Boeung Kak Lake, Phnom Penh
諫早湾の大規模干拓は悲しみであった。
あのときは確かに民主党や共産党もがんばって反対をしたけれど、国民の声を聞かない巨大事業は止まらなかった。
カンボジア、プノンペン。
トンレサップ川と同様、のどかで美しい風景をもたらしているボンコック湖は、今海外資本によって埋め立てられている最中。
ショッピングセンターができるという話も聞いている。
日本の企業だって手を貸してやしないか、気になる。
ホテイアオイの花が咲き、漁をする小舟に父と子が乗る。
そんな当たり前の風景が、次のときにはもう見ることができないのだろう。
次に手にする地図は、違うものになっているのだろう。
雨季には水はどこへ流れるのだろう。
漁をしていたあの親子はどこへ行っただろう。
カンボジアでは心ない開発に土地を追われる人たちが増えている。
農民が耕してきた田畑が、ゴム園などのプランテーションになり、工場用地にされる。
国民を守るはずの軍は企業に手を貸し、農民や村民を近づけないように警備まで買って出る。
腐敗そのもの。
ポルポトは終わったけれど、支配と被支配、本質的なことは何も解決していない。
マオイズム・共産主義ではないけれど、私的で歪んだ資本の力が今度は村の人たちをevacuate,
追い出している。
ポルポトを忘れ、経済発展しようとしている国。
だけど清算することもなく忘れてしまっていいのだろうか。
腐敗の構造はそのまま続いているのに。
背負ってしまった痛みは自らをさらに傷つけている。
カンボジアの本当の平和はいつ訪れるのか。
無力を噛みしめながら、あの人たちの笑顔にいっときの間そのことを忘れるあべこべの私がいる。
話は変わって日本。
新政権が急に打ち出したCO2の排出量25%削減という目標が非現実的、と批判されている。
非現実的なのは、これからもCO2をたっぷりと出しながら、地球の上で平穏無事に生きていけると信じる人たちのセンス。
このままを続けたら、地球はいい加減に音をあげて人間を追い出してしまうだろう。
本当に必要な目標のためになら、迷っている時間はない。
人はシンプルにも戻れるから、そしてその中にまた新しい喜びや楽しみを見出す力と知恵をもっているから。
私は目標を支持する。
そして目標のために必要な枠組みを、地球のみんなを巻きこんで、具体的・現実的につくってほしいと願っている。
いつまでも美しい地球に住まわせてもらうために、今、必要なこと。