CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】長女たち

2014-08-08 19:43:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
長女たち  作:篠田節子

まじめな小説をと読みました
思った以上にまじめなというか、
軽々に私ごときが語ることは許されないと
なんとなし、恐れ多いとは違うのだが、
気後れのようなものを覚える
そんな重い内容でありました、読後感もどんよりであります

長女という生まれをキーワードに
実の母が老いる、呆けるということに対して、
責任を背負うといった重苦しい内容でありました
この老いというか、呆けの部分、
またそれをとりまく、世間、環境、医療というのが
緻密に描かれすぎていて、手に触るように伝わり
恐ろしいのでありました

もっとも、そういう重たいテーマをひきずりながらも、
死生観のようなものも考えさせられるところで、
非常にあれこれと、深く想いをめぐらされた小説でありました
何よりも文章が上手い、抜群に読みやすい、
だからこそ、こんなに重い内容なのに
さらっと読めてしまった、これは驚愕でありました

少しファンタジーとも思えるような、
ボケを迎えた母親と、そのボケが見せる幻覚によって
人生を左右され、不思議と救われていく娘の話が
これまた、非常に秀逸でありまして
最後のくだりにて、様々な経験というか、
状態を経た後に、立ち上がる姿を描写するかのように
電子辞書に電池を入れる所作を
「弾丸をこめるように」と描かれていまして、
凄まじく感動しました
ありありと映った、そして、その気持ちまでもが伝わってきた
凄い文章だと感激したのでありました

また、内容にしても当然のようにすばらしく、
少し、親の老いとは離れた話でもある
死生観を語った、遠いチベットのお話は、
そこに老いが存在しないかのような生き方というのに
何か、抗えないものを感じたりさせられて
これもまた、秀逸きわまりないと
ともかく、満足したのであります

非常によい文章と内容で、
他の作品も読まなくてはならないのではないか
そう思わされた、凄い作品でありました


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