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母の罪

今日は仕事が休みで晴れたので窓を開けて風を通そうと思って実家に行った。
居間でついでに押し入れも開けようと思って開けて思い切って片した。
この部屋は20年位前は僕の祖母が居た部屋。
祖母の子供がみんな早死にして僕の母が祖母を看ることになった。
母は祖母と仲が悪かったらしい。
でも他に看る子供がいないので母が看ることになった。
当時、僕は僕の病気が治りかけで微妙な状態だった。
そこで父母は僕の病気を祖母には伝えず僕を大切にして祖母に距離を置いた。
その後、祖母は5,6年元気だったが体調を崩して病院で亡くなった。
母は祖母に冷たく接して父も僕も離れて接した。

そしてその後10年位僕と父母でこの家で暮らした。
父ががんで手術して入院した。
病院で母は父の看護に疲れて父につらく接した。
父が他の患者はあんなに夫婦で仲がいいのにと言っているのを僕は聞いた。
そして父は病院で亡くなった。

僕は祖母にも父にも優しくある程度親しく接しられた。
母が大変な部分を引き受けて僕はおいしい役割をやらせてもらった。
でも母は父につらくあたったことに後悔したようだった。
そして母は昔若い頃に通った教会を思い出して、近くの若い頃に通った同じ系列の教会に行くようになった。

僕は母に頼まれて深く考えず母が喜ぶのならと思い、教会で母の前で洗礼をしてもらった。
母は若い頃は楽しみも無くて教会が青春だったと僕に言った。
僕は聞き流していた。

今思うと母は自分の罪の意識が相当強かったのかもしれないと僕は思う。
僕が心を痛めないように嫌なことをみんな母が引き受けて、母が罪を負ったのだと思う。
母はつらかったと今は僕は思う。

居間の押し入れには祖母の物も残っていた。
それを僕は今日、片した。
僕が苦にならないように母が嫌なことを自分でしてくれた。
僕は僕なりにいい役を演じさせてもらった。

そして僕は母の死には僕なりに大変なことも引き受けてこなせたと思う。
少なくとも僕は母が思っただろう後悔はしていない。
少なくとも母の犯した失敗はしなかった。

僕は今、教会に通っている。
母の為に入った教会。
今は僕の為に通っている。
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