ベトナムに在住し日本語教師として働く日本人女性・小松みゆき氏が、認知症の
母との暮らしをつづった「越後のBaちゃんベトナムへ行く」を基に、フィクションを
交えながら松坂慶子主演で映画化した人間ドラマです。
主人公の母役に草村礼子が扮するほか、奥田瑛二、吉川晃司、柄本明らに加え
て、ベトナムの俳優さんも多く出演しています。監督は「ヒポクラテスたち」「津軽百
年食堂」などの大森一樹。松坂慶子が好演だし、草村礼子はすさまじい演技を見
せてくれていて、これだけでも見ものですが、ベテラン大森監督の手によって、一応
上手くまとめられているように見えます。でも正直言って原作をふくらませていると
言えば聞こえがいいのですが、あれもこれもとテーマを加え過ぎ、消化不良を起こ
しているきらいがあります。厳しい老人介護の挿話はよく描かれているのですが、
そのためにほかの挿話が吹っ飛んでいる感じでもあります。良心作だけにそのあ
たりがとても惜しい作品です。