Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

時代は磁化に回帰する?

2007-08-20 21:23:24 | Technology
 PCに必要なもの・・・いや、PCだけでなく、ありとあらゆる、ちょっとはインテリジェンスな電子機器に必要とされるもの。それこそ携帯やテレビ、ゲーム機、電卓に至るまで。
 トランジスタとか電気とか言い出したらキリが無いけれど、もっとザクッと分けたときに必要になる部品として、メモリがあります。

 現在、PCやゲーム機などに使われているメモリには、電源を切ると全部忘れてしまう揮発性と、電源を切っても内容を覚えておける不揮発性の二種類があります。
 揮発性の代表選手は現在主流となっているDRAM。PCの世界で「メモリ」と言えば、今は大概これを指します。対して、不揮発性のはNANDメモリ。いわゆるフラッシュメモリで、PSのメモリーカードやらデジカメや携帯のSDカード、DSソフトの記憶も全部これです。
 これらは共通して、「構造が単純で小さくできる」という特徴があります。そして、DRAMは「そこそこ高速」だけど「忘れてしまう」、NANDは「忘れないしそれなりに速い」けれど「使用制限がある」という性質を持っています。適材適所というヤツですね。

 さて。
 では、双方の長所を受け継いだ、「DRAM以上に高速で、使用制限が無く、不揮発性である」というメモリが登場したら、やっぱり革命的な事になりませんかね?


 IBMとTDK、高容量MRAMの共同研究開発を開始 PC Watch

 米IBMとTDK株式会社は20日、スピン注入磁化反転法を採用した次世代MRAMの共同研究開発を開始したと発表した。

 Magnetoresistive Random Access Memory(MRAM)とは、磁気をデータの記録に利用する不揮発性の次世代メモリ。フラッシュメモリと同様に不揮発性でありながら、高速な書き込みと高い書き換え耐性を特徴としている。


 まあ、要するに、そのような革命的な製品の筆頭がこのMRAMな訳で、細かい説明は以下のページが詳しいです。

次世代メモリデバイスMRAMの未来 PC Watch

 磁気を使ってDRAMとフラッシュを併せ持ち、双方の性能を凌駕している夢のデバイスというわけですね。こんなのがまともに攻勢をかけてきたら、メモリ周りで本当に革命が起こりますけれど、今のところは何とも言えません。

 というのは、MRAMは2006年にようやく製品化が始まった若い技術であることと、製造工程がまだ複雑であること。そして、最大の問題として、強磁性に弱いこと。
 要するに、コストが高くて磁石に弱いんです。

 とはいえ、技術革新とは弱点を克服してこそ。DRAMも様々な弱点を克服して、現在の立ち位置にいるのです。まだ市場に現れて一年の若い技術であるMRAMにも、今後大いにがんばっていただきたいモノです。

 ・・・できるだけ早急に、お願いしたいモノですけれどね。