Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

ニュースサイトを有料化したら読まなくなる

2009-08-31 21:25:49 | Weblog

 世の中には様々なニュースソースが存在します。テレビのニュース番組、新聞、雑誌、そしてネットの中には大手新聞社が運営するネットニュースや、ベンチャーがやっているブログスタイルのニュースなど、その数はごまんと存在しています。狭義においては、ほぼ孫引きオンリーとは言え、ここCafe de Kermもニュースサイトの一つでしょう。

 私はこのブログをやっていることで、普通の使い方をするよりもずっとネットニュースにお世話になっています。それこそここ数年、毎日お世話になりっぱなしです。
 これらのニュースを利用して様々な記事を書いているわけですが、こういうネットニュースの良いところは、引用をしたときに元記事に手軽にリンクが張れる点。自分の書いていることの根拠を簡単に示すことができますし、大手新聞社の記事はそうでもないですけれど、数年前の記事でもサーバーに残っていることが多いですから、元記事の全文も参照しやすいのは大きな利点です。

 そんなわけで、こういう事が実際に起こると、私はいろんな意味で困ってしまいます。

ニュースサイト有料化で「読まなくなる」が9割、アイシェア調査 INTERNET Watch

 無料のニュースサイトを見ていると答えた525人に対して、有料化したニュースサイトの購読を続けるかどうかを尋ねたところ、69.7%が「続けたくない」と回答。「どちらかというと続けたくない」(26.3%)をあわせると、96.0%と9割以上が「続けたくない」と答えた。

 情報はタダ、とは言いませんし、有料の情報の価値を軽視するわけでもありませんが、ネットニュースの手軽さが大きくスポイルされてしまいますので、私は非常に困ってしまいます。すべてのネットニュースが有料化したなら、自ずと情報を得るサイトを絞り込まざるを得なくなりますし、引用も難しくなりそうです。また、有用だと思うページにリンクを張ろうにも、ユーザーがそのサイトと契約しているかは常に不明ですので、おいそれと出来なくなってしまいます。となると、得てきた情報を元に、すべて一から書かなくてはいけませんから・・・まあ、それは別に良いですけど、情報を広げるのが難しくなってしまいます。

 まあ、一つや二つなら、そこの記事を避ければ良いだけの話。もし、ネットニュースを有料化するような動きが出てきたとしても、数社が裏切ればたぶん破綻するでしょう。それくらい、インターネット上のネットニュースは無料化が当たり前になってしまっているんです。

 ですから、今あるありふれたニュースサイトを「有料化するのどうか?」という話ではなくて、「金を取れるニュースとはどういうものか」という質的変換が起こらない限りは、ニュースサイトの有料化は失敗するのではないでしょうか。

 私が有望だと思うのは、「ニッチ」とか「ディープ」とは言われるもの。とにかく対象を絞って、狭く深いニュースを継続的に配信出来るニュースサイトなら、価値を見いだすユーザーは必ずいるでしょう。例えばデザイナーズ家具のみを扱ったニュースサイトとか、高級機械時計のみを扱ったサイトとか・・・えーと、こっち寄りだと、携帯電話のみを扱うニュースサイトとか、テキストエディタのみを扱うニュースサイトとか。DTP日報とかプログラム言語最前線とか入力デバイス専科とかですね・・・あー、最後の二つ。本当にあったら読みたいですねー。


HTML 5仕様策定グループの共同議長にGoogleの名前が無いことについて

2009-08-30 23:59:59 | Thinkings

 HTMLの現在のバージョンは4.01で、その次は5.0。これは全く自然なことなんですが、つい最近までそれが怪しかった時期があったんです。と言うのは、W3CというHTMLを初めとするウェブで使われる技術の標準化を進める団体が、HTMLの次の標準として、「XHTML」を採用しようとしていたからなのですが。

 XHTMLとは、HTML4.01をXMLの流儀で書き直した物で、これが実現すれば世の中のマークアップ言語がほぼ、XMLに統一されると言う代物だったのです。そして、W3CはHTML 2を策定することで、完全な置き換えを念頭に置いていたのですが・・・

 業界団体に潰されました。

 W3CはMIT/CSAIL、慶應義塾大学といった、大学や研究機関が中心となって運営しているのですが、簡単に言えば「実務が分かっていなかった」ということです。結局の所、WHATWGという業界団体が立ち上げたHTML 5に完全に取り込まれ、XHTML 2は策定を終了。HTML 5のサブセットとしてXHTML 5が策定されることとなり、HTML4.01の次はHTML 5とあいなった訳です。

 さて、そのHTML 5の仕様策定グループの共同議長の選出が行われましたが、その中にGoogleが入っていない模様。

「HTML 5」仕様策定グループ、新たにアップルからも共同議長を選出 CNET Japan

World Wide Web Consortium(W3C)HTML Working Groupは、これまでIBMのSam Ruby氏およびMicrosoftのChris Wilson氏によって率いられてきた。このたび、Wilson氏が退くこととなり、同氏に代わって、Microsoftでウェブサービス標準化チームを率いてきた Paul Cotton氏と、AppleのWebKit WebApps開発チームを率いるMaciej Stachowiak氏が共に選出されたことが、W3CのディレクターであるTim Berners-Lee氏によって正式に電子メールで発表された

 これは、別にGoogleが軽視されているというわけではなく、単純にそれが出来る人材をチョイスした結果、ということになっています。
 実際、HTML 5はメディアコンテンツやローカルストレージの使用と言った様々な機能を盛り込もうとしていることで、使用としては大きく膨張してしまっています。そのため、

 Googleの「Chrome」ブラウザ開発に携わるプログラマーのAaron Boodman氏は、HTML 5のメーリングリストにおいて「HTMLから『バージョン』というコンセプトを完全に除き去ることを提唱したいと思う。実際のところ、あらゆる面でHTML 5をサポートできる人など存在しない。(中略)特定のバージョンのHTMLを完全に実行されるべき画一的な単位であると主張するのではなく、各機能(または複数機能を論理的に統合したグループ)を小さなスペックごとに分離しておくことができるだろう」との見解を示している。

という、”ぶつ切り案”が出てきているほど。なので、MSでサービスの標準化に尽力しているCotton氏とWebKitをSafariに乗せたStachowiak氏の二人が共同議長になるのは「まとめ役」としては確かに最適かもしれないですね。
 また、Googleは、HTML 5についてかなりとんがった意見を出しているので、そういう意味でも議長に向いていないと判断されたのかもしれませんが・・・

 それよりも、HTML 5のぶつ切り案、つまり機能ごとのサポート選択制になると、ますますウェブブラウザは複雑化し、今のOSに近づくのかな・・・と、そっちの方が心配になってしまいました。3年後くらいには、ブラウザのセットアップがすごく面倒くさくなってそうでやだなあ・・・


シャープのネットコンパニオンはザウルス風味

2009-08-28 22:28:34 | Thinkings

 最近はアップルのタブレットに話題を全部持って行かれているような気がしないでもないネットブック界隈。とはいえ、日本のメーカーも、ソニーのVAIO Wが話題を盛り上げるなど、存在感は日々増してきているようです。

 しかしながら、例えばCrunch Padなどの、ネットブックよりももっと手軽なネットデバイスに関しては、いまいち出遅れている感が強いです。DSやPSPで?・・・まあ、そういう手もありますけどね。
 やはり、それなりの画面で、それなりに快適にネットが見える環境がなんだかんだ言って欲しいと思う層も絶対いると思うわけですよ。私みたいに。具体的には、「家の中で持ち歩いて使えるハンドヘルド」。電源がすぐに切れたらカンペキ。・・・と思っていたら、出ましたよ。シャープから。

シャープから5型タッチ画面のネット端末 NetWalker、ARM/Ubuntuで3秒起動・10時間駆動 engadget

シャープがモバイルネット端末の新製品 NetWalker PC-Z1を発表しました。ネットウォーカーは5型 1024 x 600 タッチスクリーンとフルQWERTYキーボードを搭載したクラムシェル型の製品。「携帯電話とPCに次ぐ第三のモバイルツール」というどこかで聞いたような位置づけです(第四)。特徴はUbuntu Linux採用で Firefox や OpenOffice.orgといったアプリが動くこと、ARMベースで3秒起動(サスペンド復帰)・10時間駆動を実現しつつ本体 409gと軽量な点。

 と言うわけで、物理キーボード付きの二つ折れのネットブックです。ARM搭載なのでWindowsは使えませんが、ARM版Ubuntu搭載で、対応アプリもインストール可能です。ストレージも自由に使えるようなので、使いではあると思います。正直、欲しいのですが・・・いかんせん、ネックなのは値段です。

 5インチディスプレイ+変形キーボード+ARMで、いくらポインティングデバイスやタッチパネルを装備していたとしても4万4800円はお高いですよ。・・・いや、自分でもつくづくネットブックの値段になれてしまったと思いますよ。ネットブックが無かったら、すぐにでも飛びつきかねないお値段だと思うのですが。
 確かに軽量ではあるけれど、使い勝手と値段のバランスを考えると、プラス1万円でVAIO Type Pを買った方が幸せになれるような気がするんです。例えば、これが3万円弱だったとしたら話は全然変わっていたでしょうけれど。

 engadgetに、ザウルスだとか3Gついてたらとかコメントがついていましたけれど、まあ、このコンセプト自体は全然悪いとは思いません。ネットがみられて、そこそこ使えそうなキーボードがついているのは魅力的です。後は、ネットブックのとの価格差がもう少し開いていれば・・・と実に惜しい製品なんじゃないかと思いますけど。・・・値下がりしないですかねえ。


PCでのBlu-Ray Discの普及にはまだまだ時間がかかるらしい

2009-08-27 18:56:36 | Thinkings

 HD DVDとの次世代メディア規格競争を勝ち抜いたBlu-Rayディスク。ようやくレンタルビデオ店の一角にBlu-Rayビデオコーナーが立ち上がるくらいにまでなったとはいえ、シェアで言うとまだまだ・・・と言った形ですが、PS3や各種レコーダーの普及によって、その影響力を徐々に増していることは間違いないでしょう。

 しかしながら、それはあくまでコンシューマー市場での話。「もう一つの市場」ではまだまだ普及の道は遠いというレポートが出ています。

PCでのBlu-ray Disc普及、今後5年間は進まず--米調査 CNET Japan

 iSuppliのストレージおよびモバイルメモリ部門シニアアナリストであるMichael Yang氏は「少なくとも2013年までに、PCに搭載される主流の光学ドライブとして、Blu-rayがDVDに取って替わるようなことにはならないだろう。最終的にはBlu-rayが勝利を収めるようになると予想されるものの、今後5年間に限っては、PCセグメントにおけるBlu-rayの普及は限定的なものとなりそうだ」との声明を出した。

 もう一つの市場とは、もちろんPC市場のこと。元記事では映像ソフトがまだまだそろっていないこと、コストがまだ高いこと、PCの多くがハイデフ用途に利用するには貧弱なことを理由に挙げています。しかしながら、私はそれだけでは無いと思うんですよね。

 私がPCにDVDを導入したときというのは、バックアップメディアとしてのCDに限界を感じ始めていたというのが実の所大きな理由を占めます。つまり、PC用のバックアップメディアやパッケージメディアとして優秀であることが、PCでの普及に関しては大きいのでは無かろうかと思うのです。

 考えてみると、今のPC利用時におけるデータの利用量は大きく二極化します。つまり、オフィス用途などのビジネス向けPCにおいて、50GBもの容量を使うシーンというのは皆無です。さすがにフロッピーとは言いませんが、せいぜい512MBのUSBメモリがあれば、事足りることがほとんどです。また、インストールするソフトウェアにしても、ゲーム以外には使い道はほぼありません。巨大と言われているWindowsでさえDVDで十分事足りるわけですから、一般のビジネスアプリには無用の長物ですよ・・・よって、ビジネス向けにBlu-Rayが普及するのは、一般に普及しきってから、と言えるでしょう。

 一般にしても、前述のゲームとビデオ以外に使い道が大きく限られるBlu-Rayよりも、コストパフォーマンスに優れ、使い勝手もいいHDDの方がバックアップ等の用途には便利でしょう。それに、元記事でも言及されているハイデフへの対応という問題もありますし・・・

 つまり、Blu-Rayは、PCで扱うには現時点において非常に中途半端なメディアだと言えます。コストが今のDVDの倍、つまり1万円くらいにまで下がらないことには、PCでの大幅な普及は見込めないんじゃないでしょうか。
 逆に言えば、コストさえ下がれば爆発的な普及が見込めるかもしれないと言うこと。気軽に変えるようになれば、用途は勝手に掘り起こされる物ですから、とりあえず様子見に徹するのが今のところの正しい消費者の形ではないかなーと。

 DVDの時も、ビデオ黎明期から3、4年経って普及しましたので、あと1、2年はかかるかもしれませんね。


ビデオゲームに健康リスク・・・とは言えないけど

2009-08-26 21:18:31 | Life

 初めに見たときには、「またよくあるゲーム叩きか」と思ったんですけれど、そうでもなさそうなんですよねえ。

大人ビデオゲーマーに健康リスクの可能性 CDCが指摘 ITmedia

 ビデオゲームをプレイしている大人は、ゲームをしていない人よりも肥満度が高く、精神的に沈みがちかもしれない。CDC(疫病管理予防センター)と米2大学が、ゲームと心身の健康に関する研究結果を発表した。

 この研究では、シアトルとタコマの19~90歳の住人500人から健康状態やメディア利用に関するデータを収集し、それを分析した。その結果、ビデオゲームの利用と健康リスクに有意な相関があることが示されたという。

 仕事で一日中パソコンに向かい、家でもネットやゲームで長時間パソコンに向かう。同じアーキテクチャで趣味にも仕事にも使えるPCってすごいね!・・・っていう話ではなく、体の物理的な動きとしてみると、この二つってのはあんまり変わりませんよね。

 私もそうなんですけれど、事務職とかSEとか、いわゆる座り仕事の人たちというのは、趣味にスポーツを選択するか、もしくは自発的に運動を生活に取り入れないことには運動不足に陥りがち。ですので、元記事にあるメンタル的な問題はどうか分かりませんけど、少なくとも肥満度に関しては実感的にも正しいと思うわけですよ。

 特に、年を取ってくると・・・具体的には二十代半ば以降なんですけど、筋力を維持するにも努力が必要になってきますし、成長という枷が外れますから基礎代謝が一気に下がって、油断するとすぐに太ります。

 と言うわけで、スタンダードにウォーキングやジョギング、何かスポーツを始めてみるというのはいかがでしょうか?新しい事を始めるのはいい刺激になりますし、趣味の幅も広がりますよ。
 個人的には水泳がおすすめです。体に負担がかかりませんから、無理なく有酸素運動が出来るはず。・・・あまり最初からとばすと大変ですけどね。あとは、適度な筋トレ。特に腹筋と背筋を鍛えると腰痛の予防になりますし、筋肉がつくことで基礎代謝も上がって太りにくくなる・・・と言われています。
 私はおすすめした水泳を友人と続けていますけど、全身運動に加えて、泳いでいる最中の「泳ぐこと以外にはほとんど何も考えない時間」というのもいいリフレッシュの手段になっているような気がしますね。

 大人が新しく何かを始めるには、「明確な動機付け」と「きっかけ」、そして継続には「目標」か「仲間」が必要だと思います。この記事が、だれかの「きっかけ」を後押しする物になってくれることを願って。


途上国でもTwitterを マイクロソフトのOneApp

2009-08-25 21:47:52 | Technology

 iPhoneを使うようになって常々思うのは、最近のウェブサービスっていうのはとにかく”重い”ということ。

 高解像度を必要とするインターフェイスに、四六始終データをやりとりし、画面を書き換えるインタラクティブなインターフェイス。静的でかつ非力だった過去のウェブページとは一線を画す、デスクトップアプリとも張り合えるようなユーザー体験と使い勝手とのトレードオフとして、高速で安定した回線を求められるようになったのです。そもそも、Flashがつかえないと言う事もありますけれど、WiFiの元でならともかくとして、3Gでがりがり使うのには忍耐が求められます。

 日本でさえそんな状況なのですから、途上国で、しかも携帯電話を使ってウェブアプリを楽しむなんていうことは、今現在現実的でないようです。・・・まだフォーマもWinも無かった時代に、高解像度の写真を送りあうことを考えれば、何となく想像できるのではないでしょうか。

 さて、その状況を打破すべく、動いたのはなぜかマイクロソフト。OneAppというサービスを立ち上げ、この問題に果敢に取り組む模様です。

開発途上国でも大型Webアプリ(Twitter, Facebookなど)を楽しめるサービスOneAppをMicrosoftが立ち上げ TechCrunch

今日(米国時間8/24)同社は、OneAppというものを立ち上げた。プロセッサが非力でメモリが少なくても、Javaが動くケータイなら使えるアプリケーションで、今先進国で主流の、超ヘビーな Webアプリケーションの基本的な部分だけを提示してくれる。また、そういう大型Webアプリケーションを動かすために必要な処理の一部を、 Microsoftのサーバがクラウドとして代行する。

OneAppは、南アフリカのBlue Label TelecomsとMicrosoftが提携して進めている消費者向けモバイルサービスmibliの一部だ。ダウンロードは無料だがそのときのデータ料はかかる。今のところ、OneAppが最適化できる大型WebアプリはTwitter、Facebookなど12ほどだ。ほかに、Windows Live Messenger、RSSリーダー、ゲームなども含まれる。

 簡単に言うなら、ウェブサービスにおいて”重い”とされる部分を、マイクロソフトが肩代わりしてくれるサービスです。ユーザーにはそのサービスを使う上で必要最低限の情報のみをやりとりするよう最適化することで、途上国の非力な回線、携帯でもリッチなユーザー体験を実現できると言うわけですよ。

 このOneApp、自社のLive!サービスが対応するのは必然でしょうが、面白いのはTwitterやFacebookと言った他社のサービスも含まれるところ。元記事では、「先進国のユーザーという次の市場を狙う動き」と分析されていますけれど、私はクラウドサービスの新しい売り込みかたとして注目に値すると考えます。
 先ほども書いたとおり、先進国においてもモバイルでのウェブサービス仕様には忍耐力が必要です。OneAppがそれらのやりとりを最適化してくれるのならば、モバイルでの軽快さが求められる状況下において、先進国でも導入する価値は十分にあるように思えます。自社のウェブサービスのモバイル最適化のためにクラウドをつかうというのは、実にエポックなビジネスだと思うのですが。

 WiFiではフルバージョンを使って、3G環境ではOneAppを利用する・・・というのはかなり魅力的な使い方だと思うのですが、途上国展開だけで終わってしまうサービスでは惜しいと思うんですけどね。


一日平均85本? アップルがApp Storeの承認手続きを説明

2009-08-24 23:28:37 | Thinkings

 世界最大にして世界一謎な承認プロセスを誇るアップルのApp Store。以前から、そのあり方については様々な批判の種になってきましたが、ウェブの巨人であるGoogleの申請した「Google Voice」が不可解な取り下げをされたことで、とうとうFCCの調査が入ることになりました。

 その調査に対してアップルが弁明した際に、今まで謎の包まれていた承認プロセスの一部が明らかにされましたが、なんというか、それは想像を絶するようなものでした。

アップル、「Google Voice」排除問題で弁明--App Storeの承認手順も明かす CNET

 Appleによると、新しいアプリケーションと既存アプリケーションのアップデートを合わせて、毎週8500本を受理するという。申請されたすべてのアプリケーションを40人が審査し、各アプリケーションについて2人が審査することになる。申請されたアプリケーションのうち80%は、何ら変更を求められずそのまま承認され、95%は2週間以内に承認される。

ここまで読んだときに、思わず手元の電卓を叩いてしまいました。8500本/週を1本当たり2人で審査する。スタッフの数は40人。つまり、

 8,500 × 2 ÷ 40 = 425

毎週425本、週5日働くとして毎日85本ものソフトウェアを一人当たり審査していることになります。いやはや、ちょっと考えられない数字です。私はここまで計算して満足してしまいましたが、元記事はさらにもう一本踏み込んでいて、

標準的な8時間勤務体制だと仮定すると(正直に言って、この従業員たちは多分8時間勤務で済まないだろうが)、App Storeの審査チームの各メンバーが6分間に1本のアプリケーションを調べるという計算になる。これなら、ルールに違反したアプリケーションが誤って担当者の目をすり抜けるようなことがあっても、理解できるというものだ。

 6分とか。完全に流れ作業ですね・・・。

 とりあえず、アップルは審査スタッフの数を単純に増やすべき、という単純な結論は置いておいて、この事実は後続にも色々影を落としそうです。

 つまり、カジュアルソフトメインでオープンな開発環境を用意し、且つ、App Storeのように承認プロセスを集中管理するような仕組みを作った場合、そのサービスがうっかり軌道に乗ってしまうと、とんでもない審査コストと、それに伴う訴訟リスクを負う可能性がある、と言う事が明らかになった訳ですから。・・・なんだか、色々と波紋を起こしそうですよねえ。


B’s Recorder GOLDの(株)ビー・エイチ・エー、倒産へ

2009-08-23 22:16:14 | Thinkings

 私が始めてCDを焼き始めたのは、今から10年ほど前のこと。そのときのプレクスターのCD-RWドライブに付属してきたのがB's Recorderで、それからしばらくの間、メインのライティングソフトとしてずっとお世話になってきました。

 そのB's Recorder、ライティングソフトの定番として長らく店頭に並び続けてきましたが、その販売元である(株)ビー・エイチ・エーがまもなく倒産する模様。

コンピュータソフトウェア企画・開発・販売CD/DVDライティングソフト「B's Recorder GOLD」開発株式会社ビー・エイチ・エー自己破産申請へ 負債15億円
  帝国データバンク

既存ソフトウェアの伸び悩みや「超圧縮XVD Plus」の不振などから、2005年9月期の年収入高は約9億5000万円にダウン。そのため、既存ソフトのバージョンアップ版の新規投入などでしのいでいたが奏功せず、2007年4月には大幅減資を実施。同年11月には東証1部上場のソースネクスト(株)と「CD/DVDライティングソフト『B's Recorder GOLD』などのプログラム著作権及び商標権の譲渡契約」を締結していた。その後、次世代製品開発を目的に海外への投資を行っていたが、製品化の遅れによる損失の発生や前述のデジタルチューナーへの開発投資などで資金繰りが悪化、外資系ファンドによる支援が検討されていたが、その見込みがなくなったことから、今回の事態となった。

 ちょっと長めの引用になりましたが、倒産に至る過程が生々しいです。

 元々、インターネットの爆発的な普及によってソフトウェアの入手が比較的簡単になったことから、パッケージソフトウェアを基幹業務に据える商売が難しくなることは規定事項です。加えて、今回の(株)ビー・エイチ・エーの倒産に伴い、投資家および融資元のパッケージソフトウェアベンダーへの評価が大きく下がってもおかしくないですから、今後、同様の倒産が相次ぐ可能性があります。

 例えば、マイクロソフトなどの超大手はともかくとして、ライティングソフトやオフィススイート、その他”一般的な”ユーティリティソフトウェアに関しては、「その製品でないと」という特色が実に出しにくい状態です。大概の物はオンライン上に、しかも無料で存在しますから、潜在的なライバルは無数、しかもメディアやマニュアルを量産し、流通に乗せて販売という物理的コストをゼロに出来ないパッケージソフトウェアにたいする消費者離れは、今後ますます加速することが予測されます。

 逆に言えば、例えばAdobeのCreative Suiteや、クリプトン他のVocaroidシリーズ、ジャストシステムのATOKと言った、「固定客がついている」「開発が大規模で中小が真似できない」「ノウハウや開発過程が特殊」と言った、「他にはない」要素を持ったソフトウェアを作っている企業にとっては、あんまり関係ない話です。・・・ジャストシステムが本当に関係ないかどうかは別として。

 iPhoneアプリのデフレスパイラルの例もありますし、この一件を境に、ソフトウェアメーカーの大幅な整理・統合が行われるかもしれませんね。

 ・・・最終的には、「残ったのはコンシューマーゲーム開発会社および超大手ソフトウェアベンダー数社で、PC用ユーティリティソフトウェア開発は、代表的なソフトウェアのみがそれら企業の一部門として存続。もしくはオープンソースに放出、コミュニティーが開発を継続」とかいう未来を一応予言しておきます・・・が、特に新規性が無いですよねえ。


アタリショックならぬiPhoneショック? 焦る後続

2009-08-22 21:15:18 | Thinkings

 かつて、アメリカで発売されたコンシューマーゲーム機に、アタリ社の「Atari 2600」というものがありました。ファミコンより前に発売されたそれは、先進的なROMカセットによるゲーム供給プラットフォームの先駆けであり、コンシューマーゲーム機でありながら内部仕様を広く公開したオープンプラットフォーム環境として自由なサードパーティの参入を許していました。

 Atari 2600は大いに売れ、巨大な市場を形成しましたが、1982年の年末商戦を境に急速な市場の崩壊が始まりました。この現象には諸説ありますが、日本における一般的な認識では、オープンプラットフォームによる自由な参入によって市場に出回るゲームの質が著しく下落したため消費者のゲーム離れがおき、在庫を抱える事になった小売店は大幅なディスカウントを余儀なくされました。それによって新製品の定価が割高となり、ますます市場規模の縮小が加速・・・というスパイラルが起きた、とされています。これを俗に「アタリショック」と呼んでいます。
 1983年に日本発売されたファミコンは、サードパーティの参入を許す際に、アタリショックの二の足を踏まないよう、ランセンスとチェック体制を大幅に強化したことは有名な話です。

 さて、この任天堂が行ったライセンス制度はPCゲーム以外のほぼすべてのハードウェアに継承され、今に至ります。今のところ、PCでゲームを自由に開発・販売できる環境はありません。(XBOX360、PC-FXには一般向けに開発環境が公開されています)

 この動きはiPhoneも同様で、開発は割と自由に出来るものの、販売・配布はアップルのチェックを受け、iTunesを通して行う必要があるなど大きく制限されています。しかしながら、そのような統制下にあるにもかかわらず、今、iPhone向けのソフトウェア市場はアタリショックの再来のような状況にさらされています。決してアプリ離れが進んでいるというわけではないのですが、ソフトウェアの規模が小さい・・・つまりカジュアルゲームやアプリが多いために高い値段を付けられず、そのような低価格路線のソフトウェアが多いため、ある程度規模が大きなソフトでも割高感から価格を下げざるを得ず、結果的に99セント(105円)のアプリが大量に市場を埋め尽くす→利益が出ないという悪循環に陥っているのです。

 「携帯向けアプリでは利益が出ない」という構図をiPhoneが作ってしまうと、困るのは当然後続のプラットフォーマー。具体的にはAndroidを抱えるGoogleと、Windows phoneを擁するマイクロソフトです。

MSよりモバイルアプリ開発者へ「1ドル売りで妥協するな」 engadget

 「値段を決めるのは開発者です。しかし1ドル売りではなく、もっと開発者が稼げるようしっかり促進したいと考えています」とコメントするのは同社モバイル・デベロッパー・エクスペリエンス・チームのLoke Uei氏。「99セントのアプリというのは確かに興味を惹くものです。ユーザは99セントなら買いたがるでしょう。でも99セントですよ......あなたのアプリはそれ以上の価値があるはずです」さすが世界最大のソフトウェア企業、言うことが違います。「1ドルアプリは売るな」なんて本を書いて欲しいところです。

と言うわけで、マイクロソフトもこのようなキャンペーンを打たずにはおられないほど焦っていると言うことでしょう。市場形成前から萎縮が約束されているなんて笑い話にも鳴りませんからね。そのようなイメージを脱却するのに必死というわけです。

 正直な話、携帯電話というプラットフォームの性質上、価格の下落というのは仕方ないと思うのですよ。ライトゲームが多いわけですから、むしろ無料で無くて良かったね、という話だと思うのです。日本の携帯市場だとGREEの躍進が記憶に新しいですしね。しかしながら、この状況が続くのは、今後のモバイルプラットフォーム全体としては非常にマズイ状況だと言うことは間違いないでしょう。
 アップルはすでに手の打ち方を誤ってしまいましたので、マイクロソフトやGoogle、そして、携帯電話外部のモバイルプラットフォーマーである任天堂やソニーに期待・・・するしかないんでしょうかねー。


ロジクールから新フラグシップマウス 充電中でも使用できるよう改善

2009-08-20 23:59:59 | PC

 以前、マウスはずっとマイクロソフトのエクスプロラーを使っていた私ですが、某PCショップのポイントと引き替えにLogicoolのMX revolutionに乗り換え、今に至ります。当時まだ登場したばかりの頃ですから、もう3年近くつきあっていることになりますね。

 このマウス、操作性などは非常に気に入っているのですが、唯一の欠点を上げるとすれば、給電方法が充電式であることです。故に、充電中は全く使えない状態に陥る事になりますし、クレードルでの充電ですので端子部分が常に外気にさらされている関係上、簡単に酸化してしまって充電が非常に不安定になっていまいます。今は、鉛筆を使うことで何とか使えている状態です。

 そんなわけで、完全に充電が出来なくなる前にリニューアルしてくれないものか・・・と思っていたところ、うれしい一方が飛び込んできました。

ロジクールからガラス面でも使える「ダークフィールド」レーザーマウス 2モデル engadget

ロジクール / Logitechから、ガラス面 (※厚さ4mm以上) でも使える「Darkfield」レーザートラッキングを採用したマウス 2機種が登場します。「ガラスの壁を破りマウス未踏の場所へ」と熱の入ったプレスリリースによれば、ダークフィールドは物体表面のごくわずかな特徴を読み取ることができる暗視野検鏡法を応用したトラッキング方式。通常のレーザーマウスが表面のテクスチャーを認識するのに対して、ダークフィールドではたとえばガラス面にある微視的な粒子や傷を特徴点として捕らえることにより、従来では不可能だった面での使用を可能にしています (最低 4mm厚ないと傷や不純物が足りないらしい)。

 今製品の最大のウリは、従来のレーザーが苦手としていたガラス面での操作に対応する、新トラッキング方式「Darkfield」の採用。マイクロソフトの青色LEDを使った同様の技術であるBlueTreckに対抗する新技術ですね。

 MX revolutionの後継としてPerformance Mouse M950が発表されましたが、大方の形は全然変わっていないように見えます。外見での最大の変更点として、サイドホイールがボタンにグレードダウンしていますが、正直使いづらかったのでどうと言うことは無いです。

 そんなことより最大の改善点と言えるのが、充電中でも使えるよう、クレードルを廃止してminiUSB端子を装備した点です。物としては、PS3のデュアルショックそのままの方式で、直接USBでつなげて充電しながら使えるというもの。これによって、充電をすっかり忘れていてもそのまま使用できるようになります。いざというときのバックアップが必要なくなると言う点で、私にとっては何よりも大きい変更点です。さらに、充電池自体にも変更が加えられているようです。

単三充電池 x1本をマイクロUSBコネクタで使用中でも充電できます。

 つまり、市販の単3電池で駆動も出来そうだと言うこと。すぐにバックアップが用意できますのでこれが本当ならかなりうれしい改善点です。ただ、本家の製品紹介ページにはそんなことは一言も書かれていないので、今のところの真偽は不明。360°ビューでは、裏側に電池蓋らしき物を確認できましたので、可能性は高いですが・・・

 本国アメリカでは8月中にリリース予定、国内では年内に発売予定と言うことで、この間買ったバックアップマウスが早くもお払い箱・・・もといPS3専用となりそうです。