CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】対岸の彼女

2021-06-21 20:42:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
対岸の彼女  作:角田光代

2004年の直木賞受賞作であります
15年以上前の作品だけども、描かれていることは
今もまだ、くすぶっているというか、今ならそれがより認められつつある
そうともいえるような、女性のぼっち感について、
その戸惑いと、それと違うところにいる人、
女の友情というのを描いていたように思うのでありました
物凄く面白いという、ぐいぐい引っ張られるものではないんだけど、
過去と現在をオーバーラップしていく構成で、
主人公の一人の過去と、現在の姿があまりにも違いすぎて
なんで、どうしてと感じつつ、
人が生きてきたというのは、こういうことなのかもなと思わされる
非常によい物語でありました

内向的であるというよりも、突発的に起こるいじめ問題という過去があり、
とかく、群れておかないといけないような、不可思議な閉塞感が描かれる
これは女性特有のものなのかもなと思ったりもするんだが
その居心地の悪さ、カーストとグループとのあり方、
それによって、傍観していることの罪悪感みたいなのが、
形容しがたい、真綿となって首を絞めてくるような
窮屈な感じがよくよく伝わってきて切ない

そういった過去があり、今、自分の子供が同じようになってしまうんじゃと
戸惑う中で、自身も変化をしていく、あるいは、させられていく出会いがあってと
このまた、出会った人もまた、過去に様々なことがあったのだと
説明しないので、読み手だけが知っている事実が、
誤解されてそのままにされるというのが、またまたとてつもなく歯がゆい
そして、この窮屈な過去というのが、二人の女性でクロスオーバーしているというか、
ミスリードされているのが秀逸だと感じるのでありました
読み手もわかってんだが、もう、どっちの過去だかわからなくなってしまうのがいい

最終的には、ハッピーエンドといえるのか、
次へという気分になる終わり方なので
清清しく読み終えられたのであります
いい物語を読んだ


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