CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】身の上話

2014-08-13 19:50:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
身の上話  作:佐藤正午

またもドラマ原作本であります
NHKのドラマにつきましては、
最初コメディだと勘違いしていたので、
その本質をまったく感じ取れなかったというか、
面白さを味わえなかったと
地団駄を踏んだのであります
そういうわけで、オチまでわかって
こういうミステリというか、サスペンスを読んで
面白いだろうかなんて、
いらぬ気を回しながら読んだのでした

面白かった、そうか、こういう小説だったんだ

ドラマが悪かったというわけではなく、
だけどもこの話しは、小説で読むべきだなと
独特な一人語りで進む不思議な文章と
引き込まれて、読み止めどころがわからない感じが
病み付きな物語でありました
読書体験として楽しい、次は次はと
引きずられていくというのは、楽しい限りでありました

内容は、ひょんなことから2億円の宝くじに当選した書店員
ミチルが、その2億円をめぐったり、めぐらなかったりの内に、
事件に巻き込まれ、流れ、逃げて、旅をしてと
そんな一通りの末にといった感じのお話であります

様々なキャラクタが出てくるというのに
文章は全て、ミチルの夫なる人物の独白でありまして
そのオチというか、どうしてそうなのかという最後が
なかなか考えさせられるというか、
色々とめぐったものが終わった、
そう思わされるようなつくりになっておりまして
非常に面白かったのであります

難しくて、哲学めいたやりとりなんかが
随所に出てくるといったタイプではなく、
平々凡々の毎日が、少しずつ壊れていくかのような
いや、違うな唐突に壊れるな
ともかく、なんだかわからない未来へと
流されていくミチルという女性を
語り口で追いかけていくと、なんというかな、
追体験といったらいいのか、
はらはらしたり、予想通りに哀しいことが起きたりと
そんな風になっていくのでありました

先にドラマを見ていたおかげか、
より鮮明に場面を想像できて
楽しいかぎりでありました
小説特有の楽しさもあるとか、
偉そうなことも感じられて、満足な読書体験でありましたとさ


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