CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】花まんま

2021-06-26 21:06:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
花まんま  作:朱川湊人

不思議な話の短編集でした
主に大阪、時折その周辺といった、関西を舞台にして
基本的には子供の視線から世間を切り取ったような物語が多いんだけど、
現代版の昔話といった趣の内容でありました
表題作がしんみりとよい内容で、
花を弁当に詰め込んで、「花まんま」というおままごとがあるなんて
まったく知らなかったんだが、これがいいアクセントというか
いい話で、しんみり泣ける感じでよかったのでありました

基本的に子供が中心なので、どっか抜けているというか、
ちょっとぼんやりしている、なんかふわっとしている感想とか、
見も蓋もない発言(脳内での感想なんだが)があったりして
思わず笑いを誘われる感じも明るさがあってよかった
よくよく考えると、ちょっと悲しいお話かもという感じなんだが
悲壮感とかは、あまり見えない感じで、でも、仄かにそういったものの気配を感じさせて
それでいて人情話としてよくまとまっててといった感じで
物凄い感動とか、抱腹絶倒といった感じではないけど
楽しく読める小説でありました

ちょっとしたホラーみたいな話もあったりして、
「妖精生物」なる話なんかが、若干芥川賞じみているというか、
世間の裏側に引き込まれそうな内容だったけども
子供視点だから、そういうこともあるのかと
理屈を越えたところに、ありそう、といった特異点をついているようで
面白かったのでした

葬式のときに、嫁(これも内縁なんだけども)以外の女が来るまで
霊柩車が動かなくなるという、笑っていいのかどうなのかという話も
衝撃的というか、思わず笑ってしまったんだが、
こういうことがあったらいいなと思わせるところで
一番好きだったと思うのであります

子供だから、悲惨にならないことってあるよなと
生きていくうえでの交々について
ちょっと考えてしまう内容だった
おそらくは飛田新地と思しき場所が出てくる話も、
鮮やかな不可思議さが見事で、しみじみしたのでありました


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