Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

OpenIDでネットがもっと便利になる?

2008-02-29 21:28:46 | Thinkings

 日々パソコンに向かって、ブラウザをポチポチいじる事を続けておりますと、嫌が応にも増えてくるのがIDとパスワード。ちょっと新しいウェブサービスを使ってみたり、セカンドメールアドレスが欲しかったり、通販を利用するのに必要だったり・・・そんなこんなで、いつの間にか管理しているIDは、あっという間に両手を超えてしまっている、なんて方はかなりいることでしょう。

 かく言う私もその一人でして、滅多に使わないサービスや、普段は自動ログインにしているサービスのパスを忘れてしまって苦い思いをすることも多々あったりします。

 今回紹介するOpenIDは、そういう「なんだったっけ?」を軽減し、且つ煩雑なものをなくしていこうというサービスです。

OpenID普及に向けて4月に団体設立。シックス・アパートなど3社が発起人 BroadBand Watch

 OpenIDは、共通のユーザーIDを使って複数企業のWebサービスを利用できる技術で、米SixApartが2005年に開発した。OpenID対応サービスでID取得済みのユーザーは、他の対応サービスを利用する場合でも新たにユーザー登録を行なうことなく、同一IDでサービスの利用が可能になる。

 つまり、Yahoo!でもlivedoorでも、はたまたGoogleやMSNにログインするときに、同一のIDとパスワードが使えるというサービスです。そんなもの、登録の際に自分でそろえれば・・・とも思いますけれど、このサービスの画期的なところは、個々のユーザー登録が必要ないところ。

 OpenIDを一つ登録しておけば、対応するウェブサービスは煩わしい登録無しで、そのままログインが出来るというのです。

 これによって、企業は新規ユーザーの獲得が容易になり、且つユーザーがパスワード管理の煩雑さから解放されることで、複数のサービスを継続して利用し続けるというメリットを受けることが出来ますし、ユーザーは、サービスの試用および継続利用がやりやすくなります。
 「ユーザー登録が面倒だからいいや」「パスワード忘れたからもう使わない」と言うことを未然に防ぐことが出来るというわけですね。

 ただ、私が懸念するところは、複数のサービスを単一のIDとパスで管理することが本当に良いことなのか?と言うこと。

 元々そういう使い回しは避けることが推奨されている行為です。一つが流出すれば、様々なサービスが芋づる式に荒らされることから、サービスによってパスワードを変えていくことは、リスク分散という面で非常に有用なことなんですよ。

 もちろん、

1IDを他サービスで使用するリスクに対しては、「どのような手法が安全なのか、認証プロバイダー側の認証が安全に行なわれるかを考えている」と語り、ベリサインなど一部企業ではワンタイムパスワードやビデオ認証などといった強固な手法を取り入れているケースを挙げた。

というふうに、導入側もまったく想定外というわけではなさそうですけれど、今のことろはケースを上げているだけで、まったくのノープランです。ワンタイムパスワードも良いですが、生成機を無くしたらログインできませんし、毎回ランダムな文字列を入力するのも手間なんですよね・・・

 いくらサービスの側で気をつけて管理をしても、最終的には一ユーザーが気をつけなければならない問題です。OpenIDを普及させようとするならば、IDとパスワードについての啓発もセットで行って欲しいものですね。もしくは、指紋とか別の仕組みを普及させてくださいな。


第9惑星発見か?神戸大のチームが発表

2008-02-28 21:21:11 | Technology

 かつて・・・と言ってもほんの1年半ほど前のこと。それまで9つあった太陽系の惑星のうち冥王星が準惑星に降格され、太陽系で確認されている惑星は8つになりました。76年に渡って惑星として親しまれてきた冥王星のまさかの降格と、惑星の定義の厳格化により、しばらくの間新しい惑星は発見されないだろう・・・という空気がありましたが、その雰囲気はあっさりと破られることになりました。

 あくまでまだ理論計算の段階ではありますが、神戸大の研究チームが、コンピューターシミュレーションにより、第9惑星の存在を予測したというのです。

海王星外側に第9番惑星の可能性、神戸大が理論予測 Yomiuri online

 リカフィカ研究員らは、太陽系ができ始めて間もない40億年前から現在までの惑星や太陽系外縁天体の軌道の変化を、最も有力な太陽系形成理論にもとづいてコンピューターで計算した。その結果、水星から海王星までの8惑星では変則的な外縁天体の軌道を説明できず、新たな「惑星X」を仮想的に加えて計算することで初めて、それが可能になることがわかった。これが、惑星Xが存在することの理論的な証拠になるという。

 リカフィカ研究員らによると、突き止められた惑星Xは海王星の外側にあり、長半径が150億~260億キロ・メートルの楕円(だえん)軌道を回っている。重さは地球の3~7割で、この領域に多い氷と岩石でできた天体だと仮定すると、直径は、地球の約1万2700キロ・メートルに匹敵する1万~1万6000キロ・メートルになるという。

 AstroArtsの記事の方が詳しいですが、内容が専門的すぎて分かり難いのでYomiuri Onlineを採用。簡単に言えば、冥王星などの海王星よりも遠くにある天体の軌道が傾いている理由を説明するのに、惑星Xを試しに置いて計算したらうまくいったという話です。理論予想なんですけれど、実際の観測結果と計算結果の整合性を”証拠”に出来るため、信頼性は高いと思われます。

 もしもこのコンピューターシミュレーションの結果に基づいて本当に天体が発見されたとき、問題となるのは果たして惑星と認められるかどうか。やはり一番気になるのはそこでしょう。

 まず、冥王星を惑星の座から引きずり下ろした定義をWikipediaでおさらいしておきましょう。

    1. 太陽のまわりを公転していること。
    2. 自己の重力によって球形になるほど十分な質量を持っていること。より明確にいうと、自己の重力により重力平衡形状になっていること。
    3. 軌道上の他の天体を排除 (clear) していること。

 冥王星は3番の条項に引っかかって降格しました。ちなみに、1番と2番の条件をクリアーしている小惑星は冥王星の他にも無数にあります。
 3番の条件とは、つまり、地球や他の惑星のように、太陽から同じくらいの距離を回る天体のうち、圧倒的に巨大であることです。冥王星の場合、近年発見されたエリスやクワオワーなど、他の小惑星も同じような軌道を取っていたため降格となったのです。

 今回の惑星Xが発見された場合、質量が地球の3割から7割という事ですから、形は間違いなく球形になっているはずです。しかしながら、3番の条項を満たしているかどうかは実際に観測し、丹念に調査しないことには分かりません。それらしい天体を発見=即惑星認定といかないのが歯がゆいところですが、冥王星降格の後、最大とも言える発見の兆しではないでしょうか。

 そして、一番楽しみなのが、今回の発見は日本のチームによるもので、さらに言えば、日本がこの惑星の発見国になる可能性も十分にあると言うことです。そのときは一体どんな名前が付くのでしょうか・・・続報が楽しみですね。


送った後に「取り消せる」メール

2008-02-27 20:30:55 | Technology

 仕事のメールをチキチキ打って、送信ボタンを押した瞬間に気づく「添付ファイル忘れた!」

 携帯をメールを空いた時間にささっと送信。元の作業に戻ったときに何か引っかかる・・・「送る相手間違えた!」

 電子メールは本当に便利ですけれど、このような失敗は日常茶飯事。とくに最初のはよくやる私ですが、こういうとき思うのが、「取り消しできないかな」ということ。たまーに、職場の人からも相談されたりしますけれど、当然答えは「無理です」。手を離れたメールは瞬時に相手のメールボックスへ。もはや回収は不可能です。その即時性こそがメールの最大のウリである訳なんですけれど、それ故に起きた弊害ですね。

 そういう事故を防ぐため、メールを送る際には細心の注意が必要になるわけですけれど、どういう訳か、間違いに気づくのは大概送った直後なんですからタチが悪いですね。

 さて、そんな状況に対処するために考え出されたのが後から「無かったことに」できるメールの仕組み。ちなみに、昨年の7月にも同じようなネタで記事を書いていましたけれど、そのときのはこんな感じ。

消せるメールは使いづらい?

1.メールを送るときに「消せるメール」と指定
2.相手が開封済みで無ければ「メッセージが」消せる
3.見る方は、着いたメールのURLにアクセス
4.メッセージの保持期限は90日


・・・グリーディングカードじゃないですか、これって。

 なんだか自分の書いた記事を引用するのも変な感じですが、つまり、本文を直接相手に送らず、グリーディングカードにしておくことで、ワンクッションを置くという仕組みでした。
 ですが、当然こんなやり方が使いやすいはずもありません。何より、メールボックスへのキャッシュとかメッセージにたどり着くまでの手間とか、諸々のデメリットが「消せる」というメリットを上回っていますから。・・・残念ながら、サービス提供元の@niftyメールのページでも、ずいぶんと扱いが小さい、どころかトップページには一言も紹介がありません。

 もうちょっと普通に使える「取り消し出来るメール」があるならば、もうちょっと話題になったり普及したりするかも知れません。そこでセンドメール株式会社が考えたのはこんな方法です。

うっかりミスによる電子メール誤送信対策に特化したソリューション「PlayBackMail」の提供を発表 CNET

送信メールを「PlayBackMail」の隔離領域に一旦保留します。
保留されたメールは一定時間経過後、自動的に配信されます。
自動配信前であれば、誤送信に気付いた送信者はWebインターフェイスから隔離領域にアクセスし、自ら誤送信メールを削除することができます。
本機能は、メール送信直後に誤送信に気付くケースにおいて大きな効果を発揮します。

 メールの間違いに気づくのは送った直後・・・これに着目したのがこの、「時間的にワンクッション置く」システム。送信ボタンを押した瞬間に相手に届くのではなく、いったんサーバでストップし、ある程度時間が経過したものを送信するようにすれば、早く間違いに気づいたなら、相手に届く前に送信自体を「無かったこと」に出来るわけです。それ以外の操作とか、メールの扱いは通常と全く変わらないわけですから、水際で誤配信を防ぐには素敵な仕組みになりそうですね。

 ただ、クライアントにすぐメールで返事をしなくてはいけないときには、ちょっと不便かも。

「今メールで送りましたから、後30分待ってください!」

あちらを立てればこちらが立たず。即時性を犠牲にしたこの仕組み、「それでも使う価値はある」と考える人はたくさんいそうですけどね。


Stage6の終焉

2008-02-26 23:11:25 | Weblog

 インターネット上でやりとりされるデータには、その種類に応じて、いわゆる「スタンダード」な規格と言うものが存在します。

 例えば、簡易な文書を配布するときの「テキスト(.txt)」形式。見栄えのする文書を配布するときの「PDF」形式。音楽を扱うならば「mp3」が代表的です。しかしながら、動画の世界となると、まだいくつかの規格が林立している状態です。

 その林立する中で、ある程度の地位を気づいている規格に「DivX」と言うものがあります。元々Mpeg4の独自拡張版として登場したのですが、「二時間の映画がそれなりの画質でCD-Rに保存出来る」ような、高画質で圧縮率に優れた規格でしたので、一部ユーザーの間で爆発的に普及し、現在ではPS3を始めとする対応機器も増えており、一般にも認知されはじめて来ています。

 一般に認知され始めている、と言えば動画配信サービス。YouTubeの起こした社会現象を始め、ニコニコ動画やZoomaなど、様々なサービスがしのぎを削る、ネットビジネスの一角に成長してきました。

 DivXという動画フォーマットを提供する会社としては、動画配信サービスという自社技術を広める為の広告塔を放っておく訳にはいかなかったのでしょう。1080pのフルハイビジョンにも対応した高画質をウリにして、DivXフォーマット専門の動画共有サイトである「Stage6」を立ち上げ、運営してきたのです。

 ただ、動画共有サイトの現実として・・・実は全然儲からないのです。その結果、Stage6は撤退を余儀なくされました。

DivXの動画共有サイト「Stage6」が2月28日で閉鎖 INTERNET Watch

 Stage6は2006年8月、高画質動画を共有するための実験サイトとしてオープンしたが、当初の期待を遙かに超えてすぐさま人気を集めるようになった。その結果、インターネットで高画質動画を提供できることを証明し、才能ある動画クリエイターも輩出するなど一定の成功を収めたが、運営にかかるコストやリソースがもはやDivXでは事業を継続できないほど莫大になってしまったという。

 あれだけ人気のYouTubeも、新たな広告の手段を模索していますし、ニコニコも収益を上げようと必死になっています。そんな状況ですから、高画質をウリにしている=高負荷のStage6を運営しくのは並大抵のことではなかったのでしょう。

 出来ればちょっとでも高画質で見たい。そういうちょっとした欲求を過剰にかなえてくれたStage6ですが、結局のところ、その高画質に潰されてしまったというのは皮肉なものですね。


ネット無し生活って可能なのか

2008-02-25 21:58:22 | Thinkings

 「あしたから一週間ネット禁止」

 こう言われたら、私はもだえる。間違いありません。仕事をするにも家での娯楽にも、すでにネットは切っても切れない間柄。全ての事をローカルでこなすなんて無理だよ!と、推測の世界の私が吠えています。・・・十年、いや8年くらい前の、別にネットがいらなかった頃の私に聞かせてやったらどう思うでしょうね。

 何か分からないこと・・・路線図や観光名所、製品のレビューに市場調査、制度の内容から、国語辞典を引けば分かるような言葉の意味まで・・・「とりあえずググれ」が今のスタンダードになってしまっている私にとって、ネットを生活から切り離すと、情報源が一気に削られてしまうことになります。また、当然メールも禁止となると、友人との連絡はもとより、仕事にも支障が出てきます・・・グループウェア使っている時点ですでにアウトですけれどね。

 さて、ちょっと考えるだけで「いまさら無理!」とさじを投げるだけの材料がそろってしまったネット禁止生活。しかしながら、それこそ10年前はネットを使っているのはごくごく一部のみ。みんなネットも携帯電話も使わずに生活してきたんです。それに、海外旅行などに言ったときには、携帯電話も持って行きませんし、ネットカフェでも外国語ばっかりですので、まともにネットにも触れないでしょう。
 確かに、やろうと思えば出来ないことも無いような気がしてきましたが・・・とはいえ、自分でやるのは現実的にちょっと無理っぽいですので、実際にやってみた人の体験談を見てみることにしましょう。

ネットはもちろん、メールも禁止?1週間“ネットなし生活”に挑戦してみた R25.jp

「“ネットがないと生活できない”ってホントに~? なくても生活できるって(たぶん)。ためしに1週間、ネットなしで生活してみて、リポートしてみてね」。…というわけで、これをネット上でレポートする矛盾はさておき、いざ実験開始。

 とりあえず元記事から事例を拾い出してみますと、

 ○スケジュール → メールで管理していたので、連絡先も分からない。名刺を発掘して対処。

 ○調べ物 → 図書館で。

 ○相手への連絡 → メールが使えないので電話とFAXで。意外と好印象。

と言った具合でした。今更図書館で調べ物をする気には、時間と効率の問題でちょっとなれないですね・・・。電話で好印象と書いてあるのは、

用件を伝え、雑談が生まれ、その延長で飲みに行く約束もしました。脱ネットは、コミュニケーションを深めるのにひと役買ったといえるかもしれません。

という下りから。メールからは感情は伝わってこないし、用件以外の内容は伝えられにくいですからね。「たまには電話する」と言うことは有効な教訓かも知れません。

 結局、もっとも困ったのは自分よりも相手方。連絡が付かなかったり、メールで送った資料を見てもらえなかったりと業務に支障が出てきて3日で断念したそうですが、どうやら、「ネット無しでも生活は出来るけれど、それが当たり前になった社会の中で”普通”に過ごすのは難しい」と言えそうです。考えてみれば当たり前のことで、ネットを「交通インフラ」、「空調」、「紙メディア」、「ATM」、さらに条件を厳しくして「電気」とか。出来る、という人もいるでしょうけれど、どれも昔は無かったけど、今は無いと困るもの。やっぱり、人間は、一度便利を経験してしまうとなかなか不便には戻れない生き物みたいですね。

 根本的な話で、完全に断とうとしても、何らかの形で関わってしまうから結果的に無理と言う話もありますけれどね。それでもどうにかしたかったら、無人島か、それこそシベリアにでも旅だったら?と言うことでしょうか。


動画でも広告・・・はちょっと嫌

2008-02-24 19:42:35 | Thinkings

 最近は、広告のクリック率が下がってきたのかどうか知りませんが、大手サイトでも強引な広告をよく見かけるようになりました。

 例えばマイコミジャーナルでは、外部からのリンクをたどっていったときなど、直接記事へリンクさせるのではなく広告専用ページにいったん誘導し、画面上部に記事へのリンクを貼り付けるというなんとも”ひどい”実装がされていますし、NECのサーバー(だったかな?)のFlash広告では、マウスオーバーすると画面の真ん中に大きく広告を表示するというものもありました。マウスオーバーですので、カーソルが広告の上を通った瞬間、読んでいる記事の上に広告が被さってきますので、ものすごく読みにくいったら無かったですね。

 確かに、無料でサービスを使えるのはこれら広告のおかげなのは分かっています。しかし、その広告にも「メインコンテンツを邪魔しない」という節度が必要だと思うのです。アフェリエイト目的のサイトじゃああるまいし、ユーザーは別に広告を求めてサイトに来ているわけではないのですから。ただでさえ、Flashを利用した動く広告が増え、メインの記事よりもそちらに目を取られることが多くなってきているのです。あまりに過剰に広告をばらまくと、かえって首を絞める結果にしかならないと思うのですけれどね。

 そういうわけで、今回はまた新しく広告が増えますよ、という話題です。なんでも、あの控えめテキスト広告「Google Adsense」が動画にも付くようになるみたいですよ。

グーグル、動画コンテンツ用広告「AdSense for Video」を開始 CNET Japan

ページの上部、下部、横にはバナー広告がある。横にはテキスト広告があり、このテキスト広告が今度は再生している動画の上に重なるようにして次々に表示されるのだ。テキスト広告は画面の下の帯状のスペースに表示され、動画の視聴を妨げる。

 元記事は、概ねAdsense for Videoを歓迎しない内容です。最近では、YouTube等が「動画再生前にCMを流す」動画内広告を行ってひんしゅくを買いましたけれど、Adsense for Videoはもっとタチが悪い方法です。なんと言っても、動画に重なるようにテロップを表示するというやり方なのですから。これだと、直接的に動画試聴を妨害することになりますので、広告としてはむしろ逆効果のような気がしますけれどね・・・せめて、動画再生枠の外に表示するのなら分かりますけれどね・・・

 今のところ、もっとも成功した動画関連広告と言えば、やはりニコニコ市場ではないでしょうかね。コンテンツ提供側の意図が介入させにくいので、既存の路線では使いにくいものですけれど、やはり「興味を喚起する」というものが広告の本分であるはずだと思うのです。どうも、「いかにしてクリックさせるか」という方向に過剰に矛先が向いてしまって、それ以外の事がないがしろにされているような気がします。

 むしろ、比較的制約の少ないWeb広告なんですから、「広告もコンテンツだ」という勢いで、「クリックさせる」ではなく、「見てもらえる」ものを作っていく気概をもった広告が多く現れてくれるとおもしろいと思いますけれどね・・・そういう意味で、IBMの広告とかBrotherの広告はちょっと好きだったですよ?


Webでの文書閲覧に新しい仕組み「iPaper」

2008-02-23 23:14:03 | Technology

 今現在、PCで使われている文書フォーマットというのは、ローカルなものを含めればそれこそ何百種類とあります。文書と言っても、例えば、テキスト平文、メールソフトの保存形式に、Wordなどのワープロ文書、Excelのような表計算、さらには印刷と閲覧に特化したPDF・・・と多岐にわたります。これらの文書は目的別に作られていますので、閲覧のためには対応するソフトウェアが必要になります。もちろん、見るだけならばPDFを利用すれば良いわけですけれど、まず変換の手間がありますし、二次利用のことを考えますと選択しにくい場合も当然、出てきます。

 となると、とりあえずメジャーどころのソフトウェアをとりあえずインストールしておき、文書ファイルはダウンロードして対応ソフトで開く・・・と言うのがもっとも自然なやり方なんでしょうけれど・・・「とりあえずブラウザ」というインターネット利用形態で、外部プログラムを動かすのは何となく煩雑です。もっとスマートなやり方は無いものか、と言うことで、こういうものが作られたようです。

文書共有サイト「Scribd」が新しい文書ビューア「iPaper」を発表 INTERNET Watch

 iPaperは、Flashで開発された100KBのアプリケーションだ。ブラウザにFlashがインストールされていれば自動的に利用でき、PDF、 Word、Excel、PowerPoint、OpenOfficeフォーマットに対応している。文書のページをタイル状に表示して好みのページにすぐに飛んだり、ページをパラパラとめくったり、フルスクリーンに拡大するなど、さまざまな方法で文書を閲覧できる。

 この「iPaper」という仕組みですが、「Scribd」という文書共有サイトに投稿されている対応文書をブラウザで、しかもばらばらのフォーマットの文書を統一的な操作感で閲覧が出来るというソフトウェア。Flash形式で100KBと大変小さく、動作も軽いのがポイントです。このあたりはAdobe Readerに比べて大きなアドバンテージですね。
 さて、その動作の秘密は、どうやらScribdに投稿してある文書を表示すると言うところにミソがあるようです。結局のところ、iPaperが行うのは表示と操作のみ。データの解釈や展開はサーバー側で行っているようです。サーバーに依存せず、オフラインでも使用できるAdobe Readerとの違いはそこになります。

 もちろん、オフラインで使えないというのはデメリットですけれど、複数のフォーマットを混在して扱えるのは大きなポイントです。Flashアプリケーションなので、特にソフトウェアのインストールも必要ないところも訴求点になりえるでしょう。今後のScribdの影響力拡大に寄与するのはもちろんでしょうが、考えたいのはその先の事。
 例えば、社内や大学の文書共有サーバーに導入したり、図書館の文書閲覧システムに応用したりなど・・・これまで、文書を統一的に扱う土台がPDFで止まっていたこともあり、iPaperのようなシステムは、需要が結構あるのではないかと思います。シンクライアントでも使いやすそうですしね。

 インターネットで世界がつながる、とはいえ、もっとも根本的なんですけれど、実は制約だらけの文書関係・・・iPaperのようなシステムがいくつか出てくることで、今後の展望が明るくなることを祈っています。


MicrosoftのAPI技術資料公開に思うこと

2008-02-22 23:59:59 | Thinkings

 リチャード・ストールマン氏やリーナス・トーバルズ氏の様な、オープンソース・コミューンの人たちの最大の敵と言えば、やはりMicrosoftでしょう。WindowsにOfficeという、世界最大のプロプライエタリ(オープンでない)ソフトウェアを有す同社は、コミュニティにとってもっとも攻撃”しやすい”存在です。

 しかしながら、オープンソースコミュニティの最大の拠り所であるLinuxベンダー各社(Novel、Xandros、etc.)と積極的な提携を始めたり、FireFox開発チームと接触を求めたりと、最近は関係を緩和させているように思われます。

 そして今回、それをさらに進めるかのような発表が成されました。
 WindowsやOfficeで使われているAPI(外部アプリケーションから機能を使うための命令セット)の技術資料のうち、特殊なものに関しては、同社とライセンスを結ばないと使うことが出来ませんでした。しかし、無償での利用に限り、技術資料の無償公開に踏み切ったのです。これによって、「非営利」オープンソースコミュニティは、WindowsやOfficeについて、より競争力のある製品を開発、配布できるようになったわけです。

 これで、オープンソースコミュニティに大きく歩み寄った様に思われますが、もちろん同社の企業戦略はしたたかです。

MSの新たなオープンソースの約束:但し書きを読む ZD NET

  Microsoftがオープンソース開発者を提訴しないという約束は、同社の特許で保護されたプロトコルやインターフェースを非商業的に利用している開発者にしか適用されない。換言するとMicrosoftは、Red Hatやその他のLinuxベンダーに特許保護協約に署名させようという取り組みを断念するわけではないのだ。

 簡単に言えば、コミュニティーや個人など、趣味やボランティアでやっている活動については無償で技術資料を公開する。しかし、StarOfficeを発売するSunや各種セキュリティベンダーなど、商業目的での利用に関してはきちんと提携してくれと言っているのです。これはオープンソースコミュニティにとっては大きな前進であるし、Microsoftにとってはぎりぎりの譲歩点であると思います。なんと言っても、Windowsのシェアは、Linuxに比べるべくもなく多いのですから・・・

 しかしながら、この譲歩はLinux(オープンソース)ベンダーとの提携を加速させるかも知れません。
 というのは、「無償に限り使用を認める」と言うことは、「提携するならばより競争力のある製品をリリース出来る」事を、技術資料という「ダイレクトメール」で示すことが出来るからです。もし、ベンダーにとって「ダイレクトメール」の内容が(しかも実際に使って試したうえで)魅力的だったなら、提携に向けての大きな一押しとなるでしょう。今回のMicrosoft狙いの一つはここにあると思います。

 ところで、多分、フリーソフトウェア財団は「まだ足りない」と言ってくるでしょうし、欧州委員会もさらなる圧力をかけてくるでしょう。ですが、どうにも違和感を感じるんですよね。

 ソフトウェアだって立派な創作物ですから、作り上げた製品に対して対価を求めて何か悪いことがあるのでしょうか?企業が長い時間をかけて、とてつもない資金と人的コストを費やして作ったソフトウェアの全てを無償で公開し、金の工面は別のアプローチで・・・というフリーソフトウェア財団の考え方は何とも独善的に思えてならないんです。少なくとも、WindowsやMacOSは、ある程度の模倣ができこそすれ、そこまでの完成度に持って行くと言うことはオープンソースコミュニティーの活動のみでは難しいと思うのですが。

 また、最近の欧州委員会によるMicrosoftへの攻撃は、正直目に余るところまで来ているように思います。独占禁止法の名の下ならば、世界一のソフトウェアベンダーならば何をやっても許されるというのは明らかに間違いでしょう。何というか、あまりにも度が過ぎると「ソフトウェアを金にするとリスキーだ」と、ソフトウェア業界全体を萎縮させてしまうように思いますけれど・・・


アメリカの人工衛星撃墜について

2008-02-21 21:38:12 | Science

 昨年、中国が自国の人工衛星を衛星軌道上でミサイルにより破壊。これによって衛星軌道上に大量の「スペース・デブリ」(ゴミ)が残されたことで、今後の宇宙開発に大きな懸念を残すことになりました。このブログでも紹介しましたけれど・・・今見てみると、プラネテスのことについて言及していないですね。追記しておきます・・・当時、中国は世界中から非難を浴びました。

 まず最初に断っておきますが、今回のアメリカの行動について、私は現時点において肯定的です。衛星軌道から数トンの物体が地上に落下し、且つ有害な化学物質をまき散らす可能性があるとき、地上の人間がとれる手段というのは非常に限られています。落下してくる地表近く・・・十分に加速され、摩擦熱で高温になっている状態では何も出来ませんし、衛星軌道上で破壊するなら中国のケース同様、大量のスペース・デブリをまき散らす要因になります。
 ならば、今回アメリカが採った、「成層圏ギリギリで破壊し、破片を大気圏で燃え尽きさせる」という手段は、限りなくベストに近いものだったのではないでしょうか。

 スパイ衛星をミサイルで撃墜、有毒燃料タンクを破壊か CNN

ワシントン(CNN) 米国防総省は20日、制御不可能となり、地球に落下、衝突する恐れがあった米軍事用スパイ衛星を同日の東部時間午後10時半(日本時間21日午後12時半)ごろ、海上配備型迎撃ミサイルSM3で約247キロ上空で撃墜したと発表した。

ハワイ西方の太平洋上でイージス艦「レイクエリー」からミサイルを同10時26分ごろ発射、衛星が大気圏に突入寸前の軌道で撃墜に成功したとしている。

 ミサイル防衛システムを使ったことで、中国やロシアからは批判もされていますけれど・・・この「実験」は大きな意味を持つと思うのです。と良いますのは、今後、世界中のどこ国もこの様な事態、つまり「加害者」になる可能性があるからです。

「衛星軌道上から、(A)の人工衛星が(B)の都市部に落ち、多数の死傷者と物的被害が出た。」

 今回は(A)の部分にはアメリカが入ります。もちろん、地球表面の70%は海ですし、残りの陸地でも、人間が住んでいるところはほんの僅かです。でも、そのような事態が起きる可能性はゼロではないのです。(A)に日本、(B)に中国や北朝鮮といった国を当てはめてみましょう。恐ろしいことだと思いませんか?

 実験によって、そういう事態が起きそうになったときに、脅威を排除する有力な選択肢に「ミサイルによる破壊」が盛り込めるようになったのですから、他国にしてみても決して不利益なモノではないはず。
 もっとも、アメリカが積極的に情報開示を行ったなら、の話ですけれど。中国を批判した手前、ある程度の情報開示には応じるものと予想されますが、今後起こりうる国際紛争の種を未然に防ぐためにも、アメリカの良心的な対応が望まれます。

 しかし、中国の面の皮はどれだけ厚いんでしょうね・・・

ミサイルによる破壊を受け、中国外務省報道官は米国が国際社会に必要な情報を迅速に提供することを求めると指摘。また、米国の今回の行動で宇宙で予想される被害を綿密に警戒しているとも語った。中国は昨年1月の衛星破壊実験で関連情報を国際社会に流さず、批判を受けている。

 他人を諭す前に、まず自分の態度を見直せ、と。先日のサッカー東アジア選手権もそうですけれど、この国には「フェアプレイ」という言葉が無いんでしょうね。


Yahoo!、メールソフト?をリリース

2008-02-20 22:09:17 | Technology

 Googleがやっきなって勧めている、Webアプリの拡充。AjaxやFlashを使うことで、ローカルと見た目には変わらないようなWebソフトウェアを続々量産していますが・・・マイクロソフトとの合併話があがっているYahoo!も、どうやらその波に乗るようです。

 Yahoo!メールが10年目のリニューアル、タブ切り替えのインタフェースに ITmedia

ヤフーの提供するWebメールサービス「Yahoo!メール」がローカルのメールソフトのようなインタフェースにリニューアルする。同じ画面内にタブを設け、切り替えられることが特徴だ。2月20日にβ版の事前申し込みを開始し、先着20万人を受け付ける。

 GMailやGoogleカレンダーを見たときも驚きましたけれど、今回のはまるっきりローカルのメールソフトそのままですね。Webアプリでもここまで出来るのか・・・と言うよりも、Flashの表現力というか汎用性ってものすごくあがっているんだなあ、と今更な感想がよぎりました。

 ローカルメールソフトでは、Outlookをはじめとした「3ペイン型」というスタイルがスタンダードとなっています。Yahoo!メールもこのスタイルを採用し、見た目だけでなく操作性もWebアプリケーションらしからぬものを実現しています。右クリックメニューなどWindowsライクなギミックも搭載しており、Outlookを使っていたなら違和感なく移行できるでしょう・・・つまり、Yahoo側もそれが狙いなんです。

 Yahoo!メールを毎月利用するユーザーは、Yahoo!JAPAN IDベースで1500万以上。国内最大のWebメールサービスだ。Yahoo!JAPAN IDのアクティブユーザーが月間2200万IDであることから、約7割のYahoo!JAPAN IDユーザーがYahoo!メールを利用している計算になる。

 そんなユーザーが慣れ親しんでいるのは、GmailのようなWebメールサービスではなく、Outlookのようなメールソフト。ヤフーでは、今回のリニューアルによって新規ユーザーの獲得を見込むほか、既存顧客の満足度向上、Yahoo!JAPANのほかのサービスとの連携を狙う。

 Gmailをはじめとする他のWebメールサービスと一線を画す、「ローカル同様の操作性と見た目」を提供することで差別化し、新規ユーザーの獲得を目指すというわけです。確かに、こちらの方がユーザーにとっては取っつきやすいでしょうから、この点を強調することでセカンドメールアドレス需要を喚起することができるかもしれませんね。

 さて、今回のようにローカルと変わらない見た目を持ったWebアプリケーションが登場すると、このままWebに移行してしまい、ローカルは廃れてしまうのか・・・と考えがち。気の早い人なら、「これからは全部Webでできるのか」と思ってしまうかも知れませんし、「ローカルの時代は終わった」とかベンチャー企業の誰かが言い出しそうな雰囲気ですが・・・私は決してそんなことは無いと思います。

 いや、Webアプリって怖いんですよ?確かに、データを管理しやすかったり、自分でソフトを用意したりしなくて良かったり、PCを選ばずに自分の環境が使えたりと良いことはたくさんあります。しかし、逆に言えば、データは全てサービス提供元が管理しているし、サービス終了と同時に愛用のソフトが使えなくなってしまうし・・・最悪なのが、

 「気づいたら終わってた」

というパターン。しばらく使っていなくて、ふと思い出してメールボックスを見ようとお気に入りをクリックしたら・・・「サービスは終了しました」という表示ともに、Webアプリは使えないし、データも全て吹っ飛んでるし・・・ここまでひどくなくても、アクセスを忘れてて、メールボックスが空になった、なんて経験はしたことがある人が多いでしょう。ちなみに、私もhotmailでやりました。

 企業で使う場合でも、例えばGoogleのWebオフィススイートであるDocsとかSpreadSheetなどをメインで使っていたとします。もし、Googleが「やめます」と言ったら、嫌でも選択を迫られるわけですよ。

 その点、ローカルならば、例えサポートが終了したとしても、自分で管理する分には使い続けることが出来るわけです。提供側の都合でいきなりインターフェイスが変わったりとか、メニューの内容がいつの間にか変わっていた・・・っていうのはないのです。何というか、今Webアプリケーションの議論には、そういう点が全く語られていないように思います。もちろん、みんな承知の上で、何を今更というならいいんですけれど。

 ところで、今回の件でYahoo!は新規ユーザーを獲得できるのでしょうか?確かに取っつきやすいけれど、私は微妙ではないかと思います。Webメールサービスはただでさえ飽和状態なんですから、よほどうまく、利点をPRしていかないと、大幅なユーザー獲得にはいたらないのでは。それに、今回の件を受けて、競合他社も同じような試みを始めそうな気がしますしね・・・なんてったって、見た目や操作性に「全く新規性がない」のが売りな訳ですから、他社が真似したって何にも言えないですものねえ・・・