CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】日立の壁

2023-09-04 21:05:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
日立の壁  著:東原敏昭  

V字回復した日立のそのあとを引き継いで、
なんとかさらなる発展の嚆矢をつけた現会長による、
自叙伝でもあり、日立のここ数年の記録であった

あんまりチェックしてないというか、
いまいち日立という会社を知らなかったのは、ここに書かれている通りで、
エレベーターと電車と電力の会社というイメージだったわけだけど、
そういう製造うんぬんではなく、制御系の仕事をしていたんだと、
富士通とかとはまた、違う路線なんだなと初めて知ったわけである
そして、そんな会社が、とんでもなく危ない状況から、
なんとか生き返ったという事実があって、
その頃のこともまた、ここにはよいことしか書かれていないので気になるものの
サラリーマン社長という難しさがよくよく出ていて、
経営に正解がなく、色々な要因によって、とる戦略が変わり、
それを実行できる力があるかどうかというのが、経営者の資質なんだと
知ることになる一冊でありました
凄い大変な仕事だわ

大企業病と、簡単に言い当てていそうな
結構複雑で、重篤な病にかかっていた日立をなんとかしないとと、
かなりドラスティックに立て直しを行ったんだが、
今度はその手法によって、さらなる成長が見込めなくなったので、
元の木阿弥ではないが、さらに違う組織変遷を実行せねばならないという
並大抵のことではないそれをやってのけたお話で、
ここでは、地道に頑張って、なんとかやってきたみたいな話だけど、
それこそここに書かれていない、すさまじい難儀があっただろうと思うところ
でも、現会長という立場もあろうし、そういうところは書けないんだろうなと
勝手に思ってしまったわけだが、
日立という大きな企業でそれをしたというのもすごいわけだが、
この病は、日本の中小企業でいっぱいはびこってるだろうけど、
こんな解決ができる会社は一握りもなさそうだよなと
自社のことも含めて考えさせられるのでありました

経営は、改めて人をどうするかという問題なんだと痛感させられるわけで、
どこかの部門で儲けるから、こっちはOKみたいな気持ちがあると
それがだめのもとになるというのは、わかっていても避けられないだろうし、
そういう感じじゃないと、投資もできないとか、
色々なジレンマがある中、それをバランスとってやっていく、
そして、それを決めるのは社長で、結果を出していかなくてはならないというのが
なんというか、凄い大変な仕事だと読んでいるだけで疲れるのであった

また次の世代へと受け継いでいくように、6年とかいうスパンで
会社をどうするか、それを試される社長という仕事について
凄く考えさせられるというか、日本の企業で社長を務めるとは
つまりそういうことで、能力だけではなく、この胆力がないと務まらないのだと
思い知らされる内容だったと思うのである

言葉だけなら、なんとでもいえるが、
すさまじい問題の山に身を置いて、私心など顧みる暇もなく
ひたすらに経営をしていくというのは、苦行以外の何物でもなかろうと思うのだが
社員もまた、そういう気持ちをもってあたる
そういう人が増えないと、強い企業とならないのだが、
これもまた、ブラック企業でもあるのか、違うのか、
そういう問題と異なる次元の話であるが、考えるばかりである