の効果だ。

 Netbookに関していえば、投資効果はあまり高くない。

 簡単に主張をまとめると、

・XP Home Editionを搭載している機種がほとんどで、ドメインネットワークに入れない
・非力なのでエンタープライズ向けのシステムを動作させるのは無理がある
・モバイル向けにはスマートフォンがある。メールのやりとりはそれで十分
・サイズが中途半端に小さくて長時間の使用に向かない

と言ったところでしょうか。確かにうなずけるところもありますが、私は企業にネットブックが入り込める余地が無いとは思えないのです。

 確かに、比較的重いエンタープライズツールを使う部署ならば、ネットブックが入り込む余地は全くないでしょう。しかしながら、企業はそのような部署ばかりで構成されているわけではありません。ネット閲覧とグループウェアの使用と軽めの事務作業しか行わない部署だってあるわけです。そういった部署に配置するPCとして、キーピッチが比較的確保されているネットブックをシンクライアント代わりに利用するのはアリだと思うわけですよ。また、機密の関係上、スマートフォンを持ち歩けない企業だっていくらでもあるわけですからね・・・そもそも、日本ではそこまでスマートフォンは普及していませんし。もちろんドメインに入れないのは問題ですが、パブリッシャーがやる気を出せばクリアできること。そうすれば、安価に環境をリプレースできる手段になり得ると思うのですが。

 もっとも、ネットブック登場の余波を受けて、ビジネス向けのノートPCの価格下落は目を見張るものがありますから、今後、価格競争力が無くなったときはこの限りではないわけですが。ただ、クラウドの機運が高まっている今だからこそ、うっかり企業向けの高解像度モデルを用意してしまうパブリッシャーがあらわれたなら、事務用として一定数が普及する余地はあると思いますよ。


”一芸に秀でた”auの新ラインナップ

2009-05-25 18:08:17 | Thinkings

 ここ一週間ほどの間にドコモとソフトバンクの夏の新機種について発表があったところですが、本日、auについても発表があった模様です。個人的には、auのラインナップの「平凡さ」に嫌気が差してiPhoneに移ったということもあり、今回の発表はいささか驚いてしまいました。

約5000冊の小説が持ち運べるブックケータイなど8モデル--au夏モデルラインアップ CNET Japan

 夏モデルとしては、すでに発表した「iida」4機種と法人向け携帯電話「E06SH」を加え、合計13機種のラインアップとなる。「去年と違う夏」をテーマに掲げ、数よりも「国内初」となる機能を重点に置いた端末をそろえた。

 これまでのau端末は、ソニーエリクソンのウォークマン携帯を除くと、他社製の端末と同じ事が同じようにできるという印象で、ことさらauならではの異彩を放つものが少なかったように思います。ソフトバンクはサイクロイドヒンジを採用したアクオス携帯をいち早く投入することなど、先進的な機種を早期からラインナップに加えていますし、ドコモにしてもiモードなどの独自サービスが大きな売りとなっています。しかし、auにあったのはデザインであり、機能的には他社に遅れを取っていました。

 しかしながら、今回のラインナップはこれまでの無難な路線とは大きく異なり、電子ブックビューアーとして使えること、WiFiでインターネットができること、タッチパネルを採用し、ソフトウェアQwertyキーボードを搭載するbiblioや、デジカムをそのまま小さくしたようなスタイルで、HD動画が撮影できるMobile Hi-Vision CAM Woooなど、それぞれが柱となるコンセプトを定め、めいっぱいとんがった携帯電話になっています。実験場としての携帯電話市場にも書きましたが、製品スパンの短さや奇抜さが受け入れられる土壌を生かした、一代限りの面白い「実験」ではないでしょうか。

 普通に使えると言うことはもちろん重要ですが、どうせ二年しか使わないんだし・・・と思うならば、今回の様な「特殊な」携帯電話も十分アリだと思います。なんだか、次のauの新機種が俄然楽しみになってきました。

 ・・・まあ、しばらくは戻らないし、戻れないんですけどね。


死にかけの技術

2009-05-24 23:59:59 | Thinkings

 コンピューターの世界はドッグイヤーと言われてまして、犬が人間よりも早く年を取っていくのと同じように、IT業界は他産業の数倍の早さで技術が陳腐化していくという話です。まあ、今更と言えば今更な話ですよね。

 そんなわけで、黎明期にはいろいろともてはやされた技術も、時間がたつにつれてアップデートされたり、新しい技術に置き換えられてしまって役に立たなくなるなんて事は多々あります。そこで、開発手法やプラットフォーム等のソフトウェア畑の技術について、こんな記事がありました。

市場価値を失いつつあるITスキル10選 ITmedia

 スラッシュドット・ジャパンでストーリーとなって熱い議論が交わされている「死にかけのITスキル10選」。もともとはGlobal Knowledgeの記事(Ten Dying IT Skills)で言及されているもので、コンサルティング・ファームFoote Partnersが行ったITスキルと給与水準の関係の調査から以下のような10個のITスキルが挙げられている。

 挙げられているのものの中で、知名度があるのは「HTML」と「COBOL」くらい?それ以外の技術は、「使われているけれど、メインストリームにはなれなかったもの」だと思っておけば問題ないと思います。正直な話、実際に現場で関わっている人以外には、あんまり縁がないものばかりじゃないでしょうか。

 元記事に挙げられている技術は、「習得していても市場価値が無いもの」としてあげられています。しかしながら、ドッグイヤーの技術革新とは言いつつも、ソフトウェアというのは意外なほど長く使われていくもの。確かに、一般的には「価値無し」と思われていても、ある特定の現場では末永く必要とされる、なんてことはよくある話です。例えば、COBOLは今でも金融系のメインフレームでは現役で動いていますし、Windows3.1だってPOSレジなどの制御に使われていたため、最近までライセンスの発行が行われていました。DOSやBASICなんて、組み込み系やポケコンの世界ではまだなかなか寿命を迎えることはないでしょう。
 要するに、それらの技術に本当に価値が無いかは「一概には言えない」と言うことです。お給料にだって「それらを重要視する職場では」反映されることでしょうから。

 とはいえ、「今持っている技術が廃れること」というのは、常に考えておかなければならない事だとは思います。例えば、これまで自社の製品で採用してきたプラットフォームが、提供元から一方的にサポート打ち切りを宣告されたor提供元が倒産したor提供先が一斉に別プラットフォームへの乗り換えを希望した、なんてことになったら今後どうしていくかを考えるだけでいやになりますが、この業界ではあり得ない話ではありません。最後の話だって、クライアント・サーバーシステムからWebベースのクラウドへの乗り換えを顧客から提案されたりとか。
 まあ、ここまで極端ではなくても、使っているプラットフォームのバージョンが上がることで、それまで使えていたマクロや関連ソフトウェアが動かなくなったりなんてのは日常的に起こりうることで、実際にJavaベースのウェブアプリ関連は、「バージョン指定」なんてのがまかり通っていますね。しかし、そういうのは顧客に対して大幅な不利益を被らせることになりますので、いつかは改変しなくちゃならない。しかし、仕様変更によってソフトウェア全体の設計を大幅に見直すことになったとしたら、まるっきりプラットフォームが変わったのと同じじゃないでしょうか。

 あまり使われなくなった過去のものと見なされている技術について、いくら「需要が無くなることは当面無い」と言っても、必要とされる場面が狭まってくるのは必然です。「一芸に秀でる」事も重要ですが、「保険をかける」ことも大事なんじゃ無かろうか・・・なんてことを思いました。


インフルエンザ狂想曲

2009-05-23 23:20:28 | Thinkings

※記事内に誤解に基づく記述が多々ありました。
 弱毒性でも医療設備の整ってない場所でパンデミックを起こした場合、数千万人規模の死者が出る可能性があるということで、早期の封じ込めにより拡散を防ぐのは正しいとの指摘を受けました。
 ただ、記事に関してはその時点での個人的感想の記録と言う観点から、あえて残しておきます。

 インフルエンザの大流行の「兆し」を受けて、国内では大混乱が引き起こっていますね。・・・周りは静かなものですか?とはいえ、修学旅行シーズンと重なったことで、海外はもとより関西方面への旅行がキャンセル・延期になったり、渡航者が激減して空港内の土産物屋が破産を申請したり、パンデミックの際のマニュアルなどの対策が市町村規模でたてられたり・・・十分に大きな騒ぎになっていますよね。

強毒性想定し初の実働訓練=新型インフルで陸自北部方面隊 jijicom

 陸上自衛隊北部方面隊(総監部札幌市)は23日、致死率が高い強毒性の新たなインフルエンザが発生したと想定し、陸自として初の実働訓練を行い、報道陣に公開した。

と、このように、自衛隊でも大規模な訓練が始まるなど、下手すると北朝鮮のミサイルよりも騒がれています。

 しかし、ちょっと待ってください。新型インフルエンザってそんなに怖いんですか?

 引用元の記事に「致死率が高い強毒性の新たなインフルエンザ」とあります。実は、インフルエンザと言う病気は、ウイルスの変異によって「弱毒性」と「強毒性」の二つに分けられます。過去、パンデミックを引き起こし、数千万人規模の命を奪ったのはすべて強毒性ウイルスの仕業です。弱毒性のものだったと指摘を受けました。
 数年前に鳥インフルエンザが騒がれたのは、それが強毒性を引き起こすウイルスであったから。もしも、鳥インフルエンザが変異して、人間にも感染するようになっていたら、数十万人規模の犠牲者が日本でも出ていたと言われていますが・・・

 しかしながら、今回騒がれている「通称豚インフルエンザ」は弱毒性で、感染しても冬期に流行するインフルエンザと症状は変わりません。つまり、流行したとしても、冬期と同じレベルの対策で十分なはずなんです。鳥インフルエンザの時のイメージを引きずりすぎて、ずいぶんと報道が過熱気味になっていますから、それにつられる形で回りも騒いでいるようですね。

 ちなみに、鳥とか豚とかがついているのは、これらの動物のインフルエンザと人間に感染するインフルエンザは型が似通っており、変異することで流行を引き起こす可能性が高いから。また、これらの動物間で感染をする過程の変異によって、強毒性になる可能性もあるため、注目されているのです。

 そんなわけで、確かにいざ強毒性のインフルエンザがパンデミックを起こしたときのことを想定して準備をしたり、対策を立てておくというのは非常に有用なことだと思いますが、今回の新型インフルエンザに対する反応は少々過剰だと思います。変異によって強毒性に転ずる可能性も捨てきれませんが、それよりも、マスクの高騰とか渡航制限とか、事細かな感染者の報告とか・・・そういった事態を沈静化するために、そろそろ本腰を入れて動いた方が良くないですか?

 どちらにしろ、今の世の中、数千キロを1日で移動できてしまいますから、どこにキャリアがいてもおかしくないです。万全を期すと言えばそうなんでしょうけど、関西方面の宿泊施設とかのダメージにはとうてい見合わないと思うのですが・・・


実験場としての携帯電話市場

2009-05-22 19:32:36 | Technology

 5月19日にソフトバンクモバイルの夏モデルが発表され、その中でひときわ目を引く機種がありました。シャープ製のmirumo 934SHですが、いやがおうにも目に入るのは、サブディスプレイにしてはやけに大きいモノクロ画面です。

mirumo SoftBank 934SH(シャープ製)の概要 softbank mobile プレスリリース

 折りたたみタイプの本体表面に備えたサブディスプレーは、さまざな情報を表示可能な大画面約3.0インチの新開発「メモリ液晶」を採用。従来有機ELサブ画面の約500分の1低消費電力※1を実現した「メモリ液晶」によって、閉じたままの状態でも、時計や天気、新着メール、ニュースなどの知りたい情報を見ることができます。

 電子ペーパーと同じように、画面を書き換えるときにしか電力を消費しないメモリ液晶を搭載することにより、消費電力を押さえることで大画面のサブディスプレイを採用可能となったわけです。このように、携帯電話には比較的新技術が投入される事が多いように思います。

 考えてみれば、携帯電話の発展により、「充電池の小型化、高容量化」「液晶ディスプレイの高精細化」「無線通信規格の発展」「モバイルコンテンツの開発促進」「ポータブルGPSの利用方法模索」「ワンセグの普及」etc.という様々な面での実験的・実践的試みが早期から投入される傾向にあります。この背景を考えてみます。

1.携帯電話の新製品発表プランが比較的短い
2.一度に発表される製品が多い
3.”目新しさ”を求め続けないと陳腐化しやすい
4.製品寿命が比較的短い
5.キャリアの補助、および販売プランにより比較的高額でもユーザーの初期投資を抑えられる

以上のような理由から、携帯電話は実験的な新技術を投入しても受け入れられやすく、かつある程度の販売数が見込めるためコストを抑えやすい。そして、製品の投入スパンが短いため、不振に終わってもすぐに新しいコンセプトの携帯を発表でき、損失を抑えることができる・・・と、そんなわけで、携帯電話は新技術の実証実験場として非常に優れていると言えます。日本の携帯市場はガラパゴスだと、IT界隈・・・えーと、主にスマートフォンに興味がある人たちからは批判されます。しかしながら、ガラパゴス故にこういう市場に育ってきたと言うことは、技術的の発展という見地から言えば間違いなく+であったと思いますよ。

 次はカラー電子ペーパーあたりが搭載の対象になるかもしれませんし、はたまた画期的な入力装置がお目見えするかもしれませんが・・・「とりあえず採用してみる」ことができる市場があるというのは、実にエキサイティングですね。


Androidでも”タダ”ではない 携帯電話をもう一度考える

2009-05-21 18:54:13 | Thinkings

 日本の携帯電話の各メーカーが採用している独自OSの世界とは別に、グローバルな市場での覇権を狙うため、マイクロソフト、Apple、Synbian、そしてGoogleがしのぎを削っています。この中で、Appleは自社のハードウェア、つまりiPhoneのみでOSをリリースしているのに対して、残りの三社は自社ではハードウェアを作らず、他社のハードウェアに採用してもらうことで勢力を広げようとしています。

 その中でも、MS以外の二社は、自社の携帯電話用OSをオープンソースソフトウェアとしてライセンス料無しで展開していることから、採用する方もコスト的に有利であろうと思われたのですが・・・どうもそういうわけではないようです。

Android、OSは無償でも初期開発コストは想像以上に高い――HTC、HT-03A説明会を開催 YOMIURI ONLINE

 Androidは、オープンソースの携帯電話プラットフォームだ。ライセンス料がかからないというメリットがある一方で、「OSは無償でも、ハードウェアやサービス、アプリの開発にはコストがかかる。初期の開発コストは想像以上に高いもの。従来のOSのライセンス料が占める割合は少ないため、大きな差はない。したがって無償のOSだからハードウェアが廉価ということではない」と語る。

 例えば、MSのWindows Mobileは、これまでの資産があったり、MSが提供するクラウドサービス「Windows Live!」と親和性が高いこと、そして、開発環境がそろっていると言った利点があります。ほぼ新規スタートとなるAndoroidは、専用のインターフェイスや対応のサービスなど、投入に当たってハードウェアメーカー側で整備しなくてはならないことがあり、結果的に大きな差は無くなってしまうと言うことでしょうか。
 将来的な事まで考えると・・・と一瞬考えたのですが、携帯電話が常に革新を求められる今、ライセンス料よりも、むしろ提供される付帯サービスや、ハードウェアメーカー側で整備しなくてはならない事の質と多さ、そして実際に使うユーザーに対して、どのようなものが提供できるかという事が問題になってくるように思います。投入初期のPS3のように、「性能は高いが、サービス提供側に大きな開発負荷がかかる」という状況は、世代交代のスパンが短い携帯電話にとって、むしろPS3よりも深刻でしょう。

 要するに、オープンソースだからライセンス料が0と言っても、それが大きなメリットになるとは言いづらい。最終的にはハードウェアメーカーの地力にかかっているという事でしょうか・・・。Andoroid携帯と言っても、全部が全部同じデスクトップで操作性、というのは今後も考えられませんからね。魅力的な携帯電話というのは、OSだけではなく、ハードウェアも含めた一製品として議論していかないといけないという事でしょう。
 いささか、AndoroidやiPhone OS、そしてWindows Mobileそのものの優劣に終始しがちですが、ハードウェアの個体差が大きい携帯電話の場合、斜め上の議論だったのかもしれません。