Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

スパコンになるPS3

2007-10-31 20:16:42 | Technology
 PS3は、確かにゲーム機としては失敗しているかもしれない。しかし、その性能たるや、他の次世代機どころか通常のPCをも凌駕しているのは周知のところ。しかるべきプログラムのチューニングと扱う問題の選択も重要ですが。

 PS3の得意な分野の計算というと、やはり強力な浮動小数点演算能力を生かした物理シミュレーション。その能力を、久多良木氏が当初目指していたゲーム以外の分野で生かしてみたら・・・

 重力波の観測プロジェクト:スパコンでなく『PS3』が活躍 Wired Vision

 現在、相互に接続された8台のPS3が、太陽の100万倍ほどの質量を持つ超巨大なブラックホールが星を飲み込んだとき起きる現象や重力波といった宇宙の謎を解こうと懸命になっている。

 何でも、マサチューセッツ大学のKhanna博士は、今までは外部のスパコンを間借りして行っていた、自身のチームの天体シミュレーション研究を行うため、PS3 Linux上でシミュレーションプログラムをくみ上げたそうです。そのプログラムがある程度の結果を見込めるようになってから、なんとソニーにPS3を8台無償提供してくれと申し出たらしいです。
 その申し出は見事に実り、現在、博士のラボではPS3が日夜宇宙の謎を解き明かしているのだとか。

 しかし、PS3を8台買ってもせいぜい50万円程度。今まで使ってきた研究費からすればずいぶんとお安い買い物だと思うのですが、何で無償提供という形をとったのでしょうか。
 博士が言うには、

費用総額が少なくなるとはいえ、ゲーム機を買うために助成金を出すようNSFを説得するのは困難だろうとKhanna博士は考えていた。

と、何とも現実的な答えがあったようです。

 元々PS3は、グリッドコンピューティングなどの用途にも使えるよう設計がされているマシンです。今後、博士の使い方を真似る企業や大学も出てくるかもしれません。皮肉にも、家庭においは絶望的となった久多良木氏の夢は、研究分野でかなえられるかもしれないわけです。

 いっそのこと、ソニーは各大学や研究機関に対して、PS3の有効な使い方を募ってみてはどうでしょうか?もしかしたら革新的な未来に、いっそうの貢献ができるかもしれません。

ニコニコ動画で「違法コンテンツ」がなくなるかもしれない

2007-10-30 23:12:57 | Thinkings
 今やYouTubeを押しのけ、日本最大の動画投稿サイトとなったニコニコ動画。「動画にコメントをリアルタイムで付けられる」ことと、「独特なコミュニティ」によって急成長を遂げてきた同サイトですが、他の動画投稿サイトと同じく著作権問題を抱えています。

 例えば、テレビ番組をまるまる一本アップロードしたり、PVをそのまま流したり・・・中でも多いのが、CDからリッピングなりなんなりした曲を流すと言った行為です。他の映像のバックに流したり、カバーしてみたりと、様々な使われ方をしています。

 こういった使い方はもちろん違法ですが、そのうちこれが、違法ではなくなったら何とも素敵なことです。もちろん、そうするためにはJASRACと協議をする必要があるわけですが・・・

JASRAC、ニコニコ動画とYouTubeの楽曲利用で協議開始 Internet Watch

 ニワンゴによれば、「協議の詳細は未定」だが、ニコニコ動画およびSMILEVIDEOにおいて、ユーザーが投稿した動画で使われた楽曲の使用料をJASRACに支払う契約などについて協議するという。また、許諾内容次第では、ユーザーがJASRAC管理楽曲を用いた動画を投稿することも可能になるとしている。

 これは推測ですが、使用料が発生する動画については、プレミアムユーザーのみ閲覧可能にするか、ニコニコ市場にスポンサーリンクが強制的に挿入されるとか、そのような措置はなされるでしょうね。特に、プレミアムユーザー限定はありそうな話です。

 それでもなお、ニワンゴの英断は評価するべきでしょう。

 とはいえ、この動きの裏には、間違いなく「ダウンロード違法化」が絡んでいる事でしょう。
 もし、ダウンロードの違法とする法整備がされてしまったとしたら、ニコニコ動画自体が、訴訟リスクを常に抱えることになり、最終的には運営できなくなってしまう可能性をはらんでいるからです。ニワンゴとしては先手を打って、JASRACの動きを封じ込めたいというねらいがあったのだと思いますが・・・

 実際のところ、「どちらが話を持ちかけたのか」は分からないんですよね。

 後は、JASRACがどういう条件を提示してくるか。その条件次第で、今後の日本のネットワーク上におけるコンテンツ利用の基礎が変わってくるわけで、非常に大きな問題を内にはらんでいると思うのですよ。

 あわただしく動き始めた日本の著作権事情。10年後、今よりもみんながハッピーになれるよう、悔いのない法整備を進めてもらいたいものです。

22型まで降りてきたフルHD

2007-10-29 18:41:52 | Life
 CEATECに続き、FPD International 2007においても、平面型ディスプレイの今年の目玉と言えば、ずばり「薄いこと」。
 Sonyの有機ELの3mmは言うに及ばず、他のメーカーも3cmの液晶を展示するなど、各社とも、パネルを薄くするのにしのぎを削っているようです。

 展示されているのはどれも37型オーバーの大型機が多く、フルHDパネルの迫力を存分に満喫できることでしょう・・・スペースがあれば。

 スペースの関係上、32型以上を置くのはちょっと厳しめ、という家庭というのは結構多いと思うのです。また、私の部屋もそうなんですけれど、リビングではなく自室に置きたいとなると、それほど大きなモデルは必要ない場合がほとんどではないでしょうか?

 つまり、下手に大きいモデルよりも、フルHDでそこそこのモデルの方が潜在的な顧客は多いのでは?と思うわけです。個人的な希望も入っていますけれど、自室で映画見たりゲームをやるのに、フルHDの解像度は欲しいけれど、でかい画面は疲れる・・・と言うわけです。
 そんなわけで、今回の新しいAQUOSには期待しているわけですよ。

シャープ、22V型・26V型で業界初のフルHDパネルを採用した液晶テレビ BCNランキング

これまでフルHD対応モデルでは32V型が最小サイズだったが、フルHD対画素の密度をあげることで1インチあたり102ppi(ピクセルパーインチ)が可能になり、小型の22V型・26V型でフルHDを実現した。

 ついに、22型まで下がってきたフルHD。お値段的には18万前後とお高いですけれど、他社が追従することになれば、いずれ値段は下がっていくことでしょう。
 そう、業界のリーダーであるシャープが出したことによって、他社の追従が見込めることはほぼ間違いなく、このままフルHDが19型まで下がってこれば、ようやくPS3が目指した世界を、広く一般家庭に届けることが出来るのです。
 テレビの世界のフルHDの間口を広げることで、周辺の、つまりBDとかHD DVDとか、次世代ゲーム機の間口も広がっていくわけですから。

 ようやく普及の兆しが見えたフルHD。これからのテレビ業界に期待です。
 

実はかなりエキサイティングかもしれないWindowsのニュース

2007-10-28 23:59:59 | Technology
 発表当初から、このブログでも追いかけていた100ドルノートPCこと「XO」。価格を安くするため、そしてオープンソースの精神を貫くため・・・かどうかは分かりませんが、OSにはLinuxを採用しています。

 当初の理念の元、XOが世界中の貧しい子供たちにとってのディファクトスタンダードとなってしまったとき、一番困るのはどの会社かと言いますと、言わずとしれたMicrosoftです。XOは、世界中の貧しい子供たちから、Windowsに最初に触れる機会を奪ってしまう訳ですからね。

 と言うわけで、Microsoftは必死になってあることをやっています。あることとはもちろん、WindowsをXOに乗せること何ですけれど、いかんせん非力なXOに乗せるのは、やっぱりWindows Mobileカスタムかと思ったのですが・・・

100ドルノートPCのWindows版登場へ ITmedia

 同社は現在、Windows XPの基本的なバージョンが、非営利プロジェクトOne Laptop Per Child(OLPC)の小型ノートPC「XO」で動くように手を加えているところだ。

 なんとWindowsXPですよ?
 つまり、曲がりなりにもメインストリームOSがXOで動くようになるというのです。

 これは、実はすごいことになるんではないでしょうか?
 Microsoftにやる気があるかどうかは分かりませんが、x86系のCPUさえ積んでしまえば、組み込み系クラスのプラットフォームでもXPを動作させることが出来ると言うことですよ?

 XOはメモリこそ256MB積んでいますけれど、後は2Wに消費電力を押さえるため、そして価格を抑えるために、CPUやストレージなどは最低限と言ってもいいほどです。
 となると、「スマートフォンやPDAにWindowsXPが乗らないか?」という夢が見えるわけです。ちなみに、iPhoneには128MBのメモリが搭載されていますので、とりわけ無茶とは言えないでしょうし・・・消費電力的には、むしろXOの方が低いくらいなのですから。

 もし実現したなら、例えば極小筐体に外部VGAとUSBポートを備える「WizPy」もどきの持ち運べるWindowsXP PCが出来たり、W-ZERO3サイズのフルスペック?ノートPCが誕生するかもしれないわけです。これって、かなりエキサイティングじゃないですか?

 たぶん、MicrosoftはMobileの火を消さないとは思いますけれど、iPhoneの本当の対抗機種として、UMPCへの最高の贈り物として、計量版XPを期待してもいいのではないかなあ・・・と淡い期待を胸に、今後の動きに期待するのでありました。

著作権は誰のものか 青空文庫からの提言

2007-10-27 19:47:50 | Thinkings
 一度、著作権は何故定められなければならなかったのかを原点に返って考える時期が来たと言うことでしょう。著作権を「金儲けの道具」としてしか見ていない利権団体や老人は、この青空文庫の取り組みを真摯に受け止めるべきだと思う。

 青空文庫、漱石や芥川など6,500作品収録のDVDを全国の図書館に寄贈 Internet Watch

 著作権が消滅した作品をインターネット上で公開している「青空文庫」は、公開中の作品一式を収めたDVD-ROM付き冊子「青空文庫 全」を全国約8,000の図書館に寄贈する。約3,000の公共図書館、大学、短大、高専付属図書館には10月末、約5,000の高校図書館には11月20日頃配送する。

 著作権が、著作者の創作意欲を高めるために制定されたものであるならば、わずか数%が保護期間中に再販されるだけという超寡占市場において、勝ち残れば「遺族に金が入るけれど」自分の作品が埋もれてしまうかもしれないリスクにさらされるか、青空文庫のように、金銭的には何も「遺せない」けれど、多くの読者の目に触れる機会を与えられるリターンのどちらがモチベーションを高められるでしょうか。
 私だったら、どうせ自分が死んだ後のことですので、自分の作品をよりたくさんの人に見てもらいたいと思いますが・・・絶対的に自分の作品に自身がある人でもなければ、後者を選ぶのではないでしょうかね。

 何というか、本当に「作品を作る人」「作品に触れる人」の事を考えて、著作権延長の議論は進められているのでしょうか?ますます疑問符が増えていくばかりです。 

初音ミク問題が気になったアナリスト

2007-10-26 19:16:19 | Thinkings
 「初音ミク」というソフトウェアがある。言わずとしれた・・・とはとても言えない、2万本程度の流通量のDTMソフトウェアです。

 しかし、「歌を高品質で歌わせられる」という点と「設定されたキャラクター」、そして「ユーザーが作った素晴らしいコンテンツ」があったため、主にニコニコ動画で大変な人気が盛り上がっています。

 そんな中、GoogleやYahoo!の画像検索から、初音ミクの画像が検索されないという報告が寄せられ、一時問題になりました。ニコニコ動画ユーザーから始まって2chを巻き込み、少なくとも、一般のニュースサイトが取り上げるほどに大きくなったのです。

《Web注目ワード》初音ミクが消えた? asahi.com

 TBSの初音ミク偏向報道の問題もあり、さまざまな憶測が飛び交いましたが、結局のところGoogleおよびYahoo!の発表した「たまたま」という説明は、概ね正しかったのだろうと思います。

 現時点では検索画像が復活(関係ない画像も多いですが)しており、一応の収束を見せたはずでしたが・・・ここでおもしろい報道が出されました。

 初音ミク消えたのは「たまたま」? ヤフー決算会見で説明 ITmedia

 ヤフーの中間決算説明会で、証券アナリストから“消えた初音ミク問題”について質問があり、同社検索事業部長は「特に何か原因があった訳ではない。たまたま、機械的に拾ってくる部分でそこが対象になっていなかった」と説明した。

 なんで、ネットの一部でしか問題にならなかったような事を、証券アナリストが気にするのでしょうか?
 答えは「検索連動型広告」があるからです。

 GoogleでもYahoo!でもそうですけれど、検索を行ったときに、その言葉に関連するスポンサーのリンクや、文字広告が表示されます。検索した=興味を持った対象に関連もしくはそのものを扱っている企業を紹介することで、より効果的な広告効果をねらったものです。
 検索関連型広告はGoogleおよびYahoo!の重要な収入源となっており、今回のように「適切な検索結果が表示されない」というのは、マーケティング的にもサーチエンジン的にも、ユーザーにバッドイメージを植え付けるため、証券アナリストにとって見れば株価に直結する大問題となるのです。

 普段なら見つかりもしないような、見つけても報告もされないような些細な問題が、ネット・・・と言うよりもコミュニティの力で表まで押し上げられてくるという、今のインターネットの影響力を表す端的な例だと思います。
 ユーザーの力を過小評価している既存メディア、既存企業は、これまで以上にやっかいごとを抱えることになるでしょう。
 ・・・某テレビ局も、これから少しずつ思い知っていくんではないでしょうかね。

次世代DVD 本当の敵は無関心

2007-10-25 20:56:59 | Technology
 正直のところ、「またか」と思われるかもしれません。
 私もまた、このネタを記事にすることを、マンネリではないかと感じてしまっているのです。

 Blue-RayとHD DVD、つまり東芝とソニー、松下の戦いは、始まってからすでに一年以上が経とうとしていますけれど、相変わらず集結していないのです。いや、さらに悪いことに、「まだ始まってすらいない」のかもしれません。

 毎度おなじみCNETに、そのことを皮肉るかのような記事がアップされていました。

消費者は関心を持っているか?--次世代DVD戦争の行く末 CNET

 これら2つのフォーマットの立ち上げから18カ月以上が過ぎた今も、「はたして一般の消費者は関心を持っているのか?」という問題が残っている。多くの人は、「まだ関心がない」と答えるだろう。

 私は以前、「録画メディアとして普及したBlue-Rayが覇権を握るかもしれない」と記事に書きましたが、もっとも売れた次世代DVDの数字を見てみると、どうも認識が甘かったようです。

両陣営のつばぜりあいが売り上げの5%未満をめぐる戦いでしかないことがしだいに見えてくる。

 要するに、ニッチなんですよね、まだ。ハイビジョンテレビの普及が遅れていることに加えて、プレイヤーの価格の高止まりとDVDフォーマットの優秀さなど諸々の要因で、消費者に振り向いてもらえないんですね。

 加えて、各陣営の優位性を必要以上にアピールし、消費者を置いてけぼりにした感のある商品構成と双方とも強気のプレスリリースに、手を出す時期が全く見えないところも敬遠される一員となっているように思います。

 このまま行くと最悪共倒れみたいな未来も想像できますが、これらの状況を打破するためには、

1.どちらかが撤退する
2.コンテンツホルダー各社が一方にしか提供しない協定を結ぶ
3.なかったことにして統一次世代規格をひねり出す

 おすすめは3です。どうせ双方のフォーマットでは落としどころを探るのは難しいので、市場が形成されきっていない今、東芝、ソニー合同で一から新企画を研究開発する方が、消費者も混乱しませんし、最終的なリスクも軽減できることでしょう・・・まあ、双方プライドと従前の投資がありますので、やりたくはないとは思いますけれどね・・・

 ユーザー不在と言うことを改めてあらわにした次世代DVD戦争。次、このネタで記事を書くときには、もう少し建設的な話が出来ることを祈っています。

自由になるUSBメモリ

2007-10-24 20:36:05 | PC
 USBメモリが日常的に使われるようになってしばらく経ちましたが、ある意味もっとも自由な周辺機器になってきましたね。
 某ソリッドアライアンスが、ゴーストレーダーやらお寿司型やらのキワモノUSBメモリをコンスタントに世に送り出しているのを差し引いても、ディズニーやらシャア専用やら様々な製品が存在します。

 やはり、極論すればUSBに繋げればいいだけという構造上の自由度が功を奏したのでしょう。今後も様々な製品が世に送り出されるはずです。

 さて、私が使っている製品はどれも地味ですけれど、やはりシンプルで実用本位のものは、飽きにくいし長く使えるというもの。いらないものを全部そぎ落として、考えられる最小のサイズにまとめた、シンプルの極みのようなUSBメモリってどんな形でしょうか。

トランセンド、重さわずか2gの超小型USBフラッシュメモリ――小さくても頑丈設計 RBB

 同製品は、本体サイズ30.2x 12.3x 2.4mmでわずか2gの重さの超小型USBフラッシュメモリ。

 わずか一円玉二つ分の重さで、厚さも2.4mm・・・サイズ的には長さと厚さはSDカードサイズで、幅はUSB端子と同じ。デザインもシンプルで・・・あ、ちょっと欲しいなコレ。端子がむき出しなのが不安ですけれど、それ以上に無くしそうで怖いですね。

 端子とか使い勝手の関係で、これ以上小さくするのは無理そうですけれど、ここまで小さくできるのならば、デザインの自由度はさらに上がりそうです。
 以前フィギュアにUSBメモリを搭載し、あまつさえそれにゲームをインストールして販売したなんて事例がありましたし、どっちがメインの機能だよ?と疑いたくなるゴーストレーダーのような製品もあります。ボールペンや腕時計にも搭載されたりしました。
 今度は何に搭載されるか非常に楽しみではありますが、きっといい意味で期待を裏切る製品が、これからも世に出てくると思いますよ。
 

次はRed Hat? Turbo Linux、Microsoftと提携

2007-10-23 22:43:59 | Thinkings
 Microsoftが主にLinuxディストリビューターと進めている提携に、Turbo Linuxが加わることになりました。これで、Microsoftと提携を表明した大手Linuxディストリビューターは、Novel、Xandros、Linspireに続いて4社目となります。

米Microsoftとターボリナックス、相互運用性/研究開発などで包括的協業 マイコム

米Microsoftとターボリナックスは22日(米国時間)、LinuxとWindowsサーバ間の相互運用性の向上、研究/開発分野における連携、およびターボリナックス製品のユーザーに対するMicrosoft所有の知的財産の保証に関する包括的な協業契約を締結した。

 NovelがMicrosoftと「歴史的な」提携を行った際、Red Hatは「Linuxの勝利だ」と声高に宣言しましたが、現状を見てみると、べつにそういう状況は全く見えてこないと言うことがよくわかるでしょう。Windowsは相変わらずWindowsですし、Linuxにしたってなにも変わりません。

 変わったのは提携したディストリビューターとその顧客、そしてMicrosoftです。
 Microsoftは積極的にディストリビューターとの技術提携をこなし、むしろLinux陣営を取り込もうという姿勢が鮮明になってきました。また、ディストリビューター側にとっても、MicrosotとWindowsへの柔軟な対応いう後ろ盾は有意義なものでしょう。

 また、提携の面でおもしろい点があります。例えば今回のTurbo Linuxとの提携では、単一の証明書でWindowsとLinuxの両システムにサインインできる「シングルサインオン」の共同開発を行うとしていますが、それぞれの企業との提携において、「目玉」となる共同開発技術が異なっているのです。
 考えてみれば当然のことなんですけれど、それぞれの提携において別々の技術開発を進めることで、Linux社会全体がGPLの名の下にWindowsとの相互運用性を高めることが出来るわけですから、提携企業に案件を「分業」させるのは至極効率のいい事でしょう。

 最終的にMicrosoftが目指しているのは、緩やかなLinux社会の取り込みであろう・・・と何となくわかりかけてきました。大手が順々と提携に追従し、徐々にWindowsを迎合していく事で、Linuxを囲い込んでいく訳です。それが何をもたらすかは人それぞれの考えがあるでしょうけれど、極論してしまえば、提携の数だけ、それぞれのOSがより住みやすくなり、訴訟リスクも減っていくわけですから、歓迎すべき事でしょうね。

 このまま提携が進んでいくとして・・・問題はFSFがどう動くかですが、より攻撃的なGPLの次世代バージョンの開発なんて馬鹿げたことに走らないといいのですけれどね。 

バーチャルな「あの子にタッチ」

2007-10-22 20:54:49 | Technology
 タイトルを見て「Blue Heartsだ」とわかった人はたぶんおっさんです。おめでとうございます。・・・私を含めてな。

 さて、世の中「ちっともはやってない」セカンドライフに代表されるメタバースが、メディアとメーカーの間では大変アツイです。かわってニコニコ動画内では相変わらず「アイドルマスター」と「初音ミク」がランキングに常時入っています。ちなみに初音ミクの楽曲いくつかは私も好きだったりします。隠れた才能ってのは本当に埋まってるもんですね。

 もうちょっと現実よりな話をすると、テレビ放送が始まった頃からこっち、ブラウン管や液晶画面の中でほほえんでいるアイドルとか俳優さんにあこがれる気持ちというのは、誰もが少なからず持っているものです。

 これらの例ってのは、あくまでも現実とは切り離されている仮想世界であるという点で、何ら変わりはありません。興味を向ける対象とか思いの方向性が違うだけです。
 手が届かない「映像の中だけの存在」っていう点で、(いろんな意味で)遙か遠くの実在の人と創作物に一体どんな違いがあるって言うんです?

 彼らは実際に目の前にいないし、等身大で映し出されたって触れはしません。所詮「バーチャル」な存在です。
 では、現実とバーチャルの住人とを隔てる最大の障害、そう、この透明な板を取っ払ってふれあうことが出来たなら、一体人はどうなっちゃうんでしょうね?・・・なんて夢物語を仮想的に体験できる技術というのが、実際に公開されています。

バーチャルヒューマノイドと握手できる「ASIAGRAPH 2007 in Tokyo」開催 Robot Watch

 頭部の位置・角度を取れるビデオシースルーHMDをかぶって緑色の布をかぶせられたロボットの前に立つと、そこに3DCGによる人間の像がクロマキー合成されて表示される。ロボットは、CGの動きに同期して動く。ロボットの腕を動かすと、その関節角データに応じてCGの姿勢が変化する。だからCG画像キャラクターと「握手」したりできるわけだ。ロボットの手を取って振ったときにも映像は追従する。それにより、虚像であるCGにあたかも触れたり、映像のみとは異なる実在感、実体感を持って接したりできるようになる、というものだ。

 ヘッドマウンドディスプレイを通して、緑色ののっぺらぼうロボットに、バーチャルなキャラクターの着ぐるみを着せるわけです。で、キャラクターの動きにロボットが追従するので、ヘッドマウンドディスプレイ越しに見えるキャラクターに触ると、その位置にあるロボットに「実際に触れる」と言うわけです。
 一台あれば様々なキャラクターが実現できる、何ともおもしろいシステムですが、色々な用途が瞬時に思い浮かぶ訳ですが・・・いや、本当におもしろいですね。

 物理的ではなく概念的にキャラクターを画面の外に出すこのシステム。パーソナル用途に普及したらおもしろそうではありますけれど、クリアする課題はまだまだ多そうですから・・・むしろ、一般家庭には売り出されそうになさそうですねえ。