CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】史伝 新撰組

2018-04-30 21:42:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
史伝 新撰組  作:三好 徹

久しぶりに幕末ものを読みました
よく聞く新撰組のエピソードをそれぞれ史実検証に基づきながら書いた
そんな感じでありまして、実際はどうであったか、
そのあたりを学習しながら読める一冊でありました
小説として面白く読める章と、検証作業に割きすぎの章があって、
正直なところ、池田屋事件という、最も楽しみなそれが
検証ばかりで残念だと思ってしまったのだけども、
色々な人が、当時のことを思い出して描いてきた
池田屋のそれは、随分思い違いがあったり、勘違いがあったりと
そもそもの日付についても、旧暦と新暦とでごっちゃになってたりなんて
あれこれあったようで、面白いと思えたのでありました

実際に何人の志士が死に、捕まったのかというのも
人によってばらばらであったり、
少人数で殴りこんだ新撰組の凄さというのが
よくよくわかってきたりして、これはこれで面白い
けど、時代劇の影響で、ばったばったやってたようだけど
実際はそんなはずもないのだよなと思わされたりしたのであります

あとは、油小路事件についても、藤堂を最初から近藤派ではないとして
御陵衛士のそれとして書いているのも面白く、
尊王をどうとらえていたか、当時の世相でもないが
一流で活躍した志士ではなく、
市井のといえばいいか、街中のそれこれにもあった思想というのが
この程度ながらも、熱くたぎっていたと読めて
面白かったのでありました
実際、ご一新という凄まじい偉業で活躍した様々な志士が語られるけども
その下に有象無象の政治かぶれた武士や、武士くずれがいたんだろうなと
新撰組を見ていると思い知らされるようで面白いのでありました

個人的に好きなのは、松本良順先生の話で、
家茂のファンであったという解説から、
近藤、土方を好きではないとしていた頃から
だんだんと惹かれていったと解釈しているのが小説としても好きで
こうあって欲しいという、新撰組の哀れといえばいいか、
それを語るのに欠かせない人だと
改めて思ったのでありました

そんなわけで、久しぶりに読んだけども
おおよそ新撰組の話は覚えているところと違いがないといえばいいか、
つまるところ、司馬遼太郎のそれこれは
やはり正しいところが多いのだと改めて思い知ったと
そんな風に読み終えたのでありましたとさ