CLASS3103 三十三組

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【読書】怪しい店

2023-07-03 20:59:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
怪しい店  作:有栖川有栖

推理小説家と犯罪学の准教授が謎解くミステリ短編集
お決まりの二人が、いくつかの事件をささっと解決するというお話で、
推理も面白いし、会話も独特の間がよいと、
別に謎解きに挑もうなどと思わなくとも、ただ、物語を読んでいるだけで
わくわくとするといえばいいか、楽しく小説に没頭できる
とてもよい作品でありました

基本的には殺人が絡む物騒な事件が多いのだけど
一遍だけ毛色の違う未遂めいた、あるいは、霊きたる的な内容のものがあって
こういうのも人情味というか、ミステリならではの動機の部分が色濃くて面白いなと
感心しながら読んだのでありました
推理というか、何か事象をどう考えるかというのが自然であると
ただそれが披露されるだけで楽しいと思えるから
この小説シリーズは好きだなぁと思えてしまうのであった

トリックと動機の両方を謎解くでもないけど、
色々と考えていくと、こういうことかと行きつけるというのがだいご味だと
改めて思い知るような、素敵な小説なわけだが
火村准教授が、はたして心に何を抱えているのか、
それは、どれかの短編で明かされたことがあるんだろうか、
あるいは、明かされることはないんだろうかと不思議に思いつつも、
そこはそれ、ただ二人が謎をさらっと解いていくというその姿だけで
なんとも楽しいという、ある種キャラ物小説だと思うのでありました

結構人間観察というか、動機の論理性みたいなところをクローズアップしている短編が多かった印象で、
サイコパス診断の話なんかも面白いんだが、妙な偏屈がまねいてしまう事件というのが
ありえないミステリを可能としてしまうような不可思議があって、
人間こそミステリそのものだと思わされるようでもあってよかったのである
自分の中だけでは、ちゃんと理路整然としているけども
傍から見ているとそうではない、独りよがり、独善といったものが見えるものだなと
襟を正したくなるような内容も多くてよかったのである

犯人の身勝手さというのは、案外、誰の心にでもありそうだと
読んでて思わされたのであった


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