自分の周りの空を写します
北東気流の街に生まれて
お母さんの思い出
『母だって、本当は山に登ってみたかったのではないだろうか、』
僕がニューヨークにブルース・スプリングスティーンのコンサートを観に出かけて、
おみやげに小さいクマのぬいぐるみをお母さんにあげた。
お母さんは病気になる前に僕に「さみしい時にクマさんに話しかけているのよ」と言っていた。
そしてお母さんはがんになり、僕はお母さんと一緒に生活する為に実家に戻った。
お母さんは夜中に寝ぼけて2階に上がって来て廊下に座り込んでしまった時があった。僕が心配して聞くと
『飛行機にハネがはえて迷っちゃった』と言った。
僕はその時はその言葉よりも、どうにか無事に下のお母さんのベッドまでお母さんを連れて行くかが大事だったけれど。
何とか無事に階段を下してお母さんをベッドに寝かせた。
それから僕はそのお母さんの言葉を大切に考えた。
お母さんは僕が楽しそうにニューヨークでブルース・スプリングスティーンのコンサートを観たことを話したのがうれしかったのだと思う。
お母さんに心配かけたと思う。でもお母さんは僕がやりたいことをやってアメリカまで行くのが誇らしかったのだと思う。
そしてお母さんも一緒に行きたかったのかなと思う。
それで夢の中でお母さんは僕を追いかけて飛行機に乗ったのだと思う。
お母さんは生涯で一度も飛行機に乗らなかったと思う。
僕だけ何度も乗ったけれど、いつも僕のこころの中にはお母さんがいて、一緒にアメリカに行って来た。
僕がブルース・スプリングスティーンのコンサートをブルースのすぐ近くで観たと夢中になって話すのを聞いて、
僕のアメリカでの姿を思い浮かべたのだと思う。
そんなことが、本を読んでいたら思い出して来た。
僕はお母さんを思い出して涙が流れて来た。
お母さんが亡くなってからやっと初めて泣いた。
お母さんありがとう。
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