CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】物語のおわり

2018-12-30 21:24:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
物語のおわり  作:湊 かなえ

連作短編の物語でありました
一遍の未完成小説が、さまざまな人たちの手をわたっていき、
その都度、終わりが紡ぎだされて、連なっていくという
面白い趣向が楽しめました

物語そのものの終わりも気になるものの、
そこに至る進行形の人間ドラマが面白くて、
ついつい考えさせられるというか、
描いているのはありがちな「夢と葛藤、その手前にある邪魔」なんていうものなんだが、
それぞれの立場によって、出てくる内容のどこが敵とえばいいか、
かたき役となるかが入れ替わっていって、
非常に面白い読み方ができて楽しい
本来物語とはそういうものなんだなと
決めつけて読む面白さではないものも
なんとなし感じられてステキなのでありました

もっとも、そういうことが本筋ではなく、
北海道を舞台にした、旅人達がその場で出会うことで
何か、人生を拓いていくと錯覚してしまう、
独特の岐路が鮮やかに描かれていて、
結局は、自分がどうしたいか、どう思っているかという
願望の表れなんだなとも思えてしまうのだけど、
それをドラマとして認識してしまい、
これによって、物語が作られていくんだなというのが
まぁ、なんとも楽しいことこのうえないのでありました

嫌な展開が待っている小説かと
はらはらしていたのでありますけども、
人間ドラマをじっくり楽しめる内容で、
共感も反感も覚えつつ、
なによりも、この物語の終わりを堪能できたので
非常によかったと、読み終えて満足にたゆたうのでありました