薮内さんが、仏像の文庫本を出していたとは知らなかった。
セントくんで有名になった仏師の方だが、その道では今一番有名な片だろう。
eテレでもシリーズものを何回かやられたので、内容が重複する部分もあるが、このようにコンパクトに仏像の本にまとめていただいたのはありがたい。
仏像入門者には、これ以上の本はないだろう。
時代毎に主な仏像を、カラーグラビア入りで紹介してくれるので、大きな流れがよくわかる。
改めて感じるのは、信仰心の深さと、仏像の出来は、比例するのではないかということだ。
仏像が入ってきて、普及に燃えていたころは、すばらしい仏像が多かったが、その後、分派したり、禅の思想が入ってくると、仏像もすばらしいものが減ってきたのが如実にわかる。
室町以降になると、本当に見るべきものが少なくなる。
ということで、やはり奈良、京都が、いい仏像の密集地ということになるのだろう。
ただ、薮内さんのいいところは、それ以外の地域にもすばらしい仏像を見出し紹介してくれていることだ。
なかなか行くのはたいへんな場合もあるが、例えば、この前の東北の仏像展などで出逢うことができる。
倦蛯フ弟子のすばらしい作品も紹介してくれていて、それはすばらしい。
ということで、仏像入門者には、最高の一冊と言えるのではないか。
仏像、仏教についての、基本的な知識も身につけられるよう、工夫されている。