CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

「ワタクシハ」

2011-08-06 13:45:45 | 読書感想文とか読み物レビウー
「ワタクシハ」  作:羽田圭介

若くして成功した男が、ゆるやかに普通になり、
就職活動をするなかで、なにか成長のようなものを遂げる
そんなお話でありました

なかなか面白いお話で、さらさらっと読めてしまってステキ
日常生活というのか、生活していくなかで、
就職活動というそれに身を投じることで、
そこに加わるということすら、はすに構えていたような、
そういう幼稚というか、子供じみたというか、
高すぎる自尊心というか、そんなものと折り合いをつけつつ
主人公が、主人公の人生を生きていくというお話
劇的な変化とか、凄いどんでんがえしとかないんだけども、
結果的に変化したような、ずっと変わらなかったような
そういう、生きていくってそういうことよねなんて
読み手として、勝手に読み解いてしまえるところが
抜群にうまい小説だなと感じたのでありました

台詞回しとか、展開とかにも癖がなくて、
平坦というには違和感があるけども、
地道にというか、たんたんと毎日が過ぎていき、
その間に何を考えて、考えたうえでしゃべったかみたいなことが
つらつらと日記のように書かれているというのに、
だんだんと時間が過ぎてきたと、
ふとしたときに気づく演出というか、そんなのもステキで
なんとなし、就職活動体験をしたような
不思議な気分にひたれたのも凄いと思ったのでありました

就職活動なんて十年以上前かと、今の自分を見て、
働いてくるというそれは、能動的な選択だったかなんて、
考えもしなかったけども、考えていないからこうなのかとか、
いまだ、その幼稚というところから抜けていない自分にとって、
こういうのは刺激になるというか
娯楽になるなぁと、読み進め、没頭して気づいたのでありましたとさ

面白かったし、なんだか夏休みという、
世間的な空気間の今、特に映えたとか
感じたので書いておくのでありましたとさ