Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

文字が消える紙 諜報用ではなくてオフィス用

2008-04-30 21:11:43 | Technology

 Xeroxと言えば、誰もが知っているコピー機メーカー(ただし、富士ゼロックスは提携先であって日本法人じゃないらしいです)ですが、そのXeroxが本国アメリカで抱えているパロアルト研究所は、コピー以外でも知られた存在。と言うよりも、パロアルト研究所が無かったなら、今のコンピューターは無かったと言っても過言ではありません。

 と言いますのも、Windows及びMacintoshの事実上の原型であるAltoは同研究所が作ったものですし、イーサーネットも、ちょっとマイナーなオブジェクト指向言語smalltalkも同研究所の発明です。ちなみにレーザープリンタやワーム(コンピュータウイルスとほぼ同意)も同研究所で産声を上げていたりします。

 その研究所が、今度は「紙」を発明したと言うことらしいですよ?

Xerox、「1日経ったら文字が消える紙」など新技術を発表 ITmedia

1日経過した時点で印刷された文字や図が消える紙。何度でも繰り返して使用可能で、紙の使用量を削減することを目的としている。現時点では、印刷された文字は徐々に薄くなり、16時間から24時間経過した時点で完全に消えるという。

 この紙には、特定の光の波長を吸収するときに色を変える化合物が配合されている。Xeroxは、その光の波長を出すライトバーを搭載したプリンタも開発した。印刷された文字や画像は時間とともに、または熱を加えると即座に消える。

 普通のインクやトナーで印刷したらさすがに消えないみたいですけれど、光を当てることで仕込んであるインクを一時的に変色させ、文字や図版を描画するようです。
 用途的には繰り返し使うことを考えているようですから、やはりオフィス用が一番適当だと思います。

 例えば、残しておいてはセキュリティ上よろしくない文書をこの紙に印刷してプレゼンの資料に使うとか、データの打ち込みや確認など、一時的にしか使わない資料を印刷するとか。「メインはディスプレイで紙はサブ」という今のオフィス事情にマッチした発明なのではないでしょうか。

 やっぱり、ディスプレイよりも紙の方が文字は読みやすいですからね。チェックもしやすいですし・・・最終的に紙に打ち出さなくてはならない文書のチェックとか、全く無駄紙ですしね。また、先にも述べたように、「物理的に残しておいてはいけない資料」がオフィスの中にあふれるようになってしまいましたら、このような紙の需要は増えるのではないでしょうか。

 とはいえ、プリンタとセットでないと導入しても意味が無いため、普及にはチト時間がかかりそう。・・・そもそもXeroxに普及させる気があるかどうかも未知数ですしね。


筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子特定される

2008-04-29 23:59:59 | Technology
※寝落ちしたため、翌朝アップしています。

 最近、医療が熱い。

 と言いますのは、本人の臓器の”予備”を作るための万能細胞の研究により、大きな注目が集まっており、また、遺伝子的なアプローチでの難病解明の成果が次々と表に出だしたからです。それを難病治療に役立てるのはそうなんですけれど、国際的に競争力のある新たな日本の「産業」として期待されているわけです。

 当然、ニュースで取り上げられるのもビジネスの要素がとても大きいからと言うわけです。患者にしてみれば、ちょっとの希望にはなるかも知れませんが、実用化されるか分からない様な不確定な情報ならば、福音とばかりに吹聴して欲しくない!と言うのが本音ではないでしょうか。

 さて、そういう建前を書いたところで・・・実際のところ、このブログで医療関係のネタが書かれることは特に多いわけでなく、こと、特殊な病気に関わる治療法に関しては皆無と言っても良いくらい記事が無いはず何ですが、この病気に関しては個人的な思い入れもありまして、ちょっと紹介させていただきます。

難病ALSの原因遺伝子解明、新大研究所 YOMIURI ONLINE

 運動神経が衰え、全身の筋肉が徐々に麻痺(まひ)する難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の原因が、細胞の核外にたまるたんぱく質を作り出す遺伝子であることが、新潟大学脳研究所(所長・高橋均教授)の研究でわかった。ALS患者の大半を占める非遺伝性の患者の治療にもつながることが期待される。26日の米国神経学会誌で公表された。

 今回は、あくまで「遺伝性の患者の原因遺伝子」が特定されたと言うことで、大半を占める非遺伝性・・・つまり突然発症してしまった人たちの病気治療に「つながるかも知れない」というレベルの話です。しかし、この病気に関して大きく理解が進んだというのは間違いないでしょう。

 日々少しずつ、体が動かなくなっていき、最終的には呼吸器や心筋を犯されていき死に至る・・・発症原因は未だ不明で、治療法は無く、進行を遅らせるのみというこの病気を私が初めて知ったのは、スティーブン・ホーキンス博士を知ったのと同時です。

 当時の私は「将来は天文学者になりたい」という淡い夢を抱いておりまして、後にPCにやられた後も、天文学には多大な興味を抱いていました。そういうわけで、ブラックホールから物質が噴出する等と言った画期的な学説を唱えていたホーキング博士に大きな尊敬の念を抱いていました。

 そういうわけで、この病気には色々と思うところがあるわけですけれど・・・通常、この病気は進行が非常に早く、5年程度で多くが死に至るらしいのです。

 ・・・ホーキング博士は1963年に診断されているんですが・・・

 もちろん博士はご存命。来年には宇宙旅行へ旅立つなんて話もあったりします。「実はALSではないのでは」という話が実際に出てるらしいですね。もっともALSでなかったとしても、ホーキング博士が車いすから降りられないのですが。

 実は日本にも(特に紀伊半島に)多いらしいALS。治療法が見つかれば、それは大きな希望になるでしょう。希望を希望で終わらせないために、関係者の皆さんにはがんばっていただきたいですね。


ようやく出荷 ホログラフィック・ストレージ

2008-04-28 23:59:59 | Technology

 普通にネットとメールメインで、オフィス文書を仕事で使い、写真をそこそこ整理するくらいの「一般的な使い方」をしていた場合、100GBを使い切ろうとすると、それは途方もないチャレンジになります。私の2年前の仕事が正にそれでしたが、年間で数百MB、最終的には1GBくらいのデータ量です。もっとも、担当に引き継いだのは数十MBで十分だったんですけれどね。今の仕事だと、写真も使わないから年に100MBも使わないとおもいます。

 しかしながら、映像やプロのフォトレタッチ、デザイン、DTP、DTMの分野・・・詰まるところアーティスティックな分野に目を向けてみると、そりゃあもう、データ保存の為のストレージなんて湯水のごとく使うわけですよ。より綺麗な絵とか音を使って編集しようとすると、指数関数的に使う容量は増えていきますからね。

 Blu-Rayも、従来のDVDよりも綺麗に映像を届けるため、とんでもないサイズになってしまった映像を納めるべく規格をおこされたもの。ただ、その為に用意された容量は片面25GB・・・それでは編集過程まで含めると、保存できなくなる容量です。もちろん8層化までの多層化など色々考えられてはいるものの、すでに次のストレージを探す声も出ています。

 その中の一つがホログラムメモリ。次世代のデータ記録技術として名前だけはよく聞くけれど、世の中にはさっぱり出回らない”幻の技術”で「した」。そう、話の中だけの製品だと思っていたホログラムデータ記録がとうとう実用レベルに達したらしいです。

InPhase Tapestry 300r ホログラフィックストレージディスク 来月出荷 engadget

Blu-rayディスクのさらに数倍から数十倍という謳い文句だけは聞こえるものの製品を見かけなかったホログラムストレージディスクがついに出荷されます。ベル研究所からスピンオフしたInPhaseは初の商用ホログラフィックストレージドライブTapestry 300rを2008年5月に出荷するとのこと。
Tapestry 300rは直径13cmのカートリッジ入りディスクを使い、最初に提供される容量は一枚300GB。転送速度はread/write 20MB/秒。続くモデルでは800GB / 枚で80MB/秒、1.6TB / 枚で120MB/秒の実現が予告されています。

 気になるスペックは一枚300GB、片面一層のBru-Lay Discの12倍、読み込み、書き込み速度はBlu-Rayの4倍速以上と文句のない性能を持っているストレージです。

 ただ、問題が価格。

ドライブが1台 1万8000ドル、300GBのメディアが一枚180ドル。

 この値段では気軽に家庭で導入とは、ほぼ無理。当面は業務用として普及を目指していくとのこと。

 今後、1テラ以上もラインナップに加えていくというホログラフィックストレージディスク。今後容量が増え、価格が下がったら、現在の肥大化するHDDのバックアップ用途に花開くかも知れません。もっと進んで、家庭でも使われる用になるかも知れません。今後どのような展開をするかは今のところ分かりませんが、その未来的かつ夢の詰まった記録方法に、実現されているスペック以上の可能性を感じてしまいますね。


任天堂の次なる野望は?

2008-04-26 23:19:53 | Technology

 現時点で、世界一普及しているモバイルプラットフォームはなんだと思いますか?
 携帯電話?いえいえ、あれは各会社やキャリア、機種ごとに、通信方法から操作方法、処理能力まで全てがばらばらで、共通しているのは「電話がかけられる」という一点だけ。それぞれを別々に集計していったとしたら、何とも小さい数字になってしまうことでしょう。

 そう考えてあたりを見回すと、部屋の片隅、もしくは傍らに置かれている小さなゲーム機があるではないですか。
 そう、世界で一番普及しているモバイルプラットフォームと言えば、Nintendo DSとなります。

 実に世界で7060万台、国内2238万台と、日本の約二世帯に1台あるという驚異的な普及率を誇るDSは、全てが同じソフトウェア、同じ通信規格、同じインターフェイス仕様及びスペックのハードウェアを持つ「単一規格」のプラットフォームです。ゲーム機としては普及しきった感がありますけれど、ここまで普及するならば、今後はビジネス向け等の「ゲーム以外の何か」に展開することを考えても全くおかしくないですね。

 とりあえず海外での取り組みとして、任天堂の球団であるシアトルマリナーズの本拠地セーフコ・フィールドで使えるダウンロードソフトウェアの実証実験を行っているようです。

任天堂、セーフコ・フィールドのNintendo Fan Networkを無料化 engadget

Nintendo Fan Networkはシアトル・マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドで展開されている無線LANとDSを使った野球観戦のお供サービス。観客席に設置されたWi-FiステーションからDSにクライアントソフトをダウンロードすることで、MLB.comと提携した選手情報や統計の表示、テレビ中継からのリプレイ、ミニゲーム、あるいは球場内のドリンクやフードの注文ができるというサービスです。

  場所と目的を固定化することで、DSをお手元の情報端末に変えてしまうと言うことですね。DSは単一プラットフォームですので、操作方法も動かすソフトウェアも全て同一。周知もしやすいですし、「使ってもらう」為の敷居を下げる、大きなメリットになりますね。

 さて、日本においての同様の取り組みは、お膝元・京都での百人一首資料館「時雨殿」(マイコミジャーナル)でのガイド利用がありますけれど、それはあくまで貸し出し用の専用端末としての位置づけでした。セーフコ・フィールドでの取り組みでは、客にDSを持ち込んでもらって使用するという点が異なっています。

 今後、テーマパークや博物館、もしくは百貨店や郊外型大型店舗での同様の取り組みが進んでいけば、あるいは、もっとも身近な情報端末としてさらなる普及、もしくは稼働率の上昇が見込めるかも知れません。任天堂にとってはもちろん、安価に情報端末を導入したい、新しいビジネスチャンスを発掘したいというITベンチャーにとっては魅力的な話ではないでしょうか。

 とりあえず、ダウンロード用情報端末のライセンスを新たに設けて、開発のハードルを下げるような取り組みを任天堂が行うことが前提ですが、そのような動きがあるならば、もしかしたら大きな転換期になるかも知れませんね。


新しい楽器の新しい息吹 TENORI-ON

2008-04-25 23:59:59 | Technology

 実は、私は楽器が好きです。あんまり本腰を入れてやったりはしていないので恥ずかしい腕ではあるのですが、電子ドラム叩いたりボンゴを叩いたり、100均にリコーダーが売っているのを見て懐かしくなって買ってしまったり、カズーというオモチャのような楽器を買ってしまったり・・・本当はピアノとか習いたいとか思うのですが、いろんな意味で無理っぽいですし。ギターは・・・持ってないのでちょっと欲しかったりします。全く弾けないですけれどね。

 世の中にはトーキングドラムとかコキリコ、篠笛、サンポーニャなど珍しい楽器は色々ありますが、おおよその音の出し方はすでに網羅されており、「新しいジャンルのアナログ楽器」というのは、このご時世、なかなかお目にかかることはできません。しかし、デジタルならば話は別になってきます。
 それが楽器として広く認められるか否かは置いておいて、今後の技術いかんによっては様々な形状、方法、音の可能性が広がっているのです。最近の身近?な例で言いますと、「初音ミク」などの「歌」そのものを扱える楽器としてのボーカロイドは、新しい楽器と言えるのではないでしょうか。

 さて、そのボーカロイドの元々の生みの親であるヤマハが、今度は「デジタルだけどもフィーリングで音を奏でられる新しい楽器」を国内でも販売するらしいですよ?

ヤマハ、直感的に作曲/演奏できる「TENORI-ON」を国内販売 AV Watch

 TENORI-ONは、外形寸法205×205×32mm(縦×横×厚さ)の正方形のボード状の筐体に備えた16×16個のLED搭載ボタンを押すことで、直感的に作曲/演奏が行なえるという電子楽器。メディアアーティストの岩井俊雄氏と共同で開発し、既にイギリスにおいて2007年4月に発売され、ビョークやコーネリアスなどのアーティストもライブで使用している。イギリス以外の欧州や米国でも4月以降より順次発売する。

 元記事に映像も載っていたのですけれど、盤面を触ることで音が出るのですが、盤面を触る位置や触り方によって様々な表現ができるというもの。楽譜を追って曲を奏でるというよりは、そのときどきのフィーリングで演奏すると言うアドリブ感あふれた楽器みたいです。音を奏でるときに、それに合わせて盤面に光が踊りますので、見ためも楽しいし、直感的に状況を把握することもできます。

 とかく直感的な面が強調されているこの楽器ですけれど、それには理由があります。
 このTENORI-ONの共同開発者として、ウゴウゴルーガで知られる岩井俊雄氏が関わっているのですが、どうやらこの楽器の根底には、氏の次のような思いがあるようなのです。

「実験アニメーションを作るためにヤマハの音楽専用コンピュータも買ったが、譜面を読み書きできないことから挫折した。でも音楽に対する情熱は強く、何かを作ってみたかった」

 譜面が読めなくても、表現できる楽器。正に音を楽しむための新しい位置づけの楽器としてデザインされていると言うことなんでしょうね。

 楽器というかガジェットというか・・・なんとも言葉では表現しにくいのですが、とにかく楽しそう。正直触ってみたいです。ただ、お値段は楽器らしく121,000円と、「触ってみたい」だけでは勇気がいる金額ですね。何でも初期モデルは高いもの。今後、廉価版が出てくれることを祈りつつ、機会があったらとりあえず触ってみたいと思う次第です。


歩留まりについて書いてみる

2008-04-24 23:01:42 | Technology

 歩留まり(ぶどまり)。製造業に関わる方なら聞いたことがあると思いますけれど、それ以外の業種の方にはいまいち聞き慣れない言葉だと思います。今回、AMDから”デュアル”でも”クアッド”でもない”トリプル”コアなCPUであるPhenom X3が発売されましたので、その発売のきっかけともなった歩留まりについて書いてみたいと思います。

 まず、何故AMDは「コア3つ」等という中途半端なCPUを世に出すことにしたのでしょうか。その答えは、お察しの通り歩留まりの改善にあります。

 もともとPhenomはネイティブクアッドコアCPUとして開発されたこともあり、通常は4つのコアが載った状態で生産されています。これは、同じ名前がついているPhenom X3も同様です。
 つまり、Phenom X3は4つ載っているコアのうち3つだけを使う状態で出荷されていることになります。わざわざこんなことをするのは何故なんでしょうか?

AMDから登場した“コア3つ”なCPU──「Phenom X3 8750」を試す ITmedia +D

 クアッドコアは4つのコアを持っているが、そのうちの1つだけとか、2つだけ、あるいは3つのコアが使えないCPUがでてきてしまう場合がある。トリプルコア、デュアルコア、シングルコアとしては利用できるが、クアッドコアとしては使えない製品だ。通常であれば、これらは破棄されることになるのだが、その場合歩留まりは下がってしまい、CPUメーカーの利益は減少する。

 そこで、1つだけ使えないものをトリプルコアのCPUとして投入すれば、歩留まりを向上させることになり、それによってCPUメーカーの利益を増やし、ひいてはそのメーカーが扱うCPUの価格を押し下げることにもつながる。

 つまり、従来は「使えない」と破棄されていたものを有効活用することにより、歩留まりを上げる、つまり製品の不良率を下げることができ、損失を圧縮できるという訳です。

 どんな製品でもそうなんですけれど、とりわけ精密部品の多いPCや情報家電の類は歩留まりが悪くなる傾向にあります。CPUだけでなく、そのほかのチップに加え、身近なところでは液晶ディスプレイなんてのも精密部品と微細配線の塊ですので、歩留まりが悪い傾向にあります。現在一般的なSXGA(1280×1024)の解像度がある液晶ディスプレイですと、1,280×1,024=1,310,720それぞれに赤青緑のの光点がありますから×3で3,932,160個の光点が規則正しく並んでいることになります。約400万もの部品が作り込んであるならば、確かに1個や2個のドット抜けは勘弁しろよと言う気にもなりますかねえ。とにかく、液晶の値段が下がったのには、歩留まりの向上もあるようですよ。

 要するに、歩留まりの向上は、損失の圧縮及び製品の供給量増加というメリットをメーカーにはもたらし、ユーザーにしてみると、価格の低下という恩恵を預かれる、双方にとってナイスなことなのです。

 しかしながら、CPU等の歩留まりは一般的な製品よりも恐ろしく低いのが普通らしいです。特にリリース当初はそれが顕著らしく、50%とか70%、ひどいところでは30%なんてのもあるとか。元記事で書かれている例、100個作って5個が不良、5個が100%の性能が出ない・・・つまり歩留まり90%なんてのはかなり良い例と言うことになりますね。ちなみに、歩留まりについてはトップシークレットらしく、正確なデータとか業界全体の平均なんてのは存在しないらしいですよ?

 歩留まりを改善しようにも、改善する頃にはすでに新しい製品を生産しなくてはならない・・・なんていう先端技術部門ならではのジレンマもありますし、今後もしばらくはこういう状態が続くでしょう。今後、PS3とかXBOX360、大画面液晶やBlu-Rayレコーダーの値段が下がった時に、「ああ歩留まりが向上したんだな」と思い出してみてくださいね。


青少年ネット規制法に待った

2008-04-23 20:37:06 | Thinkings

 青少年ネット規制法という法律をご存じでしょうか?まだ成立していないものの、与野党両党から素案が出されるなど「成立確実」と目されているこの法律は、平たく言えば、「未成年のネット利用にフィルタリングを強要する」ものです。対象となるのはネットだけで、規制するなら既存マスコミも同様だろう、と思いますけれど、どうやらうるさがたは後回しにして、叩きやすいネット方向から規制していこうと言う安直な考えのようです。

 携帯電話のフィルタリング問題と違う点は、携帯電話だけでなく、全てのネットワークが規制の対象になるところ。家庭のPCはもちろん、ネットカフェのPCにしても未成年と成年では分けなければならなくなるし、本当は有害ではない技術資料なども「誤解」によって見ることができなくなったりする可能性があるわけです。携帯電話のみのネットワークのような、コミュニケーション、コンテンツ中心の世界に規制が入るのではなく、通常のインターネットの多くを占める、資料やニュースをも標的になるわけで、とんでもなく影響力の強い法律です。様々な「手落ち」や「不備」も指摘されており、さらに改善勧告等の実行手段も用意されていることから、大変タチの悪いものになっています。

 さて、既存マスコミにしてみれば、ネットは「既得権益を奪う敵」ですので、報道どころかまともに問題として取り上げるような動きは全くありません。しかし、ここに来て相次いで大きな動きが出ているようです。

ヤフー、MSらネット大手が「青少年ネット規制法」に反対 「法規制は一番最後に来るべき」 ITmedia

「青少年ネット規制法に反対します」――MIAUとWIDEプロジェクトなど共同声明 ITmedia

 どちらの団体も、主張する骨子は同じ。

「国家による制限ではなく、民間の自主規制と教育で対応すべき」

 制限と罰則ありきでは、ネットの世界が著しく狭まってしまうということですね。私もこの意見には賛成です。

 さて、はじめの記事におもしろい”意見”が載っていました。

 今後、保護者・学校関係者と協力し、子ども向けのネット利用教材を作成したり、保護者向け勉強会を開くなどの活動を展開。「保護者と子どもの知識の逆転」状況を、保護者向けに情報提供を行うことで改善し、保護者が子どもに手軽に指導できる環境作りを支援するとしている。

 つまり、今回の法案を作った議員先生も、このような状態なのでしょう。訳の分からない世界だから規制しようと。・・・全く、モノを知らない人に権力持たせるとろくなことにならないと言うことですねー。

 この言葉、ことネット等のデジタルメディアに関しては全く言いすぎではないと思ってます。こういう新しいメディアに法律がついてこれていないのは著作権法一つを見ても明らかです。急速に広まる新しい世代についてこられない政治家に法整備の枠組みを作らせるのではなく、ネットらしく、もっと開かれた議論の場を作るべきだと思うのですが・・・。

 そういう意味で、今回「声の大きい人たち」が反対に回ってくれたのは大変心強いです。今後、「とりあえずマスコミとか規制すべきじゃね?」とか普通に言えるような展開になってくれることを期待しつつ、それはそれで不味いか?とペンを置きましょう。


使い道は?microSD型無線LANカード

2008-04-22 21:59:07 | Technology

 「WiFi」という言葉が急速に広がった背景には、やはりNintendoDSとかPSPの影響が大きいと思われますが、そうでなくても、ケーブルの取り回しが必要ない無線LANとは便利なものです。私の家で常時有線LANにつながっているのは、私のPCとテレビくらい。後のガジェットは全て無線になってしまいました。Wiiに親用のノートにiPod touchにPSP、DS・・・据え置きからポータブルまで、私の身近な端末にもずいぶんと無線LAN対応機種が増えたモノですね。

 よくよく考えてみると、最近PCを買った家庭のインターネットセットアップに行くと、決まって無線なんですよねー。なんか便利なモノは、気づいたときには広まっているもんですね。

 さて、無線LANが搭載されていてうれしいのは、据え置きできる大きなデバイスではなく、LANコネクタなんか搭載できないくらい小さくて、あんな太いケーブルを引っ張り回すなんて考えられないモバイルデバイスでしょう。

 しかし、そんなモバイルデバイスにも「コスト」という壁に阻まれて無線LAN機能を搭載できなかったものがたくさん存在します。そんなときに心強いのは、外付けの無線LANアダプタ。USBで付けるものやCFコネクタに指すものなど種類は様々ですが、これはちょっと盲点だった。

Spectec SDW-823 世界初 microSDIO 無線LANカード engadget

「SDIO EXPERT!」のSPECTECから、世界初のmicroSD無線LANカードが発表されています。仕様は802.11b/g準拠、SDIOインターフェース、平均消費電力 125mAなど。対応OSはWindows CEやWindows Mobile 2003SE / 5 / 6ほか。Eye-Fiのようにメモリーカードとしてささればどんな機器でも使えるという製品ではありません。

 引用文中に出てくるEye-Fiとは、WiFi圏内にあれば、自動的に撮った写真をPC及びFlickerへ転送してくれるインテリジェンスSDカードのこと。今回の無線LANカードはそういうものではなく、WindowsMobileのようなOSにドライバを組み込んで使う、ごく普通のLANアダプタです。

 さて、機能的には普通の無線LANアダプタですが、特筆すべきはやはりその大きさ。SDが初めて出てきたときは普通に驚いたし、miniSDもかなり小さいと思ったけれど、microSDはさらに度肝を抜かれました。こんなものに倉庫いっぱい分の文書データが入るのか、と。で、それに無線LAN機能が収まっているというのですから衝撃です。もはやどうなっているか想像できませんよ。

 もっとも、あくまでもドライバとセットという性質上、使えるケースはずいぶんと絞られます。携帯電話はWindowsMobile機を除いて全滅。WindowsMobile機も、元々Wifiを備えていた場合搭載の意味はありません。ノートPCに付けるにしても、素直にPCカードやUSBの恩恵にあずかるのが正しそうですし、最近のモバイルミニノートは大概対応済みです。

 ・・・思った以上に使えないですね。

 ただ、無線LAN機能は現在ここまでは小さくできるという保証が見えました。技術屋さんはとっくに知っているかも知れませんが、私のような素人にとっては想像の余地が広がるというモノ。今度は何が小さくなるのか、今後の展開が楽しみですね。


PS3新モデル、夏発表かも知れない

2008-04-21 21:21:18 | Thinkings

 アメリカでも日本でも欧州においても、次世代機・・・と言うか、販売時期が似通った時期プラットフォームはWiiの圧勝に終わりました。アメリカにおいての月間売り上げにしても、PS3及びXBOX360にダブルスコア以上をつけています。(April 2008現在)

 さて、日本において2位の地位ではあるけれど、勢いは同グループのPSP(と言うかモンスターハンター)に全て持って行かれてしまっている感のあるPS3ですが、識者の間では大不評であったグレードダウンモデルの余韻がさめやらぬうちに、早くも新モデル登場の噂が流れ始めているようです。

プレイステーション3の次期モデル、夏に登場の可能性 engadget

日興CGではさらにコスト改善が進んだ新PS3の登場を今年11月と想定してきましたが、最新のリポートでは8月頃に前倒しの可能性があるとしています。

 この新モデルの方向性が「どっち向き」かで、PS3の運命は決まると思います。

Plan A. PS2下位互換を復活させる

 やっぱりダウングレードモデル最大の不満はPS2互換が削られたところ。安くなっても機能が削られているのでは何となく買いにくかった、という旧来からのゲーマーの声に対応する形です。これによって、PS2の販売を終了とか荒療治を行った方が良いかもしれない。

Plan B. HDMIをもう1端子追加し、SACD再生を復活させる

 元々定評のあるユニバーサルプレイヤーとしての機能を充実させ、音声出力専用のHDMI端子を装備。AVアンプとの連携を強化し、真のメディアセンターを目指すモデルですね。AV重視の姿勢で、ゲーム機ではなく、オーディオ機器としてもつぶしがきくように道を整備する形です。ついでに地デジチューナーとレコーダー機能を付けて、PSXの後継という位置づけの「新ラインナップ」を増やす方向性もありか。

Plan C. さらなる低価格路線

 PS3はゲーム機なんだ!と言うことで、ゲーム機能とBlu-Ray以外の付加機能をさらにバッサリ切って、無線LANやPSPとの連携も止め。もっとも、現行の40GBの機能はそのままに、逆ザヤ状態を解消して売れば利益が出る方向に持ってくると言うのが一番ありそうな話。ただ、スロットインのメディア挿入口はトップローディングに、HDDはXBOX360のように別売りのプランもあるかも・・・

 とりあえず一押しはPlan B.ですが、現実的にありそうなのはやっぱりPlan C.でしょうかね。そうなると、現行のソフトウェアラインナップではさらに苦況に立たされそうですが・・・ちなみに、前の下位互換ありの20GBモデルが店頭から消えるとき、私も購入を検討しました。が、「ソフトの棚を見て我に返った」ということもありますので、今は付加価値で売るのが正解だと思うんですよねえ。

 とりあえず、Sony側は「売れば売るほど赤字にある現状をなんとかしたい」(ライセンス料も期待できないし!)ということでしょう。今までの1年半、ずっと出血サービスで売ってきた訳ですから、そろそろ何とかしたいと思う頃ですよねえ。まだ、8月に出るかどうかは全く未知数(投資アナリストが「期待」しているに過ぎない訳だから)なので時期尚早な意見は避けるべきですが、何にせよ、次のモデルは楽しみですね!

 

 さて、出血と言えば、昨晩3時過ぎから未明にかけて、鼻血がだくだく出て止まらないという大変困った自体に遭遇しました。鼻が詰まって起きてみたら、のどはガラガラだわ、鼻をかんだら鼻血は栓をすぐに真っ赤に染める勢いで出るわで散々な状態。もう全然止まる気配が無いものだから、洗面所で流れる血を見ながら「出血多量」「鼻血で救急車」と真剣に考えましたよ!
 鼻血は結構出がちだったのですが、今回はさすがにやばいと感じ、耳鼻科で鼻の粘膜を焼いてもらってきた次第。花粉症で粘膜が弱くなっていたんですって!意外と怖いですよ、アレルギー性鼻炎。

 ・・・本当に救急車呼んでいたらどうなっていたことか・・・


マック互換機、根本的な部分で暗礁に乗り上げた可能性

2008-04-20 21:09:46 | Thinkings

 この4月の前半から中盤にかけての時期は、日本全国津々浦々で様々なお祭りが行われる何とも賑やかな期間です。例に漏れず、私の住んでいる地域でも、そりゃあもうお祭りだらけ。私は先週に1つ、今週は土日続けてお祭り三昧デス。さすがに昨日はグロッキーで、帰ってきて夕飯食べたらぶっ倒れてましたよ。ちなみに、今も全身倦怠感が襲ってますけれど、さすがに二日続けて倒れるわけにもいかないなー、とちょっとがんばってます。

 祭りと言えば、局地的にお祭り騒ぎを巻き起こしたとして記憶に新しい・・・というか三回前の記事で話題にしたMacintosh互換機の話ですけれど、なんだか雲行きが怪しくなってきました。今回のニュースソースも前回と同じtechnobahn。過去のマック互換機の話やら、今後のAppleの対応など色々楽しげな予想をしておいて何ですが、どうやら全てがでっち上げだった可能性が高いような空気が漂ってきました。

マック互換機発売の米サイスター社、会社の実在を疑う向きも technobahn

世界で初めて「Mac OS X」が動作可能なMacintosh互換機を発表した米サイスター(Psystar)社の実在を疑う向きがネット上で広がってきていることが18日までに複数のネットメディアの報道により明らかとなった。

なんでも、ホームページ上に記載されていサイスター社の住所には同社ではなく「Koen Pac」社が建っており、後に出された「移転後の住所」も空ビルしかない・・・という何とも残念な事実が示されたとのこと。また、

 サイスター社側は既にクレジットカードによる注文受付ができなくなったことなども公表しており、現在ではサイスター社そのものが架空の存在だったのではないかといった見方が広がっている。

という情報も、噂に信憑性を持たせています。

 考えてみれば、クレジットカード社会のアメリカにおいて、カードが通販で使えなくなったと言うことは、その会社が何らかの問題を抱えていると見て間違いないでしょう。今回は、「クレジットカードが使えないのは会社が架空だから」という方向に動いたようです。

 元々、ライセンス的にも限りなく黒に近いグレー、もしくは黒だったわけですし、Apple以外=スタイリッシュではないマックを求めるユーザーがどれくらいいるのかという「事業の継続性」も、冷静に考えれば不透明な訳で・・・最終的に、会社があったとしても無かったとしても、どちらにせよ利用者にとって悲しい結末になっていた可能性が高かったと考えれば、こういう幕引きも致し方なしと言うことでしょうか・・・。

 とりあえず、日本のIT関連ニュースはこのことをあまり報じていませんし、今は続報を待ちましょうか。