Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

目指したのは「紙と鉛筆」 手描き特化タブレットがAsusから

2010-05-31 23:59:59 | Digital Devices

 割り切る、と言う事は意外なほど大切なことです。時と場合にもよりますけれど、八方美人に手を出すよりも、何かしら集中的にリソースを投資した方が、良い結果を出せることが多いです。
 会社経営だと、色々と手を広げた結果、本業以外で損失を出してしまう会社が多いなか、得意分野に注力している企業が伸びていくと言う例は珍しくありません。これはデジタルデバイスに関しても言えることで、例えばポメラは、「文字入力」のみを追い求めた結果、大きなヒットに結びつきました。

 Eee PCでネットブックの市場を開いたAsusが今回発表したのも、一点豪華主義の、実に目的が明確なデバイスです。

Asus、「2450dpi」手書きタブレット Eee Tabletを発表 engadget

 高精細なモノクロ液晶ディスプレイを採用し、「紙に書いている感覚」「世界でもっとも正確で感度の高いデジタルノートデバイス」をうたっています。(リリース本文では「2450 dpi」。ディスプレイ解像度ではなく手書きデジタイザの分解能ではないかと思われます)。
 そのほか判明している仕様は画面がバックライトなしの64階調グレイスケール、ページ更新 0.1秒、本体に画像取り込み用の2メガピクセルカメラ、microSDスロット、PCとはUSB接続、バッテリーは10時間など。詳細が分かりしだい続報でお届けします。

 紙にペンで書く、と言う事に徹底的にこだわったかのような異質なタブレットです。カラー液晶ではなく、バックライトなしの64階調グレイスケールをあえて採用しているところからも、その本気度が伺えます。
 今まで、自由に描けるメモ帳というのは、タッチパネル搭載のモバイルデバイスにはつきもののアプリケーションでしたが、あくまでオマケ程度、とっさの走り書き程度の目的が主立った使い方でした。静電容量式タッチパネルにおいて、指で細かい画なんて描けませんからね・・・。ですが、本製品はペン入力に特化させることで、紙の自由さを前面に押し出すことに成功しています。
 もっとも、後々のメモの再利用とかは無視ですね。デスクの上のメモ帳代わりにしか”最終的には”ならないと思いますし・・・ビジネス用途と言うよりも、趣味的な要素が強いと思います。

 「書く」と「描く」。ベクトルは真逆ではありますが、ポメラの兄弟と言えるかも知れません。ただ、先にも書きましたが、ビジネス用途にはあんまり向かないかも知れません。そういう意味で、「使う人を選ぶ」本当に狭い分野の人にしか訴求力のない製品だなあと。

 ただ、超豪華な「せんせい」というコンセプト自体はものすごく面白いので、価格次第では欲しいなあと思ったのですが、199ドル~299ドル、つまり2~3万って事ですよね?ペンタブレットとしては妥当な価格帯だと思いますけど、おもちゃとしてはちょっと高いかも知れないですね。・・・そもそも、コンセプトだけで終わる可能性も否定できませんしね。

 とりあえず、Computex 2010に出品されそうな気配ですので、実機のレポートが待ち遠しいです。


これぞチャイナパワー! iPadもさっそくインスパイア

2010-05-30 23:59:59 | Thinkings

 中国製、と聞くとなんとなーくいかがわしい感じがするのは、やっぱり海賊版という単語が頭をよぎるからでしょうか。

 もちろん、ユニクロやソニーを初めとする日本のメーカーの名を冠した中国製の物というのは世間にあふれているわけですが、「中国メーカーの電化製品」というとそうでもありません。冒頭の海賊版云々というのは、もちろんそっちを指して言っています。
 むろん、Lenovoを初めとする中国資本の世界企業が勢力を伸ばしてくると考えられますので、今後は一概には言えなくなってくるかも知れませんが、いわゆるノンブランドの製品となると「どこかで見たことのあるような」製品がモリモリ流通しているというイメージが払拭できません。

 Appleの製品はとりわけデザイン性に優れ、人気もあるため、その標的にされがちです。デザインが独創的な分、真似されたときも判別が実にしやすいのですね。iPod Shuffleやnanoに至っては、あまりに似すぎていて記事のネタにもされていました。

 さて、その傾向はもちろんiPadでも健在です。ITmediaが傾向をまとめていました。

「lPad」「APad」もあるぞ! 中国の“iPadっぽい何か”は健在です ITmedia

 Taobaoで「iPad」を検索すると、関連検索で「山寨(ノンブランド)ipad」や「国産ipad」という怪しげな単語が出てくる。

 山寨ipadをクリックすると、iPadっぽい何かがずらり。どれもタッチパネルのタブレット端末(たぶん)だが、ボディデザインや画面のレイアウト、色などが微妙に(orかなり)違う。画面サイズは7インチ、Android OS搭載をうたっているものも多い。

 さすがにiPhone OSまでは真似が出来ないようなので、各社AndroidやWindows 7を搭載しているようです。iPodのように、本質的にはソフトウェアは関係ない場合と違い、iPadはむしろ「ソフトウェアが本体」という感がありますから、他の製品と比べるとより「似て非なる物」感が強めです。

 しかしながら、価格的にはそんなことがどうでも良くなるような差が出てきます。
 Android搭載のものの価格は1人民元=13.3円(2010年5月30日時点)とすると、約8,000円から13,000円程度、特に900元~1000元程度の物が多いみたいですので、だいたい12,000円台の製品が多いようです。iPadが48,800円~であることを考えると、圧倒的にとも言えるアドバンテージです。
 かつて紹介したubuntu搭載のタブレットSmart Q5も同価格帯だったことを考えると、中国では1000元をちょっと切る程度が、これらの製品のバリューラインなのかも知れませんね。

 少なくとも、Appleがプレミアム路線を続けていく限り、中国から「それっぽい何か」が消え去ることはあり得ないでしょう。それどころか、それらに搭載され、「正規流通」するAndroidの人気を下支えする存在になるかも、なんてことを思ってしまいました。こういう所はオープンソースって強いですよね。


今度は大丈夫? OLPC XO-3、プロトタイプを年内お披露目

2010-05-29 23:59:59 | PC

 ここ数年において、PCの世界、特にローエンドと言われるカテゴリーにおいて、劇的に変わったことがあります。そう、価格が圧倒的に安くなったんです。
 ネットブックの登場によって、各社がこぞって超低価格路線に続々参入したことで、ネットブックの価格は3万円台まで下落する物も出てきました。それにとどまらず、価格下落の余波はネットブック以外にも到達し、今や10万円を切るのは当たり前といった状況が作られてしまいました。

 そのきっかけとなったのが、OLPCの正式名「XO-1」、通称「100ドルPC」です。最小構成のPCを世界中の子供に、と言うコンセプトの元、100ドルPC構想を打ち上げたまでは良かったのですが、そのコンセプトにタダ乗りしようとするその他メーカーによって受注を奪われたり、いまいち政府から賛同が得られなかったりと予定数量がはけませんでした。結果的に何カ国かには納入し、子供たちに提供できたものの、当初の目標であった100ドルを切ることはありませんでした。

 さて、最近はすっかりネットブックをリリースする各社に押され、話題にも上らなくなっていたOLPCですが、久しぶりにプレスリリースが出たようです。しかも、結構衝撃的な。

動画:タブレット型のOLPC XO-3、プロトタイプを年内にも披露へ engadget

ひさびさにOLPCの話題です。元祖 100ドルPC(XO-1)で知られるOLPCは、昨年末にタブレット型のバージョン 3.0(XO-3)を開発中であることを明らかにしていました。端末のモックアップ写真はなかなか素敵でしたが、問題は発売が2012年予定とかなり先であったこと。あれから半年。ネグロポンテ会長がPCWorldのインタビューに答え、このタブレット端末のワーキングプロトタイプを年内にも発表し、来年頭のCESで披露すると予告しました。発売時期は変わらないかもしれませんが、それらしいものを見る機会は思ったより早く訪れそうです。

 スペックは、過去の発表通り9型程度のピュアタブレット。物理ボタンは基本的に無し。また、筐体については落としても、多少手荒に扱っても壊れないように、全部プラスチックで作るようです。そして、価格は、これまた当初発表通りの75ドル・・・。100ドルに収まらなかったXO-1、コンセプトだけで終わったXO-2を考えると、何とも不安になる価格設定ですが、はてさてどうなることやら。

 面白いのは、これまでずっと独自路線のLinuxベースOS「Sugar」を搭載してきたOLPCですが、今回は、Androidの搭載もほのめかしていると言うこと。確かに、教育用だけでなく、チャリティ目的で一般流通にも流すことを考えると、そちらだけでもAndroidを搭載した方が市場のウケは良さそうです。75ドルのAndroidタブレット・・・チャリティ価格で150ドルだとしてもまだ十分安いですからね。いやが上にも期待が高まります。・・・これまでの例があるので、手放しで・・・とは行きませんけど。

 OLPCに夢があるのは、何も価格だけに限ったことではありません。他のメーカーが忘れてしまったかのような、非常に尖ったコンセプトで、マシンを一から設計してくるところにも大きな魅力があります。中止になってしまったものの、すばらしかったXO-2、そして実にスマートなXO-3。市場流通ではなく、「子供たちのために」本気で考えているからこそ、このような結果になるのでしょうが、ある意味、それこそがOLPCの最大の魅力なのかも知れませんね。
 是非とも、今後も事業を継続していってもらいたいものです。


2022年ワールドカップ招致方法が尖りすぎ

2010-05-27 23:59:59 | Technology

 ワールドカップ。4年に一度行われる世界最大のサッカーイベントにして、オリンピックと同様にとんでもない経済効果をもたらす世界規模のお祭りです。

 招致できたときの見返りの大きさから、日本からは毎回のように立候補が出ていますが、今回のセールスポイントはちょっと尖りすぎてます。いやもう、むしろ「ワールドカップでなくても良くない?」と言うくらいに。招致用の説明資料にPSP(PSP goではない)が同梱されている事からも見え隠れしていますが、正に「こんな未来だったらいいな」という技術がてんこ盛りの計画となっています。

リアルタイム自動音声翻訳、超巨大3Dテレビ、ARカード...ガジェットだらけの2022年ワールドカップ日本 gizmodo

2022年FIFAワールドカップ日本が招致しようとしています。しかし日本は2002年にKORIA/JAPANのワールドカップをやったばかり。ちょっと再招致は早すぎるんじゃないでしょうか...

しかし、そんな心配はご無用です。日本の招致用の提案は、まるでSFのような未来的ガジェット完全武装されていますから。

 具体的には、

・透明な板をかざせば情報が浮かび上がる「スタジアム観戦AR
・ブルートゥースヘッドセットのような「音声自動翻訳システム
・スタジアム200箇所に設置された8K(!)カメラによる「自由視点映像技術
・地面に平置きした3Dスクリーンに、リアルタイムでピッチを再現する「Full Court 3D Vision

など。さらに、自由視点映像技術のスクリーンやFull Court 3D VisionをFIFAの208の加盟国に設置し、「わざわざ日本に来なくても、リアルタイムで臨場感のあふれる試合を観戦できる」という訴求点も。それはワールドカップ誘致としてちょっとどうかと思いますけど・・・

 公式ページでは、これらの技術をどう使うかというコンセプトビデオを貼り付けてありますが、「かつて思い描いていた未来の姿」を味わえるような、正に技術礼賛を凝縮したようなものでした。ため息しか出ませんが、

本プロジェクトのテクノロジー部会長かつ日本のインターネットの父である村井純氏によると「これらの技術は全て実証実験は終了しており、実現の方法を探る段階に来ている。2022年という区切りを、逆に実現加速のためのきっかけにしたい」と言っていました。

とのこと。2022年まであと12年。12年前はテレビもまだブラウン管だったし、インターネットも検索よりもディレクトリサービスが主流でした。携帯電話もEメールが使えなかったくらいです。12年後はどうなるか想像もつきませんから、もしかしたらその予想も超えているかも知れませんね。

 ・・・少なくとも、自動翻訳装置は欲しいなあ・・・


ソニー発 夢の「巻き取りディスプレイ」発表

2010-05-26 20:16:23 | Technology

 ノートPC、携帯ゲーム機、そして携帯電話。扱う情報が多くなるにつれ、一画面の情報量も飛躍的に増大しつつあります。それにつれて、それぞれの利用スタイルに合わせた限度はあるものの、画面が大きい方が一概に操作しやすい場合が多いです。3.2インチでVGAクラスの解像度も今や珍しくなくなってきましたけれど、例えばフルブラウザを利用するときの文字の細かさは、操作をする上での大きな障害になりがちです。

 しかしながら、「大きな画面」は「筐体のサイズ」とトレードオフの関係にありますから、例えば携帯電話を持ち運ぶ場合はせいぜい手のひらに収まるくらい。モバイルPCだと、無理なくビジネスバックに入るくらいという制約が当然出てきます。液晶画面は堅い一枚板ですから、その関係を覆すことは不可能です。例えば、5インチ程度の携帯電話とか、15インチオーバーのモバイルPCというのは、存在としてアリかも知れませんが、現実の運用としてはたぶん無しでしょう。

 逆に言えば、画面というのは筐体の大きさを決める最も大きなファクターだと言えます。

 では、その画面がもっと柔軟に収納できたらどうか?今回ソニーが発表した巻き取り可能な有機ELディスプレイは、これまでの常識を覆すデバイスを生み出す下地になるかも知れません。

ソニー、紙のように巻き取り可能な有機ELディスプレイ――デモ動画も公開 RBB TODAY

 ソニーは26日、厚さが80μmで柔軟性が高く、細い棒状に紙のように巻き取ることが可能な4.1型有機ELディスプレイを開発したと発表した。

 デモ動画がリンク先にもありますけれど、確かに動画を表示しながら巻いたり伸ばしたり・・・なんというか、まるでCGで作った特殊効果でも見ているかのような、非常に不思議な映像です。

 このディスプレイが普及するならば、ノートPCにしろ携帯電話にしろ、そして電子ブックリーダーにしても、これまでとは一線を画す製品が世に放たれることになりそうです。
 普段はちょっと太めのサインペン程度のスティックで、必要なときにはタブロイド紙程度の大きさにまで広がる電子ブックリーダーなんて物が真っ先に頭に浮かびました。タッチスクリーンは難しそうですけど、ポインティングデバイスを工夫しさえすれば、ポケットに入る14インチタブレットなんてのも夢じゃなさそうです。

 なんというか、久々に、直球の「未来」を感じさせるデバイスですね、これは。今後の展開によっては本当に世界を変えるかと思いますので、進展が非常に楽しみです。


SED、墜つ コストダウン難しく

2010-05-25 22:44:08 | Technology

 今、主流となっている液晶テレビ。しかしながら、ほんの数年前までは、まだ群雄割拠だったんです。もちろんPCのモニターについてはほぼ液晶の独壇場ではありましたが、当時は「液晶ディスプレイは大型化が難しい」とされていましたので、テレビについてはまだ残っているプラズマはもちろん、リアプロジェクション他、様々な方式の研究開発が、事業化に向けてされていました。

 その中でもひときわ注目を集めていたのが、キヤノンが中心となって進めていた「SED」です。簡単に説明するならば、小さなブラウン管を画素数分並べるというもの。これによって液晶の弱点である動画追従性や高輝度、コントラストを実現できるという技術で、2006年のCEATECで試作機が発表されたときは、その画質の高さから大きな話題となりました。

 あれから早4年。一向に量産化の兆しが見えないまま、ついに民生機開発の終了が宣言されました。

キヤノン、家庭用SEDテレビの開発を中止 AV Watch

 キヤノンは25日、家庭用テレビの事業化に向けて研究開発を続けていたSED(Surface-Conduction Electron-emitter Display)について、テレビ向けとしては開発を中止する事を明らかにした。「量産技術の研究を進めていたが、価格下落が続く液晶テレビなどと比べ、コストダウンが難しい事が大きな理由」(広報部)だという。

 今後は業務用や教育分野などでの活用を目指し、研究開発は継続。SED株式会社はそのまま存続するという。

 研究開発は続けるものの、テレビは中止・・・期待の技術だっただけに、非常に残念な結果です。とは言え、コストダウンがネックとなっていたと言う事なので、商品化されていたとしても買うことは難しかったかも知れませんね。

 確かに、液晶テレビの価格下落はすさまじいものがあります。かつては「1インチ1万円」なんて言葉が大きなセールスポイントになっていた時代もあったのです。現在ではミドルレンジの32型で5万円台、40型付近でも10万円以下なんて製品があるのですから、正に隔世の感があります。量産化を前に、この流れに付いてくるのは難しいでしょうね。

 いずれ、液晶も時代遅れとなるときが来るでしょう。そのときに、液晶の「次」はいったい何が来るんでしょうか?少なくとも、これでSEDである確率はずいぶん低くなってしまったようですね。


ブルーレイの”次”となるか 新材料発見される

2010-05-24 19:48:49 | Technology

 CDにDVD、Blu-ray・・・こういう新メディアの話のというのは、これまでも幾度となくされてきましたが、実際に世にでたのは一握りもありません。最終的に普及するのは、業界全部を巻き込んだ規格争いを勝ち残った1つだけ・・・こう改めて書いてみるとすごい世界ですよね。

 しかしながら、それはまごう事なき現実です。そして、人が情報の蓄積を、さらなる高画質を求める限り、メディアの開発も続いていくのでしょう。今回、そんな世界に飛び込もうとする新たな素材が発見されました。

光記録媒体:新素材発見 ブルーレイの200倍情報記録も 毎日jp

 大越教授らは、おしろいの原料や光触媒として広く使われている酸化チタン類に着目。チタン原子3個と酸素原子5個が結合した「五酸化三チタン」のナノ結晶(粒径8~20ナノメートル、ナノは10億分の1)を作り、性質を調べた。この結晶は、電気を通しやすい黒色の粒子で、紫外線-近赤外線に相当する波長のレーザー光を当てたところ、結晶構造が変化し、電気を通しにくい半導体的な性質に変わった。その逆の変化が起きることも確かめた。最も一般的な「二酸化チタン」のナノ粒子を、炉内に水素を吹き込みながら加熱することで、この結晶を簡単に作る方法も開発した。

 何でも、レアメタルを使うDVDやBlu-rayのメディアに比べ、新素材は格段に安く作れ、材料も潤沢。また、Blu-rayの200倍の情報を記録できるとか・・・と、最後の所はよく分からないですが、原文だとこうです。

光記録材料として使えば、ほぼ同じ強さの光でブルーレイディスクの約200倍の情報を記録できるという。

 「1枚にブルーレイの200倍の情報を記録できる」ではなく、「ブルーレイの200分の1の出力で記録できる」と言う事でしょうか?このあたりはよく分かりません。ブルーレイの200倍って、密度的には新素材だけで何とか出来る次元じゃない気がしますけど・・・。

 なんにせよ、安価でレアメタルを使わない新素材というのは魅力的です。個人的には、容量はブルーレイ並みでも良いので、ブルーレイを置き換える事が出来るディスクを安価に製造できるなら、それだけでも十分価値があると思います。

 さて、今回の素材は、新たなメディアとして形をなすことが出来るでしょうか?


モバイルも広告まみれになってしまうのか

2010-05-23 23:59:59 | Thinkings

 かねてから懸念のあった、GoogleのAdMob買収が承認されました。AdMobはモバイル広告企業で、合併により市場の占有率が高まり、競争を阻害する事が懸念されていたのですが、AppleのiAd立ち上げによって「その心配はない」と判断された模様。

GoogleのAdMob買収、FTCが承認 AppleのiAd立ち上げが判断材料に ITmedia

 FTCは、有力な2つの広告ネットワークの統合は独禁法上の問題を引き起こすと懸念したが、iPhoneのメーカーである米Appleの市場参入を筆頭とする最近の市場の動きでこの懸念は薄れたという。AppleはAdMobと競合する米Quattro Wirelessを1月に買収し、同社の技術を採用した独自のモバイル広告ネットワーク「iAd」の立ち上げを4月に発表した

 もちろん、これらの判断にはiAdだけでなく、マイクロソフトのWindows Mobile 7やHPのPalm買収と言った動きも加味されているらしいです。新興市場とも言えるモバイル広告事業に、いきなり巨大資本同士の熾烈な競争が持ち込まれることになりました。

 ここで私が個人的に懸念するのが、モバイルも広告まみれになってしまうのかと言うこと。モバイル端末、とりわけスマートフォンの画面は小さく、広告を見せようと思ったならPCとは比べものにならない画面占有率が必要になります。例えば、すでに発表されているiAdは、iPhone画面の実に8分の1を占有するそうです。つまり、他の端末にしても、本気で広告を「見せよう」とすれば、それくらいの占有率は必要であろうということが示されています。これは、アプリを使う上でもウェブを扱う上でも、非常に大きなデメリットです。

 今後も事業ベースの無料アプリについて、手っ取り早く収益を上げたいなら、広告モデルに頼らざるを得ないでしょう。これまで同様、PCで培った「無料」事業モデルに寄りかかるなら、もうそれしかありません。
 しかしながら、それによって操作性その他まで大きく犠牲になる広告モデルを本当に選択すべきか、開発者もユーザーも考えるべき時に来ているのではないでしょうか。

 逆に言えば、モバイル分野においては、課金市場をしっかり根付かせる必要性が、今こそ生まれてきたとも言えるのでは。何度も試みられたものの、結局今まで成果の上がらなかったこの問題について、明確な「課金のメリット」が生まれた訳です。これを是非追い風にしてもらいたいものです。


LEDでインターネット通信

2010-05-22 23:59:59 | Technology

 LEDと言えば、言わずと知れた発光ダイオードの略称。高効率・低消費電力・長寿命・省スペースと既存の照明に対して圧倒的とも言えるアドバンテージを持つため、様々な電子機器に内蔵されたり、電球の置き換えが進んだりしています。変わり種の利用法としては、ちょうちんに使うろうそくの代わりとして使われたりもします。

 さて、この明かりとして非常に有用なLEDですが、今回、照明として使いながら無線通信も出来てしまうと言う技術が発表されました。

青色LEDを使った無線通信、中国で2Mbpsを達成 engdget

中国科学院が、青色LEDを用いたインターネット通信の研究を進めています。LED通信は、LEDの点灯を高速に切り替えることで通信を行うもの。いわゆる可視光通信の一種で、日本でもLED灯台やLED信号機を用いた通信実験が行われています。そんな中で本研究の特長は、最速2Mbpsのインターネット通信を実現したこと。超高速というわけではありませんが、無線であることを考えれば悪くない数字です。

 LEDの点灯を高速に切り替えるとは言っても、毎秒200万回だそうなので人間の目では点灯しっぱなしにしか見えないとか。また、電源ケーブルをしっかりとシールドしておけば、生活空間で通信に使われるのは可視光のみです。そのため、医療用機器などの電波に対してデリケートな機器に悪影響を及ぼさないというメリットもあるそうですよ。

 ところで、この記事を見たときに一番初めに思ったのは、可視光は遮蔽物に弱いと言う事。可視光に波長の近い赤外線を使ったテレビ等のリモコンが、手で受光部・発光部を遮ってやるだけで全く動作しない事実を考えると、通信経路や受光部・発光部についてはレイアウトを考える必要がありそうです。・・・少なくとも、PDAに使うのは無理くさくないでしょうか?

 今のところ家庭内ネットワークを構築する、最も普及している無線規格はWi-Fiですが、今後、冷蔵庫やエアコンまで統合するIPv6時代の家庭内ネットワークの主役はそれ以外の何かが普及していても全くおかしくありません。たぶん二・三種類くらいの規格が混在するハイブリットなネットワークになると思いますけれど、その中にこの可視光通信が含まれることになるかも知れませんね。


独自OSタブレット「joojoo」、日本発売決定

2010-05-21 23:59:59 | PC

 かつて、TechCrunchというサイトで進められていたガジェット企画がありました。

 そのコードネームは「CrunchPad」。かのサイトの編集長が、「自分が使いたいけど、誰も作ってくれないから」というすがすがしい理由で立ち上げを決意した、Web特化型のタブレットPCです。
 Atom+IONという、iPadやAndroidとは違う、PCそのままのアーキテクチャを利用したそれは、高速起動とすべてのWeb標準に準拠し、「部屋中どこでも」PCと同じ完全なWeb体験が気軽に実現できる事を前提に考えられた製品です。ちなみに、このブログでも、開発が報じられたときには紹介していたりします。

 しかしながら、ラグジュアリーWebの理想を追い求めたCrunchPadはついに世に出ることはありませんでした。いわゆるお家騒動と言うヤツで、組んでいた製品製造会社の裏切りにより、開発成果を全部横取りされてしまいます。その後、編集長の全く意図しない形で、名前を「joojoo」と変え、世に出ることになりました。
 しかも、このようなスタートアップデバイスには珍しく、日本での展開まで始めてしまいました。さすがアジア系。

Fusion Garage、NVIDIA ION搭載iPad型スレート端末「joojoo」を国内発売 PC Watch

 iPadのような形状のスレート端末。米国では2009年12月に発表、3月末から出荷が開始された。プラットフォームにはNVIDIAのIONを採用し、CPUはIntelのAtom N270(1.6GHz)というx86構成。メモリは1GB、ストレージは4GBのSSD。OSにはLinuxカーネルをベースに独自で開発したWebブラウザOSを搭載。液晶は静電容量式マルチタッチが可能な1,366×768ドット表示対の12.1型。インターフェイスは、USB 2.0、IEEE 802.11b/g無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、130万画素Webカメラ、音声入出力を装備する。

 走るOSについては、言うなれば完全にChromeOS対抗。つまり、Webのみです。仕様その他をばっさり切り捨てたものの、外部ストレージによるメディアファイルの再生には対応する模様。なお、現在公式ページで注文受付中。6月1日から出荷予定となっています。

 開発の経緯については色々と憤るところもありますけれど、その仕様や思想は魅力的です。ただ、価格が約44,999円とネットブックよりもちょっと高いですし、iPadともろに競合しますので、知名度的にも大変厳しいでしょうね。

 しかしながら、かの編集長が思い描いた理想のウェブ体験には興味がありましたので・・・注文しちゃいました。本体+専用スタンド+送料で、計50,397円。人柱頑張ります。届いたら、何らかのレビュー記事を書く予定です。ちゃんと日本語入力出来るようになってれば良いけど。