CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

犬身

2008-02-14 21:52:22 | 読書感想文とか読み物レビウー
犬身  作:松浦 理英子

作者のことはよく知らないのですが
ネットの評判で、なんかそこはかとなくエロいらしいと
聞いたがばっかりに読んでしまったのですが
読んでから気付いた
ああ、エロ本じゃない(当たり前だ)
そんな脳味噌がヨーグルト状になっている昨今ですが
ばっちりと読み切って、ちょこっと感想をば

あらすじとしましては、犬になりたい
っていうか、私は多分犬なんだわ、そう信じてやまない女の人が
奇妙キテレツな経験をした後、なんか生き抜いていく話
生き抜いていくというのか、なんだろうな
幸せとは何かを捕まえる話というのか
ともかく、物語の本質の部分が多分にネタバレなので
書くことをためらわれてしまうのですが
面白かったのでよしとします

哲学をさせるというわけじゃないが、
主人公は狂言回しの位置で
もう一つの対象をずっと眺めていく
そんな小説なのですが、そのもう一つの対象が面白い
主人公視点なので、強烈に補正されているその対象なんだが
その主人公視点から、頑張って読み手が目を外してみると
なんともステキな風景というか
一種猟奇にも似た、精神的にグロイ構図
そして、嫌悪感を催すナイスな作品であります

もう一つの対象は女性なのでありますが
その女性に纏わる男が最低窮まりないのだが
これが、こつこつ描写を重ねられればられるほど
また、主人公ともう一つの対象が少しばかりタガが外れてるというか
どこか普通じゃないせいなのか、
最低な男の生臭いところが、尋常ではない腐臭を漂って見える不思議
個人的にはみんな同じくらい頭おかしいように思えるのだが
その中で、特に生々しいというか、生臭さみたいなのを
その最低の男から感じるのであります

そして、自分としては
この男がすることなすこと、描写されることのそれこれ
自分に酔っている描写
傍観者の主人公が圧倒的な冷徹さで罵るその姿が

読み手である私の人生に似ているところがあるようなという
とんでもない恐怖に取り付かれて、個人的には大満足でありました
だから俺はこんななのだ、よく見てごらん
どこが違うというのだ、このどうしようもない堕落の上にいながら
不遜で傲岸な態度、まったく俺だ

とか、鬱っぽい人は読まないほうがよかろうなとも
思うのでありますが、そんな暗うつとしたものばかりでなく
ポップとは言わないが、もう一人の傍観者の
ニヒルさ、作品中では人間味がないと称されるその言葉が
軽々しく、汚い物を、そんなもんだろうと
笑い飛ばす、どちらかというと侮蔑の方向に飛ばす
そうやって楽しませてくれるのでありました

まぁ、なんというか他人との関わり合い方と
愛とがテーマなんですが、それは性とか関係ないんだと
そう思えてしまうような
なかなかなお話でありました

書きたいだけ書いて、結局何書いているか全然わかんなくなりましたが
とりあえず読んだという報告をしておくのでありました


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