goo blog サービス終了のお知らせ 

CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】台湾文学コレクション1 近未来短篇集

2025-07-02 21:05:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾文学コレクション1 近未来短篇集  作:伊格言

台湾の現代作家による短編集
SF小説特に、未来を描いたもので、脱人間化しているような話しも多くて
こういう話しに国境はないなと思いつつ読んだのである
と、そういう読み方をするのがよくないなと思いつつも
台湾ぽさがあるもんだという偏見に引っ張られた感じもあって、ちゃんと含意を捉えられなかったので
本来もう一度読み直してこそと思わなくもないのだが
とにかく読んだのでいったん書いておく

未来という言葉が便利すぎるというか、
今はあり得ないことが、なぜかかなうようになっている
それは多分進んだ科学によってという前提によって出来上がっているのだけど、
人の感情を運ぶという仕事だとか、
アンドロイドをどう扱うかといった話しだとか、
バーチャルアイドルを取り扱う話しだとか
ありそうな、なさそうなというのを軽々と超えていく感じで楽しい短編でありました

とはいえ、悲しいというか、切ない物語もあって
こっちの方が近未来と相性いいのかもなと思ったりしたのでありました
時代や技術や化学が何もかもが進んで、色々なことがわかるという便利そうな世の中だけど
そこについていけない、そういう読者側の現代と共鳴するみたいに、
置いて行かれたというか、孤独みたいな話しがしっくりきていいなと
SIRI的なやつと話をする物語を読んで思ったのである
このあたりは、近未来のようだけど今でもありうる話しだというのが
いいのかもしれない

バーチャルアイドルの話しが日本が舞台になってて
しかも、結構詳しい感じで驚いたのだが
別に日本と何か関わりがあるというわけでもないようで、どうしてなんだと不思議でならなかったのだが、
むしろ、そのことによって、やっと台湾らしさみたいなのが感じられたと思うところ
バーチャルアイドルを使った詐欺事件という
ロマンス詐欺の新しいバージョンみたいなのなわけだけど、
そこで、それを仕掛けた二人の男女が、日本共産党員だったというくだりがあって、
この選択が、日本の作家からは絶対でてこない日本描写だなと衝撃だったのである
あまり政治がという話しに捉えたくないのだが、
そういう政党というものを一種のカルト宗教ともなぞらえるようになっているのが興味深く
これは、他国の近未来を借りておきながら、実際社会における
あらゆる政党、それも、先鋭化していくそれがすべてつながるかのようにも思えて
なんとも不思議というか、興味深かったのでありました

まぁ、割とわかりやすいメタファーをアバターのようにした
コメディタッチのもあったり、なんだかんだ、色々なジャンルを読めたようで
なかなか楽しいアンソロジーでありました


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。