CLASS3103 三十三組

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【読書】農協のフィクサー

2023-08-23 20:56:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
農協のフィクサー  著:千本木啓文

京都JAの影の支配者と呼ばれる中川泰宏という男について糾弾した本
個人に対して、ここまで敵対した本を読むことはおおよそなかったと
衝撃的だったんだが、日本の地方政治史として
大変読み応えのある面白い内容でありました
特に半分くらいが、野中広務との対決に割かれていて、
正直、野中と肩を並べるほどだったかは疑わしいが、その泥臭い戦い方というか、
こと、局地戦で勝てるかもしれないという怪しさがあって、
また、時流が小泉改革の時で、その小泉チルドレンとなっていたというあたりからして
いかにも、日本の政治史に名を刻んだといえるような魑魅魍魎の蠢く姿というのが
まぁ、なかなか、読んでいて面白い
けど、本当にもう、この国の国政はどうなってんだと思わされるところだが
もろもろ、平成という時代が、日本がまさに変化していくその瞬間を捉えているようで
面白かったのでありました

と、まぁそういう政治劇としての読み物だけならいいんだが、
実際のところ、凶悪といっても差し支えないほど
政治を利用しているというか、これこそが地方の政治家といわぬばかりの
老獪さというか、しぶとい強さというのがあって、
こんな感じなのに支持率が全然なくて、さらに、政治家をやめてからも、
JAの要職はずっと続けていられるという
これまた、地方政治とかと別の政治という競争に強いということが
ありあり伝わるような、凄まじさがあって驚きであった

組織をまさに牛耳っているというか、
ともかく凄い力が、どうやってでてくるのか、
それについてはよくわからないの一言なんだが、
ともかく、悪いことをしているのは間違いなさそうで、
この記者が、それこそ命をかけて調べている鬼気迫るものも感じられて
面白い読み物でありました
けど、やはり小泉狂騒の頃が面白すぎて、この男の悪い部分よりも、
そこの方が目立ってしまうというのが残念なようでもあるのだけども
ともかく京都にまだいて、そして影響力を持ち得ていそうだと思うと
なかなか恐ろしいことだと感じるばかりなのでありました
傑物というではなく、化け物というのがふさわしいだろうか
凄いのは確かだが、悪名であろう

そして、こういう輩をのさばらせてしまい、
なんなら税金を利用させる立場に食い込ませてしまうという
日本の政治システムの脆弱さというか、そういうのばっかりなんだなというのを
改めて思い知るのでありました
そういうのじゃないと、回せないという話もあろうが、
あまりにも、国政に向かない、地方政治に向かない、そういうことを無視しすぎではないかと
力なき正義の虚しさみたいな話になってしまうのであった


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