CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】真夜中の北京

2015-12-08 20:48:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
真夜中の北京  作:ポール・フレンチ

辛気臭いというか、描写ばっかりで、
全然面白くない小説だなとか思いながら読んでたんだが、
中盤くらいになってくると、その描写が、
そのまま推理情景であることに気づいて、
そして、さらにこの小説そのものが、
これ、ノンフィクションなの?みたいな
恐ろしい衝撃を受けたりして、なんだろう
後半あっという間に読んでしまった
読まされたという感じであります

だいたいこれは、小説というジャンルでいいんだろうか

そんなことを思ったりしながら、凄い重さというか、
胸糞悪い事件だなぁと、ただただ、その鬱々としたところが
さっぱり晴れないのは残念きわまりないのだけども、
この小説の成立は凄いことだと
ドキュメンタリーめいて読めたのも
新鮮でありました
それも含めて、やっぱりこれは小説という
それではないようにも思うのであります
メッセージ性とは違う表現があるなんて
かっこいいことを書きたくなるような
そういう読後でありました

あれこれ書いてしまうと、というか
そもそも今まで書いたこともひょっとすると
ネタバレなんじゃないかと思わなくもないのですが
なかなか衝撃的な作品で、
読み応えたっぷりでありました

詳細な取材ということの凄さと、
執念というか、そこに人間の何かが見えるようでもあり、
それこれの手法というか、この感じが、
歴史家であったり、文士であるのだなと
作者と、主人公の人間の分厚さみたいなのが
ひしひし伝わってきてよかったのであります

ちょっと残念な部分もあったりで、
時代は日中戦争が始まるそのときといったところで、
その時の日本軍描写が、どうも困った内容というか、
南京の話が30万人で語られて、三光作戦という言葉が出てきてと
それは、違う史実も当たったうえで書いて欲しかったと
感じた次第でありました
だいたい、このあたりの描写がある必要ない小説だったしなぁ

そんな社会的なことも思わされたりしつつも、
ともかく、主人公とよんでよいのか、
その生き様というか、残したものについて
深く考えさせられた、なかなか読み応えのある本でありました