かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

クメールの彫像

2014年10月23日 | Cambodia・Myanmar・Laos



本書は、元々1952年に、フランス語で書かれた本。
ャ純Xリエさんというフランスの研究者が書いたものだ。
その後、翻訳本が出ていたが、絶版になって、この9月に新版が発行された。

アンコールに行くと、フランスに対する感情は、あまりよくなく、フランスチームによる発掘、再建の評判は日本チームに比べ低い。
ただ、本書を読むと、アンコール文明の研究に、フランスの貢献がいかに大きかったかがわかる。
特に、ャ純Xリエさんは、仏教に改宗してまで、研究に打ち込まれたという。
確かに、欧米人のアジア文化の研究は、宗教性への洞察がどうしても、浅くなるきらいがあるが、本書は、それを感じさせない。

アンコール文明を代表する24彫像について、詳説している。
見たこともあるものが多いが、改めて、ご説明いただくと、ふむふむとうなずいてしまう。
プノンペン博物館に多くの名品が収められているが、2001年に訪れた時は、あまり綺麗ではなく、照明も暗く、空調も悪く、あまりじっくり見れなかった。
それでも、印象に残っている名品の記憶は鮮明で、本書でも取り上げられている。
らい王のテラスにあったヤマ像も取り上げて欲しかった気がするが、50年以上前の価値観と、今の価値観では、違いもあるのだろうし、その後、新発見されたものも多いはずだ。

8月のパリのギメ美術館の名品も取り上げられている。確かに圧巻だった。

一つ驚くのは、プレアンコール時代の名品が多数取り上げられていることだ。
現在の観光が、アンコール中心になっており、アンコールに王朝が移る前の歴史については、軽視されがちだ。
ところが、本書を見ると、その前の時代の像の方が、もっと本質を突いているようにさえ感じられる。

幸い石造りの像が多く、名品が多く残されている。仏教、ヒンドゥ教関連の像が多く、日本人にも馴染みやすい。
アンコール美術に興味のある人には、導入本として、是非お勧めしたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする